143話 パーティ行かなアカンねん
事前会議にて少し暴走しかかった自分を見事に制御した(笑)後は、会議で決まった礼拝堂の説明ツアーをする事となった。
その前に各偉いさんに付いている護衛の騎士さん達は、足元金属とか建物に悪いので着替えてもらった。おかげで開始が遅れたけどしゃあない。
つか神前で甲冑とか、ちょっと理解できない。ここら辺に異世界を未だに感じるわ。そもそも床やタイルに傷がつくし、やめてほしいのら。
その後に夕食という名の事前パーティがあるし開始も遅れたので、建物の大まかな説明だけにしたかったんだけど、まあ足は止まるよね。
実際に工事進捗を見て、模型での説明を聞いていたマイヤさん以外は、見たことの無い建築様式や神像の姿に大きな反応を見せていた。とは言え全員の質疑応答を受けて詳細を説明したら時間がいくらあっても足りないので、マイヤさんに国内の偉いさん及び各国の宗教関係者への簡単な説明お願いして、僕は陛下と王族御一行様へ建物と神像の説明を行った。
神様に関しては、普段から崇拝されている種族毎の神々と火風土水の所謂4元素の神々しか存在が知られていなかった。
神様はいっぱいいるんですよ。すげーいい世界。
「ウェルギリウスよ、すまぬ我々はこちらにいらっしゃる神々の名すらも知らぬのだ、教えてもらうことは出来るだろうか?」
「はい、時間の都合もありますので、簡単ですがお名前と司るものだけをご説明しますね。詳しい事は像の前に説明の文章を付けています」
「頼む、・・・そうか後程、改めてゆっくりとお姿に拝謁させていただきたい」
「はい、こちらにいらっしゃる時はお声がけください」
この世界でメジャーな神々と言ったらいいのかな?まあ4元素の神々の所では、既存と像の形が大きく違うらしく、驚いていた。
例えば、火の神であるギビル様は、いわゆるゲーム的なドワーフ族に近い姿だったらしいが、この像では長身で筋骨隆々の男性の姿を取っているとかね。
ここらへんは種族の神と混合しちゃったんだろうねーとか思いながら説明をした。ちなみにこのギビル様のセム語が某国民的RPGでのギラの語源です。と説明の勢い余って余計な話をしてしまった。ドラ〇エの話とか誰がわかるもんかーーい!草生えるわ。
その後は、余計なことを言わないように淡々と、神様の像の側に配置した説明プレートを口頭で読み上げて一部を補足説明しながら礼拝堂内をぐるりと1周した。
ちなみにこのプレートの原文は像になっている神々から本文の原案を頂戴している。世界に知らしめる権能の範囲とかも考えているんだろうなと、勝手に解釈して原文そのままを使わせてもらうことにした。まぁ別段難解な文字とかなかったしね。
広さ的には、ちょっとした植物園位は場所を取ってあるので、すべてを軽く見て歩くだけでも1時間位はかかってしまった。
王族御一行様と僕の後ろから、大勢に説明しながら歩いていたマイヤさんも追いついたので合流して声をかける。
「さて、ちょっと駆け足でしたが礼拝堂の説明はこれ位ですかね?」
「そうね、今回は事前説明という事だし。陛下いかがでしょうか?」
「ふむ、この後の予定もあるのだ。充分であろう」
陛下のOKが出たタイミングで、一部の宗教関係者が不満を小さく口にした後に、一人が前に出てきて陛下に向けて語りだした。
「もう少しご説明の時間は取れませんか?」
ん?もちっと詳しくって事?ダメダメ。めんどくさいもん。とか思っていると陛下が声を出した。つかさ、陛下OK出してるのをひっくり返すとかアンタすげぇな。
少し、間を置いてから陛下が渋い顔というのか威厳のある顔というのか、まあ厳しい顔をして声を張り上げた。ああ怒ってるのかな?
「そのほう、何かを勘違いしてはおらぬか?この建物も神々の像も、個人がその能力と財で作り上げたものなるぞ?国やおぬしらが建てたものではなかろう、この礼拝堂の開放はウェルギリウスの厚意で行われているものだ。勘違いするでない」
・・・ohさすが陛下、わかってるなぁ。そそ、そもそもから話さんとアカン。なんでワイが知らんおっさんにヘコヘコ説明せなアカンのや!って話ですわ。ここはワイの家やし、これ建てたのはワイやで。アンタ無関係なのに勝手言うたらアカンちゃうんか?。ってやつだ。ビバ似非関西弁。似非関西弁には似非関西弁の良さがあります。
そこらへんの当たり前をちゃんと言って防波堤になってくれる陛下はイイネ!さすへいですわ。さすへいってシモヘイヘみたいで強い!
マイヤさんが、宗教関係者から僕を隠すように立って軽くハグしながら、やさしい声で言ってきた。
「大丈夫?開放するのやめる?」
あんたは鬼かwしかもこっちを見ながらバチコーンって音がする程のウィンク付きである。まあ攻め時にしっかり攻めるってのは貴族の習性なのかもだけど。ズルズルと踏み込まれるのは人間関係あるあるだからね、嫌なことは明確にNOですよ!っと。
「ん、大丈夫。ここは在りて在る場所だから入れる人は、これから先も入れるだろうし、入れない人は二度と入れないと思うもん」
マイヤさんに乗っかって寂しそうな顔と声色を作って、宗教家の好きそうな言葉を言っておいた。
しばらくザワついた後に、偉そうな帽子をかぶった宗教おじさんが帽子を外してシャインなヘッドをあらわにしながら頭を下げてきた。
「部下が大変失礼をいたしました。神々とこの建物、そして陛下とウェルギリウス様へ感謝いたします」
んー?説明はしなくていいよ!って事かな?言い回しがメンドイ人だなぁ。まあ感謝って体裁で失態は明言せずってのも偉い世界の処世では必要なのかね。
「では、この場はここまでとしよう。ウェルギリウスよ、これから時間はあるか?」
「はい、この後は夜の準備だけなので、時間はあります」
「では、そちの邸へ足を運ぶとしよう」
陛下の言葉をきっかけににして、事前ツアーは終了となった。その後は宰相さんが国内の偉いさんや宗教家さん達へ明確に終了と告げて僕とマイヤさんは礼拝堂で全員を見送った。
見送りが終わった後に、建物の外に出て建物全体を意識して清浄の魔法をかけておいた。人の出入りがあったのでね・・・一応ね。
マイヤさんと二人で家に向かいながら雑談気味に軽く話す。話題は適当だ、さっきの宗教家は誰だとか、陛下がうちに来るって言ってたな。
「えっとマイヤさんは、この後どうします?」
「私は、夜の用意があるわね」
「わかりました。陛下がいらっしゃるみたいですけど......」
「たぶん、今日のお礼とお詫びだと思うわよ」
「ですか、、気にしなくていいのに」
「うふふ、真面目な方なのよ」
それじゃ対応は僕だけでいいかな、とりあえず家に戻りますか。
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