第3話
その文面は、50のおばさんが書いたとは思えない内容だった。
当時ではなく、今時の女子高生が書くような内容だった。
〈メール、ありがとう。
嬉しかったよ。
思い出の場所?
学校に決まってるじゃない。
同期会のハガキ来てたでしょ?
じゃあ、待ってるね〉
確かに来てた。
無視するつもりだったが、まあ、たまにはいいか。
主席に〇をして、投函した。
そういえば、担任だった教師は、問題起こして、今は塀の中なんだな。
いつか、そうなると思っていたが・・・
で、当日となる。
ラフな格好で行く。
おしゃれをする場ではあるまい。
そして、教室に入る、
確か最初は、3年時の教室に入るんだったな。
僕は一組だったが、飛び地状態だった。
ちなみに、あの子は3組だった。
ドアを開けると驚いた。
「えっ?」
教室には、制服を着た生徒であふれていた。
現役の高校生だ。
おじさん、おばさんが、しゃれで着ているのではない。
本物の高校生だ。
それに、どこか懐かしい。
「おっ、主役が来たぞ」
「楠くん、久しぶり?元気だった?」
次々と声をかけてくる。
「えーと、坂田くんに、米山さん?」
「クラスメイトの顔も忘れたの?」
米山さんに、そう言われ、中央の席へと案内される。
あれ?
僕は、どうした?
「何だよ。一人だけ、ラフな格好して、制服はどうした。制服は」
クラスメイトのひとりに、文句を言われる。
彼は・・・
菊田だ・・・
「もう、着れない」
「ずるいな・・・お前だけ歳取って」
次々と、言葉が飛び交う。
あれ・・・
おかしい。
あっ、みんなジュニアだな。
担いでるんだ。
タイムスリップなんて、ない。
その時、ドアが開いて、あの子が入ってきた。
写真のおばさんになった、あの子ではない。
当時の、あの子がだ・・・
写真を見た限りでは、あの子の3人の子は全て男子。
眼が点になった。
彼女はにこやかに微笑むと、こちらに来る。
「本日の、スペシャルゲストの、河田美奈さんです。楠くんのために用意しました」
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