第4話

「久しぶりだね、元気だった?」

「元気じゃなかったら、来ない」

「だよね」


ペロっと舌を出す。


「メールだけど・・・」

「うん。読んだよ。手紙も読んだ。がんばってるんだね」


その瞬間、クラッカーがなる。


「大先生、おめでとう」

「がんばったね」

「同級生として、鼻が高いよ」


歓声が起こる。

拍手も鳴りやまない。


「大先生って・・・」

何のことだろう?


わからない。


「では、もう二人のゲスト。マリンくんとカトレアちゃんです」


すると、見慣れたキャラクターの着ぐるみが入ってきた。

マリンとカトレア。

僕のキャラクターだ。


僕は、当時の夢だった、漫画家になりたいという夢を叶えた。

といっても、雑誌漫画家ではない。

キャラクター作家。


しかし、ビジネスというのは甘くなく、殆どは世に出ない。

そんな中、かろうじて出たのが、この二人。


国民的とまではいかないが、誰もが知っているキャラクターだ。


「がんばったんだね。楠くん。美奈も嬉しいよ」

そういえば、この子は一人称が自分の名前だったな。


「さあ、主役のふたりは、中央の席へ、」

指示される。


「マリンくんと、カトレアちゃんは、横に立って」


これは、夢なのか?

現実なのか?


でも、ここにいる面々は、記憶の中の通りだ。

もちろん、美奈さんも・・・


暖かい雰囲気に包まれた。



忘れていたな・・・

もうずいぶん・・・


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る