106話 家のご飯は何故か洋風どすえ
盛り上がっている父さん達の元を後にして談話室に戻る。
「えへへ、お肉良いところだしてきたよーー。楽しみにしてね」
「お父様のご飯はおいしいんですってね、期待させていただくわね」
「本当においしいのよっ・・・、あそこのお店よりいいかもしれないわ」
「そうなの?それはすごいわねぇ」
王妃様とマイヤさんが食事について話し込みはじめたので、場所を移動。
ちょっとバタついたから忘れてたけど、ブライアンの友達だか仲間を呼ぶって話を聞いとかなきゃだったんだよね。
「そういえば、ブライアンさ」
「にゃー(なんにゃ?)」
「お友達を連れて来るって話をしてなかったけ?」
「にゃにゃー(そうにゃ、わすれてたにゃ)」
「あはは、ちなみにどれくらい呼ぶの?」
「にゃー(まだ決めてないにゃ、家の無い子とかが優先にゃ)」
「まっそうだよね、ご飯の都合とかあるから決まったらメイドさんへ人数というか猫数を教えてもらっていいかな?」
「にゃー(わかったにゃ)」
「猫さんが増えるんですか?」
「ああリア殿下、そうです。ブライアンが地域のボス的な事をしてるので、面倒みないといけない子がいるみたいです」
前に雨が降ってる時に様子見に行った子とか家の庭でお肉祭りした時の子とかね。
「猫さんのノブレスオブリージュですわね」
ブライアンは貴族なのか。ってかその言葉こっちにもあるのな。
「にゃー(にゃー)」
リア殿下もすっかり虜にしたようで、魅惑の毛並みとかいうSSRスキルつよひ。リア殿下とセレネ姉さんは、ブライアンを介して仲の良い距離感みたいなので、今のうちに夕飯に王妃様達が一緒しますよってのを冒険者娘に伝えてくるとしますかね。
「ウェル君、どこいくのー?」
「んと、マキスさん達に今日の夕飯は王妃様達も一緒ですよって言っておこうかなって」
「ああっなるほど」
「ウェルギリウス様、それはこちらでやっておきます」
扉近くに居た近衛の一人が請け負ってくれた。そのまま近くに居たブライアンのメイドと相談をはじめた。
ここでそのメイドと話したらダメなんじゃん? 王都のマイヤさんのとこから来てる体裁だけど任務というか別の目的がある子だってのは、こっちも一応気付かないふりしてんだからさ。
とりあえず、スルー気味にお礼だけいっておこう。
「申し訳ないけど、お願いします」
「任務の範囲になりますので気になさらずに」
任務って言っちゃったよ。ブライアンのメイドさんがちょっと怒ってる、ぷぷぷ。後で怒られておきんしゃい。まあ、んーとあれか冒険3人娘が安全かどうかを確認するのかな?
「僕の身内同然なので、ほどほどでお願いしますねー」
「宜しく頼むわね」「頼むわよ」
王妃様とリア殿下が後押ししてくれたのでマイルドなチェックになるだろう。ちょっと慌ててフォローしたのは、アレかメイドの任務問題とウェル君学園にぷんすこする事件のせいかー。そうか、そうだな。
2人にありがとうの意を込めて目礼をしておく。
王妃様はバッチコーン!ってウィンクして、リア殿下は小さく手を振ってくれた。
バッチコーンじゃ誤魔化し切れないと思います(笑)
そうなんですブライアンのメイドさんは、王家から指示を受けて来ているメイドさんです。思うに僕は結構な特異点だし力も大きいので異常や緊急時にすぐ動ける現場の人って事かな。って感じで気づいていたけどスルーしてるんだよね。なにかあったら動ける人が欲しいのは確かだからね。
ブライアン曰く「セレと同じ位、気に入ってるにゃ」って事だから、大分面倒を見ているんと思うんだよね。猫に気に入られる程の世話ってかなり手間かかるし、本人も好きじゃないと出来ない事だからね。まあそんな問題無しと判断。個人的に武装としてふとももに苦無か鉄芯を持ってもらいたいけどね。
その後は大きな話も雑雑とした話をしながら、とりあえずカチカチになっている母さんとロトルさんの緊張を解しつつ会話の仲介をしたりして食事の時間をまった。
・・・・
程よく会話も温まってきたところで、食事の用意が出来たとメイドさんが伝えに来た。
談話室に居た全員で食堂へと移動する。メインはカツレツなんていってたけど、今日のご飯はどんなろうなと少し期待してる。だってぇ王宮の料理人さんと父さんの合作でしょ?仲良さげにヤイノヤイノと作ってたしね。
談話室から移動した組が席について配膳を待っていると、冒険娘達も近衛とメイドさんと一緒にやってきて席に着いた。
タイミングを見計らったように配膳がはじまった。見た事のメイドさんもいるし、ここらへんの対応はさすが王宮メイドって感じだねぇ。
複数の大きな皿に色んな種類の料理が並べられて運ばれてくる。
ピザ、カレー、ハンバーガー、カツレツ、洋風餃子的なラヴィオリ、タリアテッレみたいな平たいパス、各自に配布されてるスープはなにかのポタージュかな。
父さん、気合入ったね。ラヴィオリとかこれチャレンジ作じゃないの?
配膳が終わったタイミングでマイヤさんから声をかけられた。
「ウェル君、食事前の御挨拶をお願い」
あや、まあやらないとダメよね?
「はーい、わかりました。それでは、本日はお客様として王妃様とリア殿下、そして領主様がいらしております。通常であればご一緒する機会が無いかもしれませんが。縁あってこの屋敷にて一緒の食事を取ることとなりました。ここの食堂のルールは美味しく楽しく食べるです。平民側から言うのは少し問題があるかと存じますが、身分の差は気にせずに命の糧を分かち合い晩餐といたしましょう」
こんな感じでいいかな?と王妃様、リア殿下、マイヤさんをみると頷いているので良しとした。
「それでは、いただきます」
「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」
王妃様とリア殿下は、専用に置かれた中くらいのお皿から王宮料理長がとりわけて毒見役かな?メイドさんが先に口にしたものを食べている。
他のメンバーは各々が食堂の大テーブルより、自分の皿に小分けをして食事をしている。
父さんは何故か一緒に食事をせずに、壁際に立っている他の料理人さんと一緒に並んでいる。後で料理人と近衛さんとメイドさん組で食べるのかな?それはそれで楽しそう。
「見た事の無い料理ばかりですわ」
思わず呟いたリア殿下に同意するように王妃様も続ける。
「そうね、マイヤったらこれを好きな時に食べてるのね」
「いいでしょ」
ちょっと子供っぽいドヤなマイヤさんだ。レアいレアい。
「これはウェル君の教えてくれた、お料理なんだよ」
「そうなのですね。素晴らしいですわ」
王妃様とマイヤさんに流されたリア殿下の呟きをセレネ姉さんが拾って答えてる。みんなそれなりに交流はじめたかな。それじゃ僕も食事に集中しよ。
主食はタリアテッレかな大皿に特盛だし。濃いめのクリームっぽいソースがよく絡んでいてボリュームもあって美味しい。ソースはなにつかったんだろうブイヨンの味がうっすらするような気がする。
そして意欲作?のラヴィオリ、これは・・・肉とネギっぽい野菜が刻まれてピリッと辛い味付けだ。これは旨い、きっとビールがあったらやばいやつだ。ビールはこの世界にないっぽいけど。
最後は、カツレツ。もうこれ言葉はいらないよね。ってレベルでウマい。油が少ないから焼き焦げ出るかなって思ったらそうでもない。これはあれかね焼いた油をかけたりと火の通り加減を調整したのかな。
ふと父さんを見ると、どうだって顔してたので旨いとゼスチャーで伝えておいた。うれしそうな顔をしている。ここまで出来れば、どんな料理でも大概は出来そうだ。これを揚げる、蒸す、焼く、煮るだけでも違う感じになるしさ。
あちこちで楽し気に食事を進めている声と音がする。うん平和、こういうのでいいんだよ。
そのまま楽しく食事を終えて、王妃様とリア殿下とマイヤさんは領主邸へ戻って行った。こちらに泊まるのかな?っておもったけど服飾やメイドの体制の問題とかがあるのであちらにするそうだ。
なんにせよ、王妃様来訪ってイベントのスタートは無事成功かな。僕は慣れて来たけど、家族だったり冒険娘達は疲れただろうな。お疲れさまーと心で言っておこう。
さて、明日からはなにしよっかな。
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