89話 整理をしてるのは自分の気持ちなんだよね?

 マイヤさんに相談をした事によって、家を出る事が本格的に決まったんだと思う。

 

 たしかに決まってはいたし、決める為に相談をしたんだけど、なんていうのかな第三者が介在することによって、やっぱやーめたが出来ない事になったんだよね。

 

 回帰不能点ってやつだ。

 

 人生っていうか物事には、時の流れと共にこういう大事な点がある。

 

 ここをボケーっとして過ごすと、気が付いたら遠い所に居た気分になるような気がする。

 

 見逃すと後悔が多い人生になるんだと思う。

 

 僕は良くも悪くも力が強く影響力が大きいから、こういう戻れない点に安易に踏み込むと余波が出ちゃうしきちんと考えて行動しないとなぁ。

 

 思考はしないけど、宿屋の拡張で余波が出た人達ごめんねーーーーー!!と思っておこう。

 

 まあ、そんなこんなで家に帰って父さんと母さんに、あらためて家をこの街に買うこととマイヤさんに手配をお願いした事を報告をしたら寂しそうな誇らしそうな複雑な顔をしてた。

 

 まだ子供だろうとか言いきれない部分もあるだろうしね。

 

 今までに起きた騒動も、本来なら両親が間に入って整理するんだろうけど、自分独りで対応してしまっているからね。

 

 もうちょっと頼ったり、任せる事が多くても良かったのかもしれないね。

 

 マイヤさんの家や王都に付き添ってもらうとか、対外的にも8歳児の付き添いで親が同行するのは、おかしく無いだろうし。

 

 まあ、すべてが今更だ。

 

 今度生まれ変わる時に覚えていたら、そうしよう笑。

  

 そんなことより家族との残り少ない時間を大事に過ごすことにしーましょ。

 

 それで今は何をしているかって言うと、宿と家にある私物の整理です!

 

 宿の方は天使像をしまうだけなんだけどね、最近出入りの業者さんが増えてきたし、食事に来た人とか近所の何か知らない人がお供えとかをはじめちゃったので、改築工事の人の定番作業になる前に撤去しないとね。

 

 アイテムボックスにしばらくしまっておくだけでいいかな。

 

 「ホウさん、リリさん、アミさん。像を一時的にしまいますねー」

 

 多分どっかで見てるだろうし、最近の動向も知ってるだろうけど一応声掛けだけしておかないとね。

 

 「は~い~」

 「どうぞ」

 「今度も良い所に飾ってねぇん」

 

 何処からともなく了解の返事をもらったので、次も良いところにおけるようにしようと思いつつ収納した。

 

 実際、新しい家に置くことになるんだろうけど拝観する場所でも作った方がいいのかねぇ。

 

 まあ、それを考えるのは新しい家に住んでいる未来に僕におまかせしよう!

 

 「ウェル、像は持っていくんだな」

 

 「うん、守護しやすいように近くに依り代をって話だったからね」

 

 像を収納し終わった所で父さんに声をかけられた。こういう在ったものが無くなっていくって少し寂しいもんな。

 

 「そうか、そうだったな。宿においてある風景に慣れてしまっていたからな」

 

 「だよねー、代わりに何かを作って置く?さすがに天使像や神像は無しだと思うけど」

 

 「ん、そうだな。母さんと相談してお願いするかもしれん、考えておいてくれ」

 

 「はーい、そん時は気軽に頼んでね」

 

 「ん、頼む」

 

 父さんは何かのしかかりだったらしく、そのまま厨房方面に戻って行った。

 

 父さんが厨房に戻ったのを見届けてから、僕は天使像跡の片づけを再開する事にした。

 

 像を置いてあった台座の近くには、生花のお供えやお礼であろうの品等が置いてあったので、花は母さんに任せる事として宿の受付カウンターに移動して、それ以外をアイテムボックスに収納しておいた。

 

 片づけが終わったあたりで母さんを見かけたので、天使像を持っていく事と生花の取り扱いをお願いしておいた。ちょっとしょんぼりしていたけど、まあ切り替えて欲しいのです。

 

 一通り宿内部にある私物の片づけも終わったので、今度は家にある私物類の整理をすることにした。

 

 まあ整理って言っても、最近は良く使うものはアイテムボックスに入ってるので、日常で消費するものや利用するものだけなんだけどね。

 

 だから、自分がいつも使ってるタオルっぽい布や歯ブラシとかそんなんだ。こういうのは残しててもいいものだろう、きっと。。。たぶん。

 

 そんなに大量に整理するものは無くてあっさり終わってしまった。

 

 うーんまだ子供だしそりゃね財を為してるってわけでもないからこんなもんか。

 

 元々、僕は部屋に物を置いておくのが好きでは無い方で、姉さんが仕事の手伝いをはじめたあたりから貰った1人部屋には、基本的にベッドと勉強机のような作業机と衣類をしまう棚くらいしかなかったしね。

 

 よし、これで終わりかな。

 

 なんだかんだと片づけをしていたら、あっという間に日が落ちていた。


 この家で暮らすのも後少しだ、今も食事の提供で忙しくしているであろう家族の元にいってお手伝いでもしてきますかね。

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