118話 BBQって現場でアレンジしだすと楽しいよね
少し昼を過ぎたかな?って位の時間ではあるけど、お昼ごはんだ。
野外にしては充実した設備で作った父さんのメニューはっていうと。
メインは当然、鉄板で焼くお肉と野菜!
鉄板には、ちゃんとコテとフライ返しとトングがついてある。ウェル君謹製のお料理グッズである。
お肉に関しては厚切りのステーキ級のお肉とミンチにして丸めたハンバーグのタネが焼く前の状態で残っている。
そしてスープ系として、なんと野外なのにシチューだ。
長い事炒めてるなって思ったらベシャルメ※作ってたのか、シチューは具を小さめに切ってあくまでもスープ寄りに仕立ててある。朝仕込んでたのはこの具材かな?カットしてあるの持ってくるだけで大分違うよね。
最後に並んでいるのは魚貝、とれたての川魚と川海老、そして海で買ってきた貝が焼く前の状態で置いてある。
近くにある簡易テーブルには、大量のパンと各種調味料とバター、そして父さんの特製ソースが置いてある。
父さんバッチリです!!ふぉおおおお。
みんなは、ちょっとアレ?って顔してるので説明がいりますかね。こいつは盛り上がってきましたね。
「父さん、説明していい?」
「ん、任せた」
「これはバーべーキュー形式っていって、立食状態で火にかかってる鉄板の上に自分で好きな物をおいて焼きながら食べる方式だよ。鉄板はお肉とお魚で大きくわける感じで味が混じらない様にして、お肉とお野菜を焼く方の火力を強めにして、魚とか焼く方は弱めで維持していこうねー」
みんながあちこちに視線を彷徨わせながら、確認している。
「こうやって好きなお肉をとって、好きな味付けにしながら焼いて食べる感じかな。このハンバーグっていうんだけどミンチにしたお肉は味付けして焼いたあとにパンに切り込みいれて挟んでもおいしいよ!」
みんなに説明しながら、油を引いて小さめのハンバーグを焼いていく、途中で塩と胡椒を高めの位置からパラパラと落として見たり、コテとフライ返しをわざと使って油を寄せたり掃けたりしつつ、焼き上げていく。まあ分かりやすく焼いてるってやつです。
お肉に焼ける良い匂いがしてきたら、菜箸でツンとさしてコテで押す。中の肉汁が透明だ、おっけーかな。
「この丸めたお肉は火が通りにくいので、焼けたかな?って思ったら、さっきみたいに棒を刺して押してみてください。焼けていないと赤い汁が出て来るので注意してみてくださいね」
「「「はーーい」」」「なるほど」「画期的ですね」「あー!焼き肉みたいなものですねっ」「ウェル君の真似をする」「リアちゃんお料理だね」「ええ、はじめてお料理しますわ」
大人達の返事と安定の一言と微笑ましい姉妹のようなやり取りを聞きつつ説明を続ける笑。
それにしても近衛さん達、なんというかウキウキで返事をしたり覗き込んでいるのが、ちょっと面白い。姫の護衛を半分くらい忘れてるでしょ。この感じだと王妃様が「安全だから羽を伸ばしてらっしゃい」位は言ってそうだと思うけど、まあ言ってるんだろうなぁ。ええ人や。
「あっそうだ、鉄板を使う時は油を引いてね。お肉の白い所を鉄板で溶かす位でいいと思うよ、またはバターを溶かすでもいいよ!」
「父さん、こんな感じでいい?」
「そうだな、後は飲み物とデザートだな」
「ああっ忘れてた。じゃあ飲み物は出すとしてデザートはあの石の中に冷やしてあるから、好きなタイミングで食べるんだーー!!」
「あはっウェル君が元気だー」「たのしそうですわね」
「このお食事にお作法はありませんので、楽しくたべましょー」
「「「「「はーい」」」」」
「それではっバーベキュー開始!!」
さて、これでみんなはいいかな?あとはブライアンとキジトラちゃんだね。
「ブライアーン、キジトラちゃん。こっちきてー」
「にゃー(魚焼くにゃ)」「にゃん(なーにー)」
「そうそう、お魚は焼く?生?って聞きたかったんだよ。ブライアンは焼いたのがいいのんだね、キジトラちゃんは?」
「にゃん(同じにしてくださいにゃ)」
それじゃ、ブライアンとキジトラちゃんの分のお魚を焼きますかね。
「ブライアンさん、お魚はこんがり焼く?半生?」
「にゃー(えらべるのかにゃ、はんなまにゃ)」
「キジトラちゃんはどうする?」
「にゃにゃん(ちょっとだけ焼けたくらいがすきにゃ)」
二匹の要望を聞きながら、串みたいに細くした棒に差して竈の火の近くに立てて遠火で焼いてあげた。良い匂いがするなぁ、やっぱ獲れたてってのはちがうのかなぁ。アイテムボックスに入れたら同じ気がするんだけどやっぱ違うような気もする。まあ気分なのかもだけどねー。
お皿代わりに、その辺の葉っぱに乗せてあげた。抜群の食いっぷりで見てて気持ちいい、近くに皿にいれた水を入れておいてから、その場を離れた。
さて、僕もみんなにまじってお昼たべよ。
鉄板の前でみんながワイワイ言ってるので僕もそれに混じって焼きものをすることにした。むーアルミホイルが無い、じゃがバターやりたい。超薄い鉄とはだめなのかな、なんとなく体に悪そうだ。包んで焼くだけだけだから平気かなぁ。
・・・あっアレだ、鉄板焼き屋さんでみた。丸い蓋、なんかゴージャスな料理が出るときのやつ。あれで蓋して水入れればいいんじゃないかな?やってみようっと、ささっと鉄で薄く蓋を作って取っ手が熱くなりそうだけど、それはいいでしょ。濡らした布で掴めばいいし。
うっへっへ、これで魚とじゃがを蓋の中でバター蒸しですよ。
旨い以外の何かが出来るなんてことが絶対ない奴だ。
鉄板に薄くバターを溶かして、多めのバターとじゃがと魚を置いてっと、お水をちょっとだけ入れて、速攻で蓋。そこでしばし待つ。赤子が泣いても蓋取らない精神でまつまつまつ。
蒸し切れるのを待っていると父さんがやって来た。さっきからチラチラと見てたので気になったんだろうね。
そりゃ変な蓋作り出すしね、見ていて飽きない子ウェル8才です。
「ウェル、それはなんだ?」
「んと、鉄板で焼くときに蒸せるように蓋をしてるんだよ。丸いと中でモワモワ出る水分が回転してくれるんだよ、おいしさには香りってのもあるじゃない?それを閉じ込めるってのもあったのかな」
「なるほど、それはいくつ用意してる?」
「ん、さっき思いついて作ったから、これだけだね。数個作って父さんの分も渡すね。ハンバーグとかはこれで蒸した方が火の通りがあ早いってのもあったと思うし」
さささっと作って渡す。このなんでも出来る魔法は料理で使うのがメインになりつつあるなぁ。まあいいんだけどさ、それで作ったものは父さんに手渡して、後の全体説明を任せる事にした。がんばれ口下手父さん。
僕は引き続き、じゃがバタ警察としてここで検閲だ。
とはいえ。んー、待ってる間ちょっち暇なんだよね。
なんてことを思いながら、みんなを見渡すと各々で好きな物を焼いて食べている。ブライアンは珍しく母さんにくっついて焼き物の指示をしてる。母さんの手早さに目を付けた気がする。さすがとしか言いようが無い。キジトラちゃんはアレサさんが気に入ったみたいで、足元に居て何かもらってる。なついたねぇ、楽しそうだ。
なんか色んな人が楽しそうに食事してるのを見ると、なんだか分からないけど、こういうのでいいんだよって感じがする。この物語はウェル君の日常を描いたものです過度な・・・ってナレーションが入りそうだ。
などと、ひとりでおっさん魂を発揮してると、風景になにかが足りない気がして来た。あれ?なんだろ、んーバーベキューの定番で今やって無い事?
・・・・・・ああ燻製だ。くぅううーーー時すでにご飯タイム。
間に合いませんねぇ、魚とってワタとって速攻開始でしたわぁ。こりゃ燻製は次回のお楽しみかなぁ。
ん、ちょっといい匂いが漏れて来た。そろそろじゃがバタ頃合いかなぁ開けてみますか。
火傷しないように濡らした布で蓋を取ると、フワーっと白い蒸気が立ち上って良い香りがしてるぅ。
これは、いけたっぽいぞ。あんまし焦げてもいないみたいだ、弱火側の鉄板でやったのが良かったっぽいな。串代わりの箸を刺すと、やわらかくて手ごたえが無い。いいね、火が通った。
「ウェルくーん、なに作ったの?」
「じゃがバターとヤマメのムニエル風かなー?」
美味しそうな香りと水蒸気の見た目に釣られて母さんが来た。さすが素早さと幸運に偏った女子。
「またおいしそうだねー」
あれ?いまセレネ姉さんに似てた。違うかセレネ姉さんが母さんに似てるんだな。まあ流石母娘?
「うん、ちょっと食べる?味見して美味しかったら母さんもやってみるといいよ!」
全部はあげないという強い意志!!で味見をすすめてみる。
「さっすがウェル君、どれどれー」
母さんがじゃがバターにスプーンを入れると、ホロホロと崩れて水気の飛んだマッシュポテトみたいになった。
「あっまーい!ウェル君これおいしいわね!!お塩が効いているのに甘いわ!なにこれ!おいしい!」
そこからあれよあれよという間に、味見部隊がやって来てヤマメとじゃがバタは、みんなの笑顔に変わった。まあ僕も負けずに食べたのでいいんだけどねー。
おいしくて楽しいってのはいいことだね。お腹も満ち足りたあたりで、父さんが簡易冷蔵庫からデザートを出して来て、そこでもリトルバトルというかうまーい祭りがあったけど想定内なのです。っていうか近衛隊さんたちが一番うれしそうだった。こういうのって公務に着いてる人はやれないだろうしね。
そのままワイワイと各人で好きなペースで食事をしたり、川で遊んだり、トイレに驚いて呼ばれたりと、のんびり?した時間を過ごした。
そういえば、近衛さん達が必死でメモを取っていたのでアイテムボックスから紙と画材を出して、ここの風景を絵にして渡しておいた。どんなことしたの?どんな場所だったの?みたいな報告するのに便利でしょっていったら。隊長らしき女性に頭をワシワシしてもらった。でへへへ。
まっそんなこんなで次回も遊べるように設備を整えたり、みんなでバーベキューを堪能出来たりと、今日のお出かけは大成功かな。
そして歩いて行ける距離とは言え、山間ではあるので暗くなる前に撤収だよね。近衛さんにそろそろ撤収しますーと伝えてから、みんなで撤収作業をした。
ゴミは全部回収!自然と環境破壊よくない!建物いっぱい建てたけど笑。
生簀にいるお魚さん達も、余った食材や食べ残しもアイテムボックス行き―。野生の動物達の餌になって食生活乱したりしちゃうからねぇ。
竈の跡にある灰は忘れずに採取しておく。灰って色んな場面で使える便利アイテムだからね。
・・・最後にみんなで全部綺麗になったのを確認してから、滝を後にして家路に着いた。
※ベシャメルソースです。ウェル君うっすら覚えてて間違えてます。
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