102話 ねこねこにゃんにゃんだれとも
猫別邸が出来たので、ブライアン を探しに屋敷に戻る事にした。
エントランスに入ると、マキスさんとアレサさんが何やら話して居たのでブライアンの行方を聞いてみる事にした。
「マキスさん~、アレサさん~。ブライアンみませんでした?」
「ん~、朝ご飯が終わってからは見て無いわね」
「そうだな」
「はーい、じゃあ他の所探してくるね。ありがとう」
「いってらっしゃーい」
さて、何処に居るんだろうね。とりあえず談話室かな、あそこで日向ぼっこしながら寝てる事多い気がするし誰かしら居るだろうから行方を聞けるでしょう。
談話室では母さんとロトルさんがお茶をしていて、セレネ姉さんとブライアンが居た。
みっけみっけ。相変わらずセレネ姉さんに甘えてる。ずるいのだー。
「ぶらいあーん、庭で作ってた遊べるお家が出来たよー」
「にゃ(お家はあるにゃ?)」
「ふふふ、猫が遊べて過ごしやすいお家を専用に用意したのだよ。ブライアンくん」
というか、工事は結構前からやってたのに。ほんと興味の無い事は覚えないのなぁ。
「なになに?ブライアンのお家を作ったの?」
「うん、ブライアンが遊べる場所を屋敷の中に作るよりいいかなって思ってね。とりあえず気に入るかわかんないから連れていってみようと思って」
「ふぅーん、じゃあ行ってみようよ」
「にゃ(わかったにゃ)」
むむむ、反応悪いな。まあ、ねこじゃらしとかの小物も沢山作ったし気に入ると思うけど、どなんだろ。
セレネ姉さんに抱かれたブライアンを連れて、庭に作った猫別邸へと移動、ちなみに母さんとロトスさんは暇をだったのかな?付いて来た。
「ぶらいあんー、この建物です。じゃじゃん」
「にゃー(ここかにゃ)」
「すごいねー、宿屋にあるお家より広いかも」
ふふふ、ブライアンが地域ボスみたいだから。何匹呼んでも大丈夫なように大きいサイズにしてるんですぞ。
感覚だからわかんないけど50~70平米くらいあるんじゃないかな?貴族の屋敷だっただけあって、庭がアメリカンサイズって感じだから余裕あるしね。
「そうそう、出入りしやすいように扉の下に通用口ついてるから、そこからどうぞ」
「にゃー(にゃー)」
ブライアンが通用口から建物に入って行ったのを追いかけるように扉を開けて入る。セレネ姉さんと母さん達も後に続いて入る。
「にゃー(広いにゃ、いろんな住処があるにゃ)」
「ふふふ、どうよ?僕の知ってる範囲で猫が過ごしやすい設備を整えたよ」
ブライアンはスンスン鼻をならしながら、あちこちを動き始めた。大工さんだったりの匂いも残ってるだろうから、少し落ち着かないのかな?
「ウェル君、これはまた凄いの作ったわねぇ」
「えへへ、前の記憶にある猫さんと遊べる喫茶店を参考にしたんだよ」
母さんがふわふわの毛皮で作られたキャットタワーの手触りを確認しながら話しかけて来る。
「そうなのねぇ、前の世界にも猫ちゃんが居たんだね」
そそ、居たんだよね。ほぼ猫種っていうのか毛並みや柄、そして種別もあんま変わらない感じなんだよね。
きっとお貴族様のお屋敷に行くと毛の長いノルウェージャンみたいなのが居る筈だと思う。
「そうだねぇ、人と動物は同じ感じじゃないかなぁ。人の種類と魔物が居ないだけが違いって感じなんだと思う」
「そうなんだ、なるほどね。それでこのお家なのね」
「そこは、えへへ。ブライアンへの愛?」
「ふふふ、うらやましいわね」
室内のあちこちを興味深げに動き出したブライアンを見つつ、母さんとロトルさんと談笑をしているとセレネ姉さんがやってきた。
「ウェル君、ここにお仕事無い日は遊びにきてもいい?」
「もちろんいいよ、いつでもどーぞ。って宿屋だし休みないんじゃ?」
「そうそう、ウェル君には言ってなかったわね。新しいお店は従業員も増やすしてお休みを取れるようにしたのよ」
おぉー、そっか宿屋ってより大規模料理店って雰囲気だったし。たしかにね張り付き仕事じゃなくなるのか。
「いいね、そうだよね。どっちかっていうと料理店って言った方が良いもんね」
「うんうん、バックス君は頑張っちゃう気がするけどね。あはっ」
うん、なんか父さんはやっちゃう気がする。
にしても、代々続く宿屋じゃなかったけ?そこらへんはどうなんだろうね。僕はいままでお祖父ちゃんちゃんやお祖母ちゃんの話を聞いたことないな。後で聞いてみるか。
「にゃーにゃん(ウェルーここは自由にしていいにゃ?)」
「うん、もちろんだよ。ブライアンが自由にしていいお家だよ」
「にゃー(知り合いとかを連れて来てもいいかにゃ?)」
「どうぞどうぞ、でもおトイレとかちゃんと教えてあげてね?あっちにあるやつ」
部屋の隅あるトイレ用の設備を指さして教える。
「あそこは砂が入ってて、おトイレして汚れたら砂を交換する感じだよ。お外やあちこちでしないでね」
「にゃ(わかったにゃ、後で使ってみるにゃ)」
来る猫の数にも依るだろうけど、1日1回くらい替えれば大丈夫でしょう。たぶん、替えの砂は状況みて用意しよう。
どうせそこらの土を乾燥させてカラカラにして砂漠的にして使うだけだしね。
「ウェル君、ここにある玩具も自由にしていいの?」
「うん、猫が興味を持ちそうなのを作っておいたから好きにしていいけど、持ち出しだけはしないでね」
まあ、猫じゃらしやネズミのぬいぐるみにワームみたいなウネウネをつけた釣り棒だけど、備品管理は大事だからね。
「それで、ブライアン気に入った?なんか遊びづらい住みづらいあったら教えてね」
「にゃーん(気に入ったにゃ、わかったにゃ)」
珍しく僕の足元に来てスリスリからの抱っこしろ背伸びだ。かわええ。甘えておる。
「ふふふ、なら良かった。お友達と一緒に遊んでね。寝るとこも作ってあるからお友達も住んでいいからね」
「にゃー(はいにゃ)」
おうふぅ、素直なブライアン。抱き上げて撫でつつ毛並みを堪能する。
あいかわらずの超すべ超つや超ふわの超STFな毛並み。これは癖になるよなぁ。ステップオーバなトォーフォールドではないね。
・・・そうそうお祖父ちゃん達の話しだった。ロトルさんも居るしどっちの話も聞けるでしょ。
「ねぇねぇ母さんロトルさん?ふと思ったんだけど、いままでお祖父ちゃん達の話しを聞いたことがないんだけど、、、どんな感じなの?」
母さんとロトルさんが顔を合わせて、ロトルさんはアレ?って顔してる感じかなぁ。
「あー、そうね。まだ言って無かったわね。私のお父さんとお母さんもバックス君の所も元気よ」
おーご健在なんだね。そりゃそうか二人とも若いしね。
「うんうん、僕が言うのも変だけど孫かわいいで会いにくるものかな。なんて思ったりするんだけど」
母さんはちょっと気まずそうな顔をしつつも答えてくれた。
「うちは、ほら年中お仕事だったし。それとウェル君が生まれる前に特別な子ってお話しだったからね」
あーなるほど、なにが起きるか分からないから落ち着くまで距離とってたのかな?
「あーなんかごめんね。何があるかわかんないって感じだったもんね」
「まあ、そうね。どちらの家も無事に成人するまでは、ある程度の距離を取ろうってなってるわよ」
「うちもそうねぇ、でも遠くからこっそり眺めていたりはしてたわよ。私の家に泊まりに来てね」
ふむふむ、ってことは他の街とかに居るのかな。まあ、移動可能な距離に居てご健在ってことだ。
「あれだね、もうここにお家も出来たし。部屋も多いから遊びに来てもらってもいいのかもね」
「そうね、そうよね。今晩にでもバックス君と相談してみるわね。さっき聞いたと思うけど、お父さんもお母さんも手紙だと会いたがっていたしね」
流れ的には教会で明確になって、なんだかんだとマイヤさんと王家との仲も安定して、教会だったり欲深い貴族だったりが手が出せないようになってるわけだしね。
この屋敷に居る間、変なの来てもリリさんがサーチアンドデストローイしちゃうと思うし平気かな。
「さて、ぶらいあん。ここはもうブライアンの場所だから。友達を呼んだり寝泊りしたりと自由に過ごしていいからね。そうそう時々お掃除にメイドさんが入ったりするのだけは許してあげてね」
「にゃー(にゃー)」
ふふふっ、いつもの会話終了の合図だ。同時に僕の手から降りて、ごきげんにしっぽを振りながら、あちこちに飛び乗って遊びだした。よきかなよきかな。
こういうのはごちゃごちゃ説明するより、好きに過ごしてもらったほうがいいよね。
ってことで、きゃいきゃいとかわいい声を出して遊んでるセレネ姉さんを残して、僕と母さん達は猫別邸を後にすることした。
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