94話 家改造の為に資材調達的なアレが必要

 翌日の朝のタイミングで確認をすると、マイヤさんの時間が空くのは午後になってからとの返事を貰ったので、それまでの空き時間に街へ出て買い物をすることにした。

 

 家にある家具や道具を自分の使いやすいように作り替えたり、新たに作る為に石材、木材、各種鉱石、布、羽毛、綿等が大量に必要だなと思って買い物をしたかったのだ。

 

 買えるなら買えるだけ欲しいな、と言う事をメイドというか秘書化してきているマゼッパさんに相談すると商人ギルドを勧められたので、そこまで足を運ぼうと思う。

 

 まだ見た目も実年齢も低い為に、商人ギルドで大量購入する時に面倒が起きないようにしたい思惑もあってマゼッパさんに相談したのだけどね。


 そしたら商人ギルドに行くに前に、マゼッパさんが事前に連絡をしてくれるらしい。

 

 なんつーか貴族の先触れ的な?貴族じゃないんだけどね。

 

 まあ大口だったりするとそれもあるのかな?デパートの外商みたいなもんかね。まっいっか。細かい事は。

 

 てな具合にマゼッパさんが先触れを出して、馬車を手配してくれたので馬車に乗って移動。

 

 「お忙しいところお付き合い頂いて、すみません」

 

 「ウェルギリウス様、私の主はウェルギリウス様となりますので問題ありません」

 

 「あれ?マイヤさんの所と兼任なんじゃなかったっけ?」

 

 「はい、形式上はそうなりますが、ウェルギリウス様が執事を雇われるまでは専任としております」

 

 んん?そんな話だっけか?・・・まあ、マイヤさん側で問題無いならいけど。

 

 ってかあっちには執事のおじいちゃんみたいな人いたね。大丈夫か。いっか。

 

 「そうですか、まあマイヤさん側で問題無いならいいのかな?」

 

 「はい、問題ありません」

 

 そっか、どっかで執事とかを決めなきゃなぁ。っていうかだよ?

 

 貴族でも無いのに、執事だのメイドっているんかえ?

 家政婦さんだとか掃除業者だか管轄知らないけど、便利なハウスキーパーがいればいいだけじゃないのかなぁ。

 

 「ちなみに、執事さんってどこで雇えるんですか?」

 

 「・・・っ、商人ギルドにて紹介してもらえますが、私では問題がありますでしょうか?」

 

 ああっ、話の流れ的にそう取ってもおかしくないか。

 

 「問題があるわけじゃないですよ、ただ兼任状態で大変だろうし、僕は貴族でも何でもないから畏まった対応をされても少し困るなぁってだけですよー」

 

 ちょっと語尾伸ばして気楽な感じで回答しておけ。ゆるーい感じに伝わるべ。

 

 「良かったです。そうですか畏まった対応ですか・・・マイヤ様と相談してもよいですか?」

 

 「はい、どうぞ?」

 

 口調を変えるのに、なにを相談するのか分かんないけど。まあいいでしょ。

 

 

 そうこう話してをしている間に、馬車は商人ギルドへと到着したらしく停止した。

 

 「到着したようです、まいりましょう」

 

 マイヤさんが先に立ち上がり、手を差し伸べてくれる。

 

 それ紳士風に僕がやりたい所なんだけど、と思っても8才なのでサイズ的にダメぽ。もうダメぽ。

 

 気を取り直してっと。

 

 商人ギルド、存在は知ってたし建物は外から見た事があった。

 

 転生前の世界説明や転生後の噂話とかで、物販や土地売買とかあたりを管理してるという話しだったと言う認識、国家とは別に組織体系をもった団体だったっけかな。

 

 カルテルやトラストを推奨して利益を得る団体なんだわさね。

 

 今までは、儲けるのは勝手だけど変な関与をしてきそうな団体ってことで、少し警戒をして距離を取ることにしていた。

 

 実際に、父さんのレシピに興味を持ったり、天使像に関与しようと画策してるっぽく、宿に来てたのでね。

 

 今日は買い物に来ただけだけど、面倒が起きないといいなぁ。

 

 なんて事を考えながらマゼッパさんと一緒に商人ギルドの扉をくぐる、千客万来なのかもしれないけど門についてる扉は解放されていて、内部には市役所みたいな受付ロビーが見える。

 

 受付になっているだろうロビーには、多種多様な人や人種が居て面白い。

 

 冒険者ギルドと違って、行商や買い付けで色んな人達が出入りするんだろう。

 

 エルフ、獣人、ドワーフ、人と知ってる限り全ての種族が見受けられた。

 

 ・・・すごく個人的な感想だけど、真っ黒に日焼けしてて少し太り気味のエルフを見た。

 

 すごくレア遭遇なんじゃない?とか思ってしまった。

 

 ふむ、あちこちの街で行商したりしておしいものを食べて暮らすのも楽しそうだね。

 

 周りの様子を伺いながら受付のある場所までロビーを移動していると、2階から少し豪華だけどダサい服を着た人が降りて来た。

 

 すごくダサい。首元に関西製のハリセンみたいなやつがついててズボンはいわゆる変形学生服のボンタンみたい。

 

 これは酷い。あふれだすダサさに悲しみが苫小牧。あいきゃんすとっぷ。

 

 「マゼッパ様、ようこそいらっしゃいました。してそちらがご連絡のあった御仁でしょうか?」

 

 「はい、ウェルギリウス様です」

 

 変なおっさんの登場とマゼッパさんとのやりとりで注目を集め始めている。まあいいけど。

 

 変なおっさんは人を値踏みするように、ねぶるようような目つきで上から下まで見回した後に納得したような顔になり語りだした。

 

 「これはすばらしい、それでは参りましょうか」

 

 そう言って階段を昇り始めた。

 

 なんだかなぁ、クソ失礼な人だな。名乗らず?人を値踏み?・・・そんでダサい。

 

 ちょっと相手にしたくないですね、領主のメイドであるマッゼッパさんには用事があるみたいなのでいってらっしーとしますか。

 

 「マゼッパさん御用があるようでしたら、僕にはおかまいなく」

 

 クソでダサいおっさんはマゼッパさんに任せた。

 

 それじゃわしは買い物でもするかのぉ。ふぉっふぉっふぉっ。

 

 自己流のアンガーコントロールとして、心をジジイにするという技術を発動しながら、その場から離れて受付ロビーへと歩き出した。

 

 心をジジイにするを発動すると、スキル「すぐ忘れる」「聞こえんかったのぉ」「ご飯はまだかぇ」が発動できるぞ!みんなも試してみよう!

 

 イメージは偉大なコメディアンだったS村さんの演じる婆さんだぞ、心をジジイにするのにモデルが婆さんという謎システムだぞ。

 

 などと思考をアホ色に染めて怒りを打ち消しながら歩き出すと、後方でマゼッパさんの「承りました」が聴こえたので良いでしょう。

 

 僕は、あのおっさんを信用する事は出来ない。

 

 受付ロビーは「一般商談」「土地商談」「融資商談」「ギルド会員窓口」と要件毎にわかれており、一般商談とかかれたスペースが大きくとられてあった。

 

 今回買いたいものは石材、木材、各種鉱石、布、羽毛、綿とかになるので、きっと一般商談になるのだろうって事で一般商談の受付カウンターの空いてる場所へと向かった。

 

 受付前に着くと受付近くの席に座っていた男の人がやって来てくれた。

 

 「おや、ウェル君じゃないか。どうしたんだい?」

 

 あっ見たことある人だ、えっと・・・宿に晩御飯だけ食べに来てる人だ。

 

 名前知らんけど笑

 

 「あっこんにちは、今日は少し多めに買い物したくてご相談に来ました」

 

 「そっかそっか、ちなみにどんなものが欲しいんだい」

 

 「えっと石材や木材、各種鉱石そして布と羽毛と綿とかの資材ですね」

 

 「うんうん支払いはどうするんだい?」

 

 「硬貨でお願いします」

 

 「じゃあ、ちょっとまってくれるかい?見本を持ってくるのと在庫数を確認してくるよ」

 

 知り合い?の受付をしてくれた人が立ち上がって移動した。たぶん倉庫とかに行ったのかな?

 

 しばし待ちながら暇を持て余している、隣の受付にいたお姉さんが声をかけてきた。

 

 「えっとウェル君だっけ?今日はおつかいなの?」

 

 んー、ここはおつかいって答えた方が面倒がなさそうだな。きっと見た目で自力購買出来ないと思われてるだろうし。

 

 「はい、なにかと忙しいみたいで」

 

 「そうねぇ、宿屋さんは今繁盛してるものねぇ」

 

 へー、家の宿屋って有名なんだねぇ。

 

 「はい、おかげさまで。お姉さんもお食事に来てくださいね」

 

 「ふふふ、お上手ね。まあ勧められなくても美味しいしお値段もお安いから行くんだけどね」

 

 「えへへ、ありがとうございます」

 

 はいはい、しょたしょた。おねしょた。

 

 と爽やかな、しょたっ子を演じていると受付してくれた人が戻って来た。

 

 お姉さんも自分のカウンターに向き直って仕事らしきものを再開したので商談を再開することにした。

 

 木材と石材と布は、薄く切った見本が張り付いたバインダー的なものを持って来てくれたので、欲しい物が分かり安くて、すぐに欲しいものが見つかってくれた。ちょっちラッキー。

 

 その他の鉱石は現物見本を持って来てくれたので、ちょっとやらしいけど黒貨を20枚程出して一般流通の迷惑にならない程度で買いたいと言って大量購入をした。

 

 貨幣を積む時に口で指を当てて内緒のポーズをしながらアイテムボックスから出したので、大量買いしてもアイテムボックスにしまう事も理解してくれただろう。

 

 そのまま、受付担当の人と倉庫まで移動して受付の人が「アイテムボックスいいなぁ」とか「すごい収納量だねぇ」とか言ってるのをニコニコと躱しながら購入品を片っ端からアイテムボックスに突っ込んでいった。

 

 粗方しまい終わったあたりでマゼッパさんとクソ変人がやって来たので、会釈して通り過ぎようとしたらクソ変人が何か言いたそうにしていたので機先を制してマゼッパさんに語りかけた。

 

 「マゼッパさん、お疲れ様です。ご用は終わりました?」

 

 「はい、今回ここに来た理由をご説明差し上げました」

 

 「そうですか、終わったなら良かったです。こちらも後は支払いだけです」

 

 先ほどからクソ変人がタイミングを伺っているが、察してあげない。会話を繋げて妨害しとこ。

 

 ははは、僕はねちっこいのだ。

 

 「顔見知りの方が受付をしてくれたので大丈夫だと思いますが、価格の確認だけしてもらってもいいですか?」

 

 「はい、承りました」

 

 そのまま、僕と受付さんが並んで少し後ろからマゼッパさんとクソ変人という隊列で歩いて元の受付カウンター席に戻った。

 

 途中なんどか、息を飲む声や発声しようとする息遣いを感じたので、会話を初めて封殺したり咳払いで打ち消したりして早足で移動した。

 

 ははは、僕は嫌いな人には容赦ないのだ。

 

 記憶の片隅からブライアンの「ウェルはおこりんぼにゃ」という声が聞こえた気がするが気にしない。

 

 そのまま受付さんの出してくれた清算表的な購入品と価格一覧をマゼッパさんに検閲してもらい、代金を支払って商人ギルドでの用事を終えた。

 

 クソ変態が帰り際に「大変失礼をしました。今後とも宜しくお願いします」と言っていたが、心にも無い話を聞く程、間抜けなつもりは無いので今後も宜しくしたくないですと思いつつ。

 

 「はい、よくわかりませんが機会があれば」

 

 とだけ答えておいた。必殺行けたら行くわーマンだ。スマホに連絡入れても無視して寝てたマンだ。

 

 ははは、最後まで名前を名乗らない奴に返す言葉なんて無いのだよ。

 

 まっとりあえず、目的の物は無事に買えたので商業ギルドでの用事を終えて帰る事にした。

 

 乗り込んだ馬車で帰る最中に、マゼッパさんに大人ガードありがとうございます。

 

 とだけ伝えておいた。

 

 なんだかんだと時間を使ったね。帰ったら、マイヤさんと猫別邸についてのご相談かな。

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