95話 マイヤさんに、マイヤさんがご相談

 久しぶりのようで久しぶりじゃないマイヤさんのお家に到着。

 

 まあ、隣なのでタイミングが合う時は、お茶や食事を一緒にしたりもしてるのでね。

 

 マゼッパさんが、エントランスでマイヤさん所のメイドさんと会談する場所の調整をし、はじめて来た時と同じカフェテラスのような場所に案内された。

 

 外の風が程よく入って来て、貴族の茶室だなぁという感じ。

 

 席を勧められてすぐにマイヤさんと執事のおじいちゃんが入室してきた。

 

 「お待たせしました」

 

 「いえいえ、案内をしていただいたばかりですよ」

 

 ちょっと前までは、マイヤさんとマゼッパさんというコンビで僕対応だったけれども、マゼッパさんは今僕の隣にいるので執事さんがマゼッパさんに付いている感じ。

 

 元からそうだったのかな?なんか人員配置に手間かけちゃってすいませーん。

 

 「さて、今日はお庭に何か建てるんだっけ?」

 

 「あっはい、それに合わせて工事関連の業者が入るのでついでに両家の庭を貫通させたらどうかと思いまして」

 

 「なるほど、それはそうね。一気にやってしまうのがいいわね」

 

 「はい、工事している間の警備の事もあるかと思いますので」

 

 「わかったわ、それでお庭にはどんな建物を建てるのかしら?」

 

 「えっと、模型と建物の概要を書いた冊子を持って来てます」

 

 そういいながら、チマチマと作成した猫別邸の模型と要件定義書(笑)を一緒にアイテムボックスから出してテーブルの上に置く。

 

 「相変わらず、すごいもの作るわね。えっとそれが模型で、こっちの本みたいなのが・・・なにかしら。猫別邸建築に関わる要件定義書・・・っていうのね」

 

 マイヤさんが冊子をパラパラとめくり、流し読みで一度最後まで目を通して、こめかみを両手で押さえて執事のおじいさんに渡した。

 

 「えっとウェル君が書いたのよね」

 

 「はい、ちょっとふざけちゃいましたけど」

 

 「ふぅ~、正直に言うと建物を建てるのあれだけの書類を書く必要は無いわ。たぶんお城を作る時ですら書かないわね」

 

 「そうですか、でも建物たった後に欲しいものと違うものだったら困るかなって」

 

 「そうなのよ、基本的に家や建築物は腕のいい職人に頼む。出来上がりは職人次第なの」

 

 うん、そうだよね。うすらぼんやり把握してる世間の風潮的にそうだろうと思ってた。

 

 まあ遊びで書いたものだし。いいんだけどね。

 

 「これはすばらしいですな、聞きしに勝る才覚ですな」

 

 執事のおじいさんが手にした冊子を閉じて、こちらに向き直り独り言?を言ってる。

 

 偉大なる先人の知恵でござるよ。

 

 7W2Hだっけか?隙あらば騙す。隙あらば奪う世界では知識で防御しないとダメだもんね。

 

 「えっと、何時、何処で、誰が、何を、何故、誰に、どっちに、どのように使う、どれくらい使うを文章にしてある感じです」

 

 「なるほど、一定の基準で考えるんですな」

 

 そう言ったまま、執事のおじいさんは読み込み出してしまった。略してしつじぃさんや。

 

 「それじゃ、この模型があればいいくらいですかね?」

 

 「そうね、これがあれば作れるわね。ウェル君に大分慣れたと思ってたけど、こういう才能もあるのねぇ文官としても、やっていけるわよねぇ」

 

 「ですな、すでにこの文章を独創でまとめている時点で充分でしょう」

 

 しつじぃのお墨付きをもらった。まあ文官にはならないけどね。

 

 「ややこしい説明になっちゃいましたが、この模型や冊子に書いてあるような建物が欲しいんです。」

 

 「そうね、これを庭に建てるのね。わかったわ、こちらで手配してもいいかしら?」

 

 「はい、庭の貫通工事もあるかと思いますのでお願いしたいです。かかった費用は請求いただければと思います」

 

 「はい、そうしますね。それじゃ任せていいかしら」

 

 マイヤさんが執事さんに向き直って話しかける。

 

 「はい、承りました。ちなみにこちらはお預かりしても?」

 

 マイヤさんがこちらに目線を投げて来たので了承の返事をする。

 

 「ええ、どうぞ」

 

 「それでは、こちらの冊子と模型を元に領内の職人を手配しようと思います」

 

 そのまま執事さんは室内のメイドさんへ声をかけて慎重に模型を持ち、メイドさんが冊子を慎重に持って退出していった。

 

 おそらく、手配をはじめるのだろう。急ぎでは無いんだけどね。まあいいか。

 

 「それにしても、いつも驚かされるわね」

 

 「なんか、すみません。書いてたら楽しくなっちゃって」

 

 「ふふふ、いいのよ。ちなみにあの考えた方や書式って真似てもいいのかしら?」

 

 「ああ、もちろんどうぞ」

 

 「あの建物は、ブライアン君のお家ってことでいいのかしら?」

 

 「そうですね、ブライアンとブライアンのお友達のお家って感じで設計しました。屋敷内で爪研いだりされたら、ちょっと困るかなって思ってブライアンが好きにしていい場所作ってあげようと思って」

 「ふふふ、ほんと仲良しね」

 

 「会話も出来ちゃうし、付き合いも長いですから兄弟みたいなものです」

 

 その後、とりとめの無い雑談をしつつお茶を飲んでいた所でマイヤさんからお願いを切り出された。

 

 「実はね、、、というわけなの」

 

 なんだってーーーー!!!

 

 ああ、大したことじゃ無かったです。王妃様と王女殿下がマイヤさんの家に学校の休暇に合わせて遊びに来るから都合が合う時に一緒しませんかって話し。

 

 「王妃様とリア殿下がいらっしゃるんですか、なるほどタイミングが合えばという事で大丈夫ですか?」

 

 僕自身は学校行ってる訳でも、定職持ってるわけでも無いから都合はいつでもつくんだけどね。

 

 一応形式美としてね、ん?形式美?まあどっちでもいいか。

 

 「うん、それでいいわよ」

 

 ええんかい!


 ほら普通さ王族なら、なにより優先とかじゃん。格好つけて、あー忙しいからな的なポーズとったけどさ。形式だか様式美的にさぁ。

 

 「まあ、特に変な予定は入らないと思うので大丈夫だと思います」

 

 「ふふふ、そうね」

 

 くっわかってて回答したな。大人貴族だ。

 

 とりあえず、猫別邸の話とお願いは承ったので、後は家の事やメイドさんの手間の事なんかを雑雑と話してマイヤさんとのお話は終わりって感じですかね。

 

 「ふたりとも用件はこれくらいですかね」

 

 「そうね、後は特にないわね。どうするご飯食べていく?」

 

 「そうですね、お願いしていいですか?」

 

 おかんみたいな事を言ってくれたので、お言葉に甘えて今日はマイヤさんところで食事することにした。

 

 その後はあれよあれよとお泊りになるのだろう。

 

 最近似非エステもしてないしね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る