117話 魚を補充しまくらちよこ

 とりあえず必要な設備は最低限揃った所で僕も遊ぼう。

  

 ってその前に、ブライアン達の為に当面のお魚確保ですかね、さっきから冒険娘さん達が釣ったり捕まえたりして生簀に運んでるみたいだけど何匹位居るかなっと。

 

 「アレサさーん、お魚集まってます?」

 

 生簀にちょっかいをかけている、キジトラちゃんを撫でながらアレサさんがこちらに向きなおって返事をしてくれる。

 

 「ああ、結構集まっているぞ」

 

 近づいて生簀を見てみると、結構沢山いる。けど釣りあげた魚が釣った時の口元の傷が原因なのか暴れたのが原因なのか一部でお腹を見せていたので、軽めに回復魔法を適当に範囲でかけておいた。

 

 生簀の魚が活性化して傷もなくなったみたいだね。よしよし鮮度が大事なのです。癒してから食物にするってちょっと残酷な気がしないでもないけど、まあそこはね。

 

 「ウェル君は本当に多才なんだな、先ほどの建築といい。この回復といい」

 

 「あはは、なんだか色々出来ちゃってるね」

 

 うん、回答に困る。出来る者は出来るのだ。

 

 「お魚もこれだけいれば、当面は足りそうかな」

 

 キジトラちゃんに手を伸ばして撫でながら、魚を眺める。見たことない魚ってのは居ないなぁ、いわゆるヤマメ、イワナ、ウグイ、カジカってとこかな。魚の生態とかも一緒か、世界作成のフォーマットってかテンプレある説が濃厚よね。ここいらって天使さんズとかは知ってるのかな?覚えてたら聞いて見よ。

 

 「とりあえずお魚はもう少し欲しいかなー。家に居る猫が5匹で毎朝食べたら、すぐだもんな」

 

 よし、魚取りに参加しますか。

 

 「お魚の予備がもう少し欲しいから、魚取りに参加してくるねー」

 

 アレサさんに手を振りつつ、川の方を見渡して見るとマキスさんが釣りをしてレーテーさんがタモで掬いあげて魚取りをしてる。気配が消えかけてからの一気に掬い上げる感じだ、なにげにすごいな。

 

 僕も川へと向かおうとした時にキジトラちゃんに声をかけられた。

 

 「にゃー(いっぱいお願いしますにゃ)」

 

 「うん、毎日美味しく食べれる程度には獲って来るよー」

 

 キジトラちゃんは小走りで走って来て足元にスリスリしてから、しゃがんでいるアレサさんの膝の上に戻って行った。

 

 「激励のスリスリも貰ったことだし、いっちょ頑張りますかね」

 

 釣りをしてるマキスさんとレーテーさんに声をかけて魚取りをはじめる。どうやって取りますかねぇ。石ごっちーん大作戦は釣りの邪魔だからダメだな、雷ビリビリは感電範囲が広すぎる笑。

 

 ってことで、もう素手で石の下にいる魚を取っていくことにした。

 

 マキスさんは大きな石の上から、流れが緩くて水深が深めの場所で釣りをしてるので、やや浅瀬で取っていくことにしようっと。

 

 あの釣り方だと大き目のウグイとイワナとかヤマメがメインだよね。

 

 じゃあこっちは流れのある方で若めのウグイとかを捕まえて行こう。川に入っていき、両側から手の入れれる石をみつけて手を突っ込んで行き場を塞ぎながら、魚を手探りで探す。

 

 いたいた・・・よいしょっと若干ヌメるけど、触れたら即アイテムボックス行きなので問題なっしんぐ。サクサク漁どすえっと、ついでに浅い川瀬にいる沢蟹もゲット。素揚げすると旨いよね。

 

 川に同化しつつシャケ的な、つかみ取りをしていたレーテーさんがこっちに歩いて来た。

 

 「ウェル君、何してるの?」

 

 「石の下にいる魚とかを獲ってるよー。人が川に入ってるから、大き目の石の下に退避しているやつ狙いだね。こうやって手を入れて魚が居たらアイテムボックスに突っ込んでるー」

 

 「・・・さすがウェル君。賢い!いっしょにやろ?」

 

 「うん!やろー」

 

 ちなみに、レーテーさんは薄着で水に入ってて屈むので色々視界が制限されるけど、口にすると当ててんのよならぬ「ウェル君になら見せてもいいとか」改めてと言われそうなので、見ざる言わざる対応なのだ。

 

 それから小一時間ほど、レーテーさんと2人で大き目な岩に手を突っ込みあって、石の下で追い込み漁をした。手が触れた時に握るのはやめてください。

 

 いいんですか?アイテムボックスに入っちゃいますよ笑。

 

 「よし、とりあえず。当面のブライアン達の食料は確保したかなぁ。足りなかったらマイヤさんに買ってもらおう。うん、約束したのはマイヤさんだもん」

 

 そんな、僕の声を聴いてマキスさんとレーテーさんが笑いながら釣りをやめて川岸へと集合した。二人とも少しだけ汚れていたので清浄を軽めにかけてキレイキレイっと。

  

 魚も獲り終わった所で、昼食に近い時間となってきたので昼食の準備を手伝う。リア殿下とセレネ姉さんもお手伝いだ。ブライアンはセレネ姉さんの足元でおこぼれをねだってる。

 

 「なー(セレなんかないかにゃ)」

 

 「まだだめだよー、作り終わったらみんなで食べよー」

 

 「にゃーん(わかったにゃ、おいしいのをたのむにゃ)」

 

 なんだよ、ブライアン素直じゃんか。セレネ姉さんには甘いというか対応いいよなー。

 

 

 そしてニコニコ?ワクワクしながら、セレネ姉さんに指示出してもらって昼の手伝いをリア殿下がしている。殿下的にはこういうのは絶対経験しないだろうから楽しいのかもね。補佐してる近衛さんと楽し気に話しながらやっている。

 

 なんとなく、その笑顔が見れただけで価値があったかなとか思った。

 

 ちなみにリア殿下が手伝ってるっていっても、お皿の用意とか刃物を使わない事を近衛さんとしているだけだ。なにげにセレネ姉さんは考えてるのかもしれない、たしかに怪我は治せるけどさ、やっぱ怪我をしたさせたって事実は良くないよねって事なんだろう。

 

 

 他の人達は、建てた建物を見学してる。あちこちを眺めたり触ったりしてる。

 

 ・・・ああトイレの説明してないやー。

 

 「父さん、お昼の用意から離れてよい?建物に人集まってるみたいだから設備の説明してくるー」

 

 「ん、ああ。いいぞ」

 

 調理場を離れて、清浄をかけながらみんなが集まってる所に向かう。「これはお手洗いですか?」とか「水が流れてるわね」だとの言ってる声が聞こえる。つーか、おトイレって僕の家と基本的には変わらないと思うんだけどなぁ。

 

 「説明わすれてたよー」

 

 「あっウェル君来たっ」「これなーに?」

 

 「んー、男女に分かれてるでしょ。お手洗いだよ。えっと、そこの便座に座って使う感じだよ。家にもあるでしょ?した後はアッチで汚れを落とす感じ」

 

 ちょこちょこと歩いていって、使うふりをしてみせる。

 

 「こんな感じだよ」

 

 「なるほど、って外なのにこんな高級な感じでいいのかしら」

 

 母さんが言うけど、えー茂みに入って花を摘むってのも違くない?とか思うのだ。しかも今回は王族入りの行楽ですよっと。

 

 「基本的に全部山にある素材を使ったから、タダだしね。高価ってものじゃないでしょ」

 

 「まっまあそうなのよね」

 

 言わんとすることは分かるけど、まあいいじゃん。前世でこの形の便座が人間工学的に負担の無い形だとか研究した人への感謝は忘れたくないけどね。

 

 母さん達はウェル君と仲良くなると快適な生活が保障されますよって事でいいじゃん。僕と知り合いという特典なのだ。あんまり深く考えると深みに嵌るポイントだし欲だの傲慢だのに繋がるからライトに考えて良くのが吉ってな具合でいいのだ。

 

 その後、手洗い後の拭きものだったり、手洗いの説明をして納得してもらった。

 

 「ほら、ここにはお魚取りに定期的に来るからさ。多少の整備はしておいて損は無いかなって」

 

 「・・・多少じゃないでしょ」「これは快適だねっ」

 

 まあいいじゃん!!そんなことよりそろそろご飯ですよ。父さんが気合いれてるからきっと美味しいよ!良い匂いするしね。

 

 「みんなーごはんできたよー」

 

 「「「「はーい」」」」

 

 父さんが準備してくれている場所にみんなで向かう。基本はBBQ的なのだけど、父さんがスープだの煮物、焼き物を別途作ってくれているので結構豪勢な食事になりそう。

 

 さーって何が並ぶかなっと。

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