141話 マイヤ邸での会談1
マゼッパさんとティアンヌさんと一緒にマイヤ邸へと歩いて移動。
装いを変えたマゼッパさんは、少しだけドレッシーだけど秘書感が残る知的な雰囲気が漂う服装をしている。上半身がキッチリした恰好で下半身がたおやかな感じである。
ティアンヌさんは、上が燕尾っぽい服で下はパンツルックで帯剣という、まあ護衛っぽいなって感じの恰好で一歩下がった位置で付いて来ている。
たしか前世では、貴族は胸元大開放が世継ぎ産めますよー。現役ですよー。相手を募集してますよー。って意味合いだった気がする。似たような文化的意味合いとかが、こっちの正装にもあるんだろかねぇ。例によって考えるだけで知ろうとしないけど笑。
歩いて行けるとは言え、お互いに敷地が広いので20分位かけてマイヤ邸へと着いた。歩きは時速5キロ位だったっけか、大体お互いの玄関同士で1.6㎞程度かねぇ。最短の移動ルートを直行してきたと考えると広いなぁ。貴族ってしゅごい。
執事のエンゲルトさんにマイヤさんと王族御一行様の居る部屋へと案内される。
「こちらのお部屋で王族の皆様とお嬢様がお待ちです」
エンゲルトさん、マイヤさんを・・・お嬢様呼びした。結構頻繁に付き合いしているので執事さんもなんというか身内感覚で居てくれる。マイヤさんから僕の立ち位置とか面倒な話も聞いてるだろうに、こういう大人の気遣いが恰好いいよなぁ。
室内に入ると、アレクサンダー陛下とイルゼ王妃、そしてデトレフ殿下とリア殿下の王族がすでに揃っており、マイヤさんと談笑しながらお茶を飲んでいた。
「ウェル君が来たわね。ウェル君こっちー、マゼッパも一緒にかけてちょうだい」
マイヤさんがソファーに座ったまま、自身の隣側を手で叩きながら座るように促してくれる。臣下の礼とかはいいんかいな、とかも思うけど気安い場なのだろう気にしないでおいた。・・・でも一応言っておくか。いや、いっか。
「はーい」
「かしこまりました」
気の抜けた返事をしつつ、マイヤさんの隣に座る。歩いて席に移動する途中で、王族付きの護衛さんの前を通ったけど、あらかじめ周知されているんだろう。一連の無礼ムーブにもお咎めが無く、逆に敬うような姿勢で目礼を返された。
「今回は、こちらの都合を聞いてくれてありがとう」
席に着いたと同時に陛下からお礼を言われた。王族一同もタイミングを合わせて礼をしてくれた。
「いえいえ、こちらとしても何処かで何時かは顔見せをしなければいけなかった訳ですし。お互い様です」
今更貸し借り的な話はね?きっと国内外や宗教関連から、かなり問い合わせあっただろうしね。特異点すぎる話だからね。
「それに、今回は大使館の設立にまで手を借りたみたいだしな」
陛下がマイヤさんへと視線を流すと、マイヤさんは大きく頷いた。マイヤさんの頷きを確認するように王妃様が話し出す。
「そうねぇ、模型といったかしら?小さく作ってある大使館をさっき見せてもらったけど各種族と国の事をしっかり考えて作ってくれて助かるわ」
あっ事前にある程度チェックしたのね。まあマイヤさんとこに施工管理を任せてあるからそりゃ模型はあるか。
っていうか王妃様もこういう祭事に手を出すんだね。ん?所謂、政じゃない方の祭り事の側面もあるから王妃様も絡むのか。ん?考えても分かんない事考えちゃった。ストップして話し聞こう。
「そこは、マイヤさんにしっかりと音頭とってもらってお手伝いしたまでですよ。そもそもの起因が僕ですからね」
「ふふふ」
「ふふっ」
マイヤさんに媚び売りトークをしたら、笑顔で王妃様とマイヤさんに返事を飲みほされた。安い媚はアカンですか、まあお高いご婦人ですこと笑。おほほほほ。
王妃様とマイヤさん、そして僕とでのアットホームなやりとりに苦笑を交えた小さな咳払いをして陛下が会話を続ける。
「ううん、さて今日の本題になるのだが、ウェルギリウス君はすでに察しが付いて居ると思うが、本日のパーティにて国内の貴族に君を紹介する。それにあたって色々と事前に話し合いをしておこうと思ってな」
「はい、そうですね。初めてお会いする貴族の方が大半となるかと思いますので、そうしていただけると助かります。現段階で宰相様とエステで関与した以外に貴族の方々と縁を持ってはいないですね」
陛下は頷き、アクセントを強調しながら話を続けた。
「うむ、そうなるな、そこでだ。大きな間違いの無いように、我が国の貴族に対する君の立ち位置、などをこの際に決めてしまいたい」
やけに区切りつつ話すな。癖なのかな?大事なことはゆっくりと的な?まあいいけど。
「そうですね、わかりました。希望は以前に伝えた通りなのですが、立ち位置の明確な草案みたいなものは無いので主導をお願いしたいのですがいいですか?」
「もちろんだ。悪いようにはしないし、案はすでに数案作ってもある。それとだ上位の貴族を数名控えさせている。この場に呼んでもいいか?」
「はい、大丈夫です」
陛下のその言葉と僕の返事を受けて、部屋に控えていた衛兵さん、ん?近衛兵なのかな?まあいいけど、なんやら身分のある騎士さんが退出をした。
すでにおったんか、して案もある程度固まってるならいいやね。こっちとしては道具にされなきゃいいわけだし。今までの関係的に変なものは持ってこないでしょう。
「用意には、しばしかもしれん。少し歓談でもしようではないか」
陛下の言葉を皮切りに、メイドさんが近くに来てお茶を差し替えてくれる。その動きで会話が少しづつ始まった。
先乗りしていた殿下組が主導で家の設備や、猫が話せる事を楽し気に話したりした。猫が話せるの部分で近衛らしき人の頭にクエスチョンマークが付いたのが個人なツボだった。厳つい雰囲気でなんちゅう顔してんねんな笑
そのまま、30分位は話し込んだだろうか、程良く場が解れた所で執事のエンゲルトさんが「ご用意が出来ました」とマイヤさんに伝えに来た。近衛が行ってマイヤさんの執事が帰ってくるという謎システムに関心。まあなんら意味の無い関心だけど。
......で、あれよな。これってある程度、場を砕いてから相手に会わせたいって事なんだろうな。
推測するに、本命が王妹で対抗が宗教関連、大穴が婚約者かな?
まあ、あと少しだし。来るまでの楽しみにしておきますかね。
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