135話 キャットミューティレーション

 あーでもないこーでもないと、より安全な方法を模索しながらブライアンとチャコレアを連れて、数か月くらいかけて、近辺の動物や魔物を倒して過ごした。

 

 結果的には小動物である猫に、冒険に準ずるような狩りは無理だってことが分かった。

 

 まあ、そりゃそうだよね。


 だけどもさ、魔法があって魔物が居る世界ならでは!って感じの打開策があるかなーなんて思ったりもしたんだよぅ。

 

 だが、そんな都合の良いものはなかったのだ。

 

 ってことで、2匹の安全は僕が確保しておけばいかなんて落とし所をブライアン達と話し合ってたら、たまたまオヤツをゲットという名目で降りて来ていた天使のアミさんが相談に乗ってくれた。

 

 ......てなわけで、天使と人と猫2匹でお茶会である。

 

 ちなみにウチのお食事は雲の上の方々に好評らしく、天使さんズが時々降りてきて要望に出来るだけ沿ってお納め?奉納?をお渡ししている。

 

 すごく肉食なメニューもあれば、お茶請けだったり、超甘味祭りだったりと要望は多岐に渡っているので、我が家の厨房にある冷蔵庫は常に食材と要冷蔵の調味料でパンパンだ。

 

「ふぅ~ん、なるほどねぇ」

 

「なにか切羽つまった話では何ですけどねー。2匹も冒険に興味あるみたいだしって感じですね」

 

「にゃー(大きな敵は倒せないにゃ)」

「にゃんにゃん(こわいですにゃん)」

 

 一声出すたびに、足を組み替えるのはセクシー系女子の基本動作なのか。ついつい視線がそちらにいってしまう。......僕が健康に育ってる証拠と天使の魅力が強いだけだ。っと脱線した。

 

「そぉれなら、後方で支援させればぁ~いいんじゃぁなぁ~い?」

 

「ああ、バッファってことですか?」

 

「にゃんにゃん(はなれて、お手伝いですかにゃ)」


「そうそう、強化とぉ弱体もぉ」

 

「いいですね、戦闘に参加や一緒に倒すってことばっかり考えてました」

 

「ふふぅーん、私たちの事もたまに頼りなさいよぉ~」

 

 あー、これ最近の様子覗いてアドバイスに来てくれたのかな?ありがてぇありがてぇだ。

 

「はーい、じゃあそっちの方向で進めて見ますっ」

 

「あっ猫ちゃん達は上位種族になるわよぅ、だ・か・ら一旦お預かりしていいかしらぁ?」

 

「お預かり?どっかに連れて行くんですか?」

 

「そうね、しばらく修行ってほどじゃないけどぉ、お勉強してもらうわぁ」

 

 なにかな?精神と時の部屋にでも連れ込まれるのかな?まあアミさんだから変な事はしないだろうし、いっかな。

 

「だってさ、ブライアンとチャコレアは良い?」

 

「にゃー(大丈夫にゃ)」

「にゃんにゃん(ブラさんと一緒ならいいですにゃん)」

 

 おっけみたいね、ってかブラさんって言うんだ。あれ?前からだっけ?散歩するおっさんみたいだなって前も思った気がするから、きっと前からそう読んでたんだろう。たぶんきっと笑

 

「ふふふっよかったわぁ~。こっちの女の子は女神ナンナル様の元で修行よ。男の子ほうは女神ニンフルサグ様と女神エレシュキガル様の元で修行ね」

 

「あれ?女神様の所へお連れするんですか?」


ってか、行く先の女神様が決まってる。

 

「そうよぉ、首をながーくしてお待ちなのぉ」

 

 お待ちしてるのね。ええっと僕の神様に対する感性だと、なんか恐れ多いというかあり得るのかとか申し訳ないとか色々浮かんでくるんだけど ......。わかんね!

 

「えっと、こんな私事を大事にして恐れ多いのですが、何かしらの問題だったり・・・」

 

 と言いかけた所で、超達筆な人が毛筆で書いたような紙切れが何もない空間から、お茶を飲んでるテーブルに落ちて来た。

 

 

 書いてあった言葉は「甘味」だった。

 

 なるほど、なるほど、なるほど、さすがGOD系女子だ自由of自由。わかりました。ここは居酒屋マインドでいきますわ。考えたら負け、考えるよりも手を動かせなのだ。甘味が欲しいとの神託だーー!ひゃはーーー!!うけおったぜーーー!!!

 

と心のテンションをあげつつ、でも丁寧に「かしこまりました」

 

 と、雲の上の方をみながらお返事をした。

 

 ってことでしばらくの間、ブライアンとチャコレアがお出かけをするのでマゼッパさんを呼んで屋敷で働く人への通達と猫屋敷のメンバーへの通達を行った。

 

 そこから半日かけて厨房に籠りっぱなしで各種甘味を作りまくった。

「フルーツゼリー」「プリン」「パンケーキ」「アイスクリーム」「果実の飴」「各種果実のホールケーキ」「フルーツタルト」「クレープ」「ミルクレープ」「クリームの今川焼」とかとか

 

 大量の甘味が出来上がった所で、テーブルに広げてアミさんに預けた。当然ながらアミさんはアイテムボックス的なのが使えるのでお任せすることにした。

 

「こっちが女神様用の甘味極盛りですー。で、こっちに小分けしてあるのが、アミさん達用なので別にしてくださいねー。そしてブライアン達用のお魚もお願いします」

 

「はぁ~い、ありがとねぇ。あら私たちの分も作ってくれたのねぇ」

 

 アミさん達用は、通常の食事も入れていいかな?って思って、肉まんだのカレーだのハンバーガーを混ぜておいた。今回含めて色々お世話になってるからね。

 

 諸々の準備通達も終わって、日もだいぶ暮れてあたりが暗くなってきた所で、アミさんはブライアンとチャコレアを連れて帰っていった。

 

 帰る時にいつもより光量が強かった気がするのは、ブライアン達を連れて行ったからかな?ちなみにアミさんへ何処へ連れて行くのかを聞いたけど、教えてくれなかった。

 

 アミさんは去り際に、「猫ちゃん達を連れていくのは決まりだったのよぉ~」と意味深な事を呟いてから帰って行った。

 

 まあ行先も決まってたみたいだし、ここ数か月の狩り具合を見て事前協議してくれてたんだなぁ。ありがとうございます。本当に。お手数かけますがウチの可愛い子らをお願いします。


......なんて思ってたら「任せて」と紙が落ちて来た。


あはは、自由か。自由の女神か。

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