99話 過ごすにあたっての決め事とかー

 みんなを我が家にごあんなーい。

 

 家業の都合で息子のお家を初めて見る事になる父さんと母さんには、今後も心配をさせないようにしないとね。

 

 「話には聞いていたけど、本当に立派なお家ねぇ」

 「領主様からいただいたんでしょ?」

 

 「すごいよね、マイヤさんにお金を払って手配をお願いしたらお隣になっちゃった」

 

 まあ、あれをお金を払ったって言うのは申し訳無いけどね。大きな屋敷に驚きの声を出している母さんとロトルさんの問いかけに、ちょっと訂正をいれつつエントランスへと向かう。

 

 「「「おかえりなさいませ」」」

 

 おや、普段は清掃をメインにしてくれている、マイヤさんとこのメイドさんと執事さんが迎えもしてくれるのね。

 

 まあ、今はマイヤさん居ないし。手が空いてるのかな?なんて思っていると執事のおじいさん(未だに名前を知らないけどダンディオブダンディしつじぃ)が近寄って来た。

 

 「マイヤ様より、不便無きようにと承っております」

 

 んー、そなんだ。マイヤさん気を使いすぎじゃない?僕の家に家族を呼んだだけなんだけどなぁ。

 

 「わかりました、ありがとうございます。基本的には客人では無く家族としてここで数か月暮らすイメージなので、今までとあまり変わらない感じでお願いしますね」

 

 「畏まりました」

 

 「普段の生活を見て貰った方がいいと思うしね」

 

 「はい、顔合わせと荷物の移動等もあるかと存じましたので、人員を揃えさせていただきました」

 

 「わかりました、ありがとうございます」

 

 「父さん母さん、こちらマイヤさんの執事さんです。普段は屋敷の掃除とかをしてもらってます。今日は滞在する期間の荷物運びと顔合わせで来ていただきました」

 

 「執事殿、普段から愚息がご迷惑をおかけしている。今後とも宜しくお願いします」

 

 父さんの礼に合せて母さんも頭を下げる。なんというか父さんが対人コミュニケーションをしている姿ってあんまりみないから新鮮。今後とも宜しくみたいな大体あってるけど、ちょっと違くない?に父さんらしさを感じてしまった。えへ。

 

 「はい、承りました」

 

 執事さんは綺麗な角度をお辞儀をして、僕に向き直った。

 

 「まずはお荷物をお預かりして、皆様のお泊りになるお部屋へお運びしておきます。お部屋はこちらで決めてしまっても宜しいですか?」

 

 「はい、お願いします。荷物は僕が預かっているので出しますね。とりあえず、みんなを一階の談話室に案内してもらっていいですか?その間にここに荷物を出しておきます」

 

 「畏まりました」

 

 談話室への案内を執事さんにお任せして、エントランスに残っているメイドさん達にアイテムボックスから荷物を出していく。

 

 部屋割りもしてくれるっての事なので、どの荷物が誰の分ってのを伝えながら間隔をあけて床に出して移動をお願いしておいた。

 

 それにあわせて急遽、泊ることになったマキスさん達は客人扱いでと伝えた。

 

 各人の続柄だったり関係を伝えつつ荷物を渡し終えたので、談話室へと向かって皆と合流しましょう。ってことで先ほどから側で控えているマゼッパさんと一緒に談話室へ移動です。

 

 7人分の荷物になったので結構時間かかっちゃったけど、父さん達は大丈夫かな?

 

 なんて思いながら談話室へ入っていくと、うん結構寛いで居るね。

 

 室内に入り、皆の居る所へ歩きながら様子を見てみると、2グループに分かれてメイドさんに出してもらったお茶を飲みながら談笑してるっぽい。

 

 母さんとロトルさんが話してるのを父さんが近くで聞いてて、ブライアンはセレネ姉さんになんか自慢してるっぽい。ここが一番大きい応接セット。

 

 冒険娘はちょっと緊張気味に?遠慮気味に座ってお茶を飲んでるって感じで、室内の中央から離れて少し窓際にある応接セットに座っている。

 

 元貴族の別宅だったので、それなりに豪華な談話室にちょいちょい前世風のインテリアをぶっこんでいるのでちょっとお高い感じですもんね~。

 

 「滞在期間の荷物あずけてきたよー、部屋割りは執事さんが決めてくれるってー」

 

 「あっウェル君お疲れ様~」「ん、お疲れ」「お疲れ様~」

 「にゃ(ウェル遅いにゃ)」「ウェル君おかえりー」

 

 「ウェル君おかえりなさいっ」「荷物の運搬まで、何から何までありがとう」「・・・ありがとう」

 

 各グループそれぞれからお返事をもらいつつ、えっと色々決めなきゃいけないよね。と軽く考えながら父さん達のいるテーブルとソファの応接セットに座った。

 

 身内だけだし、もう脊髄トークでいいかな。考えないでポンポン話していいよね。

 

 「ふぅー。ようやく父さん達にどんなところに住んでるかを見てもらう事が出来るよ」

 

 「そうねぇ、お家の都合でどうしてもねぇ~」

 「すまんな、ウェル」

 

 「ううん、それはいいんだ。仕方ない事だよ。でもまあ、安心してもらいたいって気持ちもあったし、以前も話した通りでマイヤさんに手配してもらったから問題は無いと思ってくれてたんだろうけど・・・実際にね、見てもらいたかったてのはあったよ」

 

 「そうね、領主様に見ていただいてるってのはあったわね。それにしても、すごい立派なお屋敷よね、お部屋もたくさんあるんでしょ?」

 

 「そうだね、2階にもたくさんお部屋があるかな。なんでもマイヤさんの知り合いの貴族さんの別邸だったらしいよ」

 

 「ウェル君は何でも出来ちゃうから大丈夫だと思うんだけど、これだけ広いとお掃除だって大変なんじゃない?」

 

 「うーん屋敷の管理自体はマイヤさんのところのメイドさんがお手伝いしてくれてるのもあって大丈夫だよ。あんまりマイヤさんに頼るのもアレだから、そのうちに専門の人を雇おうと思うけどね」

 

 「そうねぇ、あんまりご迷惑かけられないわね」

 

 「うん、色々と秘密というか気をつけなきゃいけないこともあるから、手を出しづらいけどそこは早めにやっておくよ」

 

 「さて、どうしよ。ここで滞在するのに決めておかなきゃいけない事とか決めちゃお」

 

 「ん、そうだな」「そうね」

 

 流石夫婦、ここはかぶるんだ。まあ大事なとこだしね。

 

 「えっとじゃあ基本的な事から、ここは小物や備品に至るまで全部僕のものになるので家に居る時と同じ気持ちで過ごして貰っていいよってのと、マキスさん達は宿に泊ってる気持ちでって感じでお願いしたいかな」

 

 「見る限り設備や調度品も高価な物が見えるがいいのか?」

 

 「うん、自由に見てもらったり使っていいよ。もちろんマキスさん達もね」

 

 「ん、わかった。」

 

 「ありがとうございます」「申し訳ない」「ウェル君ありがとう」

 

 「他は何だろう、飲食についてくらい?いままでご飯は自分で作ってたけど、父さん作る?ああ、後はお風呂とか時間で決めないとダメか男って僕と父さんだけだもんね」

 

 「そうだな、食事は全員分を作ろうか。後で厨房に案内してくれ」

 

 「うん、わかった。大分近代化というか新しいものにしてるから期待しててね」

 

 「ん、頼む」

 

 「お風呂があるのね。ってそうよね~立派なお屋敷ですもんね。お風呂はバックス君だけ気を付ければ大丈夫よ。うん」

 

 「んーほらマキスさん達も居るからね。僕らは家族だけど、入浴中の札でもかけておこ」

 

 「はい、それでお願いします」「そうしてくれるとありがたい」「・・・ウェル君ならかまわない。むしろご褒美」

 

 「 えっと、一人意見が違うけどまあいいよね。入浴札さいようでーす」

 

 ・・・

 ・・

 ・

 

 その後、細々した事を決めていると執事さんが来て部屋に荷物を運び終えたとの報告を受けたので、アイテムボックスから筆記用具を出して、その場で簡単な2階の間取り図を書いて部屋割りを書き込んでもらってみんなに確認をしてもらった。

 

 とりあえず荷ほどきと荷物確認とかもあると思うので、二階の各部屋に移動してもらってから数刻後にエントランスに集合してもらってから各設備の説明をすることにした。

 

 ちなみに細々とした事は、滞在費とか外出から帰宅時の出入りのルールとか、まあ家とか拠点として活動するのに困らないような決め事。

 

 説明するのは一階の共用設備くらいだけどねー。まあお約束ってことでー。

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