142話 マイヤ邸での会談2

 今日は国内の貴族向けに顔見せをするのだけども、それよりも先に会わせておきたい人達が居て、その人たちがこの場に来るらしい。

 

 少しだけ場に緊張感が漂うけど、僕の心持ちとしてはすでに後ろ盾がとして、陛下とマイヤさんが居るから、貴族だったり立場のある人に対する警戒心は薄いんだけどね。

 

 やがて扉が開いて、結構な人数が入って来た。

 

 うん、全体的に白い服装で多種族って感じ、これは宗教関連かな?まあ対抗が正解でした。2番人気で単勝3倍位ですかね。後は一部だけ国内の高位貴族っぽい人が居るね。

 

 その後、陛下の仕切りで各人の紹介と挨拶の流れになったのだが、なぜか全員と僕が握手するという流れだ。うん?関西風になんなんなんなんなん?って感じ。

  

 うん、別に握手とかはしても良いんだけどさ。なんか違くない?どこぞのCD売りたいアイドルじゃないんだからさ。僕なんかをありがたがることは無いのだけども、彼らにとっては在り難くはあるのかもしれない。うむぅ。

 

 いわゆる宗教関連に関しては、ほら距離とってたし?なんなら知らない所で、なんか聖女騒動とかあったしさ。なんというか、そう気安い感じではなかったつもりなんだけどねぇ。

 

 まあいっか......拉致監禁暗殺とかを考えられるよりは!ね。

 

 そんなこんなで対抗として予測した宗教関係の人と会談をしているのだが、神が居る世界の宗教というのは結構難儀なのかもしれない。

 

 人臭くて面白いっちゃー面白い。

 

 けったいな程に長い自己紹介を聞くに、絶対的な信仰対象としての神が居るのに、権力装置としての宗教家の立場がせめぎ合っていて迷走をしまくっている感が否めない。

 

 僕が知ってる範囲だと、神様達は世界を維持する役割を権能という形で現わしているのだけども、どうやらこんお世界の宗教家様は自身が信仰したり繋がりある神様の権能、その範疇が広かったり重複したりするところで解釈の違いで優劣をつけたり、縄張り争いをしているようだ。

 

 そんなツマラナイ主張込みの自己紹介を延々と受ける、こっちの立場にもなっても欲しいものだ。

 

 ってなわけで、こいつらまとめてミラクルあほう。

 

 そんなん、あくまでも形じゃん。ガワはそうなってるだけで、区別も差別も天地も空海も上下も無く等しく遍く世界を創り維持してるんじゃないの?

 

 与えられた役割や仕事内容に優劣をつけたり、無関係な事柄にまで執行力を拡大して権威化するなんてアホウのやることですよっと。

 

 なんでこんなに神が近い世界に住んでて、すべてに神性が宿るってわかんないのかな。

 

 思考の研鑽が足りなくない?もちろん色々な言い回しはあるだろうけど、神を敬う役割を担うって決めたんだったら、塵も塊も、天も地も、条理も非条理も、世界がこうあらんと決めた神を敬うように愛して、それを信仰としろよって思うのだけどなぁ。

 

 うーん、ここらへんは踏み込んで話す内容なのかねぇ。

  

 ん?思考が断罪によってない?ちょっと待って。

 

 こういう話に僕はすごく過剰に反応する。

 

 待とう。

 

 偏ってる気がする。

 

 考える事やめよう。

 

 リセット!!

 

 今僕は、陛下の案内で事前に顔合わせをしているだけだ。相手の思惑があって、それが僕に不都合なら拒否すればいい。それだけだ。

 

 この世界の宗教観に口出しをするのは違う。違うと思う。どこがスイッチで僕がアホウと強く反発したか、わからない事にしておこう。

 

 ただ長い自己紹介ダルいな。で終わり。終わる。

 

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 表面上は何事も無いまま、少しだけ深く思考に入り込んでいるうちに、長い自己紹介を終えて実際の会談となった。

 

 ちなみに高位貴族で挨拶してくれた中に宰相様がいた。ヤッホーおひさしぶりーふ。ってなもんですね。ふざけきれないか、冗句がくだらなすぎるキレが悪い!笑

 

 会談の議題は「僕の呼び名」「国内高位貴族の対応方針の説明」「聖女事件の謝罪」「礼拝堂の事前説明」「各国の宗教施設を見てほしい。そして可能なら神様の意図に合わせて改築して欲しい」位だったかな。

 

 僕はこの世界に住む人達の神に対する思慮の浅さを目にして。怒りに近い思考で断罪をせんとした自分に違和感に伴った驚きを受けてたままで、会談内容には大きく意思を示す事もないまま、会談の全体意思だったり相手方の話を受け入れた。

 

 一つ一つはこんな感じだったと思う。

 

 僕の呼び名は名前そのまま、使徒とか神使とか案があったけど、陛下の「ウェルギリウスはウェルギリウスである事を望んでいる」の一言で確定した。

 

 高位貴族の国内の対応方針は「その名は貴族社会と宗教社会の高位」となりかけたが、どちの社会へも大きな影響を与える個人が居る影響は図れないので、平時は平民として有事は別途相談になった。

 

 聖女事件は言わずもがな、白い人達が全員でごめんなさいしただけだった。今更どうこう言うつもりも無いし、なんなら天使のリリさん預かり案件だと思うので、それで終わりとした。

 

 礼拝堂の事前説明は、この会談後で夕食前までの時間を使って、この場に居る全員で大使館を含めて事前に見に行くことにした。まあ全体ツアーの予行演習かなという事で決着がついた。

 

 最後の各国の宗教施設については、数年後に世界を散策する予定なので、その際にまた話しましょうって事で決着がついた。

 

・・・

・・

・ 

 ちょっと会談の中身なんかよりも、自分で自分の在り様について、考える「べき」が出来た機会だったのかもしれない。

 

 ここは、一度転生した時点から考え直しが必要かもしれない、8年前で正直忘れてる想いもあると思うしね。

 

 ちょっとズルだけど、あとで天使さんズと相談しよう。

 

 「なんで転生したんでしたっけ?」ってね、なんで?っすかね

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