107話 じつはきちんとやっている
いつものように早朝の鍛錬をして朝食へと向かう。
今朝から鍛錬に近衛兵の人が数人混じっていた。しきりにメモらしきものを取りながらやっていたので有用なものは取り入れていくのだろうと思った。
僕の方は、って言うと最近になって打撃と格闘系の技に手を付け始めた。ヴァルカンさんに作って貰った仕込み式の小手を活用できるようにパンチか掌底のどっちが使えるようにしたいなってがはじまりだ。
正直言って打撃や格闘なんて知識のかけらも無いので、ただ獣のように技にもならない打撃を出すだけだし、格闘技に関してはプロレスが好きで良く見ていた程度なので、技術に関してはお察しではある。
単純に体の構造を知っていて支点と力点を考えて、関節を無理な方向に曲げる、人体や動物の絶対的な急所へのダメージを当たるってことを意識しているだけでしかないのだ。
まあ、武器が無い時に襲われる状態ってのが想像出来ないけどね。あっても寝てる時とかなぁ、それって夜這いに違いないと思うので深く考えないことにした。とりあえず無手で無力は無しにしたいってだけだカブロン。
鍛錬の汗を浴室で鍛錬参加メンバー全員が流し終えて食堂へ向かうと、家族と一緒に談笑するロイヤルファミリーが居た。あんたら朝食もこっちなんかーい。
全体に向けて、なんとなく遅くなった事を詫びてみつつ反応もらいますかね。
「おはようございます。待たせしてしまいましたか?」
「「おはよー」」「ん、おはよう」「「「おはようございます」」」
「大丈夫ですよ。それとこれから食事は、こちらで取らせていただきたいのですが宜しいですか?」
王妃様が代表して?答えてくれた。マイヤさんのメンツとかそういうの無いのかな?まあその本人もニコニコでここに居るし、いいのかなっと。
「はい、かまいませんよ。食事は大勢で食べた方が楽しいですしね」
「ふふふ、そうね。ウェルギリウス君ありがとうね」
そんな会話をしながら席に着くと、タイミングを見ていたのだろう、マイヤさんの所の見覚えのあるメイドさんと王宮から来たであろうメイドさんが給仕を開始してくれた。
今朝のメニューは、うすーくスライスされた肉が挟まっているサンドイッチとスープだ。ハムサンドって感じに近い、こうなるとチーズが欲しくなるよね。まあ、そのうちチーズ各種も用意できたらいいな。
・・・ちなみにブライアンの食事は、パンに焼き魚を挟んであるものだった。おいしいのかな?おいしいんだろうな。猫的には。あくまで猫的には。
どうでもいいけど、女川名物のさんまパンを思い出したわ。あれはフレークか何かにしたやつが入ってたと思う。うーん 漁獲量が減ってもあれは売り続けるんだろうか。
「・・・ル君。ウェル君、また考え事してるー」
「ん?ああっ姉さんごめん。何何?」
さんまパンの存続についてとか余計な事を考えていたら、姉さんに呼ばれていたらしい。
「もーう、ウェル君は今日なにか予定あるの?って聞いてたんだよー」
「姉さんごめんね、んーと予定は無いよ。どうしたの?」
「ブライアンが、今日はお友達の所へお出かけするって言ってたから、ウェル君と遊ぼうと思って聞いてたんだよー」
ちょい頬を膨らまし気味に教えてくれた。セレかわVer2そして伝説へって感じ。
ブライアンがおでかけか、あーあれか猫別邸にお仲間をって話だね。
「そうだね、いいね。そうしよっか、一緒に遊ぶのも久しぶりだよね」
「うんうん-、たまには一緒にあそぼー」
セレネ姉さんとリア殿下、そして僕で色々とやりたい事なんかを話し会いながら朝食を取った。その姿を微笑まし気にみる父さん達と王妃様が居たのは言うまでも無いって感じ。リア殿下にいたっては、こんな風に気軽に立場無しで遊ぶことなんてなかっただろうし目がキラッキラで会話してるしね。
あっそうだ、朝の鍛錬に居た近衛さんの話だけしておかなきゃね。鍛錬内容を拡散するのはかまわないけど一声あってしかるべきだろうってだけだけどね。あくまで自分の体にあわせたものがベースなので違う基礎で体を作り上げた人たちに合わないものもあるよって注意喚起したいだけなんだけどね。
・・・・
・・・
・・
そんな平和な雑談をしつつも朝食を終えて、各自行動になった。
我が家は食事の最後にあたりに今日の行動予定を皆に告知する感じになっている。父さんは料理人さん達と何やらやるらしい。母さん達は特に決めていなくてのんびりするらしい、王妃様とマイヤさんはマイヤ邸に戻るとのこと。そして終始緊張していて、控えめに影薄めに食事をしてた冒険者娘「きょきょきょうは街の中でクエストの予定ですっ」との事だった。
食事を終えた僕ら子供3人は、リア殿下が遊ぶ準備が必要との事だったので談話室で合流するって事だけを決めてとりあえず解散にした。
ちなみに今日の朝食は昨日の夜と違い、父さんも一緒に食事する側に回っている。昨日の合作料理を経て、宮廷料理人と父さんの間で色々な話があったのだろう。出てくるものを食しながら、父さんと料理人さんが友好的なアイコンタクトをしていたのを数回みた。まあ悪い感じでは無いのだろう。
少しだけ時間が出来たのでエントランスにある神々の像へのお祈りと貢ぎものをする。置いていくのは清浄されて綺麗な水や食事、そして特製ワインだ。マイヤさんやメイドさんがワイン熱い視線を送っている時があることを僕は知らない、、、という事にしている。
そう、そしてそのお供え用に特製ワインを備蓄していくのが、実は夜の隠れた日課となっているのはマイヤさんには内緒だ。量を作ってる事がバレたらねだられる笑。
特製ワインに関しては神様たちが大層気に入ってくれたので、夜寝る前に時間をとって全員分というか全柱分?を作成してから寝ている。もちろんおでかけを考慮してストックも持っているし、なんならマゼッパさんに数週間分のストックも渡しているので万全である。冷暗所に保管してねって取り扱い注意もそえている。
寝る前にせっせと製作しながら、喜んでもらっている物なのだからと妙に気合を入れて作成している自分がいる事を発見して。あれ?僕って何かを作って誰かに喜んでもらうのが好きなのかもしれない、とか自覚したりもしたのは良い事なのかもしれない。
そんなこんなと大事なルーティンワークをこなしていると、同じようにリア殿下を待っているセレネ姉さんがやって来て一緒にお供え周回に付き合ってくれた。
「ウェル君は、毎日神様へきちんとお供えして偉いねー」
「んーやっぱり、守って頂いたり加護いただいたりしてるしね。感謝してるもん」
「えらいえらい」
なんて言いながら、頭を撫でてもらった。お姉ちゃんって感じを前面に出してきてる。ふふふ年齢のそう変わらないリア殿下が来たりしたことで心境に変化でもあったのかな。さしづめ「ウェル君のお姉ちゃんは私なんだからねっ」ってとこかな?
あはは、自分を買いかぶりすぎか。
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