88話 下手な考え休むに似たり
ふぅむ。
1人の帰路にて考える。
この世界に来て8年とちょっと経って、ついに独り立ちの段取りが着いた所で考える。
これから1人で衣食住を揃えて保って生活をしていくんだけど、この世界にいまいち適応出来てない自分が居るような気がする。
あちこちで、大きかったり小さかったりと問題を結構起こしてるのが、その証拠だよね。
教会の問題、冒険者ギルドでの問題、王侯貴族との問題と結構問題あったけど、それぞれが短慮や浅慮で自分が楽したい。栄誉が欲しい。妬ましい。自分の力じゃないものを自分の物にしたい。
子供の頃から、うっすらと考えてはいたんだけど・・・。
この前、王都いって疑問が更に深まったんだよね。
[この世界って地球とあんま変わらなくない?]
この世界でも、人の狡さだったり、悪辣さって一緒じゃないか?
人を出し抜いたり、権力で押さえつけようとしたりってのはアンシャル様が言う所の地獄的って感じがするんだよなぁ。
こんなん前世とかわんないんじゃん。
ただ単に地球と比べて絶対数が少ないとか、そんな次元でしか違って無いんかなぁ。
むむむ。・・・大きすぎて無駄な事考えてる気がするけど・・・。
こちらに転生?する時に神様は地球は僕に合っていないので、僕に適した世界に転生させるって話だったと思う。
そこに何かしらの手違いがあったらしいけど、今となってはどうでもいい。
地球は競争を好んだりする魂が住む場所だったから、僕の適した場所へって感じの話だったと思ったんだけど・・・ここも同じだよねぇ。
確かに世界の発展具合や娯楽をパッと見ると、過度な競争が少ないんだろうなって思うよ。
この街を見る限り、魚屋さんの隣に魚屋さんは無いし。八百屋さんの隣に八百屋さんは無い。
大型複合商店が街の商店を押しつぶして、土地買収の下地を作るような外患企業もいない。
いわゆるコンビニが道の向こうにも、2軒隣にもあるような事は無い。
ライバルが無い故に発展していない技術や製品も多々見える。
必要最低限の機能しか持ってない道具、そこには「かわいさ」「かっこよさ」みたいな付加要素が一切ない。物本来の持つ魅力だけしかない。
それはすべての面に置いて良い事なのか分からない。
より良い物を作っていく動機に、競合に負けないってのもあると思うんだよ。
道具を作る人が少なくて道具の開発機会が少なかったり高価だったりするが故に、手間をかければ出来る事は道具で合理化されない。
この世界では、10人の職人が100の手間をかけることの実行難易度が高すぎる。
10万人の一般市民が10の手間かける方が安い筈ないんだけどなぁ。
ツラツラと考えちゃったけど、なんだろう、このチグハグな感じ。
うーん世界が人種だけじゃ無いから、文化や思想が断裂してるのかな?
・・・
・・
・
きっと、一人じゃ理解しきれない大きな話をポヤポヤと考えながら歩いていると、前の方から声をかけられた。
「ウェル君!こんにちわっ」
「こんにちわ」
「・・にちわ」
マキスさんとアレサさんとレーテーさんの冒険三人娘だ。
今日は、珍しく私服?というか戦闘に適さない普段着を来て歩いている。
「なにやら難しい顔していたが、なにかあったのか?」
アレサさんが心配してくれている、まあ何も無いんですけどね。解決が出来ないくせに大きい問題を考えて、これは問題だから何とかせねばいけない問題なんだと思うんです。とセクシーにアホ面さげて考えたフリをしていただけだ。
「ううん、何にもないよ。難しい顔してたかな?」
「ええっ、学者さんみたいな顔してたわよっ」
あはは、そりゃいけない。決まった時間にぐるぐると公園の散歩するおじさんじゃないんだから。
「へへへ、何でも無いのにそんな顔してちゃダメですね。気を付けますー」
まあ、詳しく話しても訳が分からない話だろうし何でも無いでいいのだ。適当に話題転換しておこ。
「そういえば、みなさんはお揃いで今日はどうされたんですか?」
「今日は、3人で住む場所を探していたのよっ」
ああ、宿改装だもんね。そっか、この冒険3人娘も家の宿屋に寝泊まりしてるんだもんなぁ。
「ああ、なんかお手数かけてすみません」
なんとなくあやまっちゃう、まちがえた大和魂。
「ウェル君が気にすることじゃないだろう」
「ウェル君と離れるのが・・ツラィ・・」
「うふふ、お気になさらずにっ」
それから4人で宿に戻ることにしたのだが、やっぱ長い事宿屋暮らしをしていたから生活基盤を新たに作るってのは、結構難しい話しなんだなって感じ。
まあ、母さんからも、しばらくは追い出したりしないと言われてるので気長に探して行くみたい。
いいとこあるといいね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます