82話 フラグ回収ただしスチル絵用周回プレイ

 浮気した〇〇ちゃんだって辛かったんだよ!

 

 とか高説をのたまわる女友達に辟易したよっていう話を聞いたことがあったなぁ。

 

 起きた事柄に無関係なのに人間関係が近いってだけで、知り合い側を無条件に正義だって思い込まれると、もうお手上げだよね。

 

 ・・・なんてどうでもいい事を考えながら、ヒステリックなお人形さんのボイスを聞いております。

 

 「君は話を聞いているんですか?」

 

 「えっ・・・はい、聞いてますが」

 

 怪我人に善意の治療をして、今日この場で代金の支払い、または支払い方法の相談に来るという約束だったと思うんだけど、何故か知らない女の人に詐欺だのなんだのと僕が罵倒されています。

 

 「怪我をしたマークにつけこんで、法外な治療費を請求したのは君でしょ!」

 

 えー、なんでそんな話になってるの?

 

 疑問の目を治療依頼したエルフに向けると、下を向いて知らん顔なのかな・・・沈黙です。

 

 「えっと、そのマークさんは?」

 

 「マークは家でまだ寝てるわよ、君は怪我をした人を翌日に呼び出すの?」

 

 えええ、完全に回復したと思ったのですが・・・。って言うかこの人誰?

 

 「えっと、失礼ですが。どちら様ですか?」

 

 「私はバルバラ、マークの婚約者よ」

 

 なるほど、まあ婚約してるなら財布一緒になるんだし、大金が動く話には関与してくるのかな?

 

 まあ、この女の人は事情を知らないというか思い込みをして、突撃して来ていると思うのだけどエルフは何を考えているのでしょう。

 

 「えっと、そちらのエルフの女性の方から事情を聴きましたか?」

 

 「聞くまでもないわよ!そんなもの」

 

 んー、同じPTで怪我したとこも治ってる所も見てるから説明義務あると思うんだけど、これあわよくばってやつですか?なんだかやだな。

 

 「説明をきちんと聞いてもらっていいですか?」

 

 「それが出来ないなら、マークさんでしたっけ?治療前の姿に戻します」

 

 「ふんっ、そんな出来もしない事を言っても無駄よ。ガキの癖に本当生意気ね?」

 

 「あ?」

 

 今なんて言ったのかカナ?なんでさっきから悪口オンパレード黙って聞かなきゃなのかな?

 

 「わかりました、元に戻しますので後悔しないでくださいね」

 

 マークとやらが怪我の状態に戻るように強く思い、怪我の状態を明確に思い出して、傷の深さや抉れた場所を強く思い描いて魔法きせきとして発動するように願う。

 

 呼応するように近くにあった天使さんズの像が、微かに光っているのが見える。オレンジだからホウさんかな?悪いけどお願いしますねーっと。


 無い腕が生えてくるんだもん、そりゃ無くすのもありだよね。

 

 「はい、僕が関与する前になりました。やっぱり人助けなんてするんじゃなかった」

 

 「何をわけの分からないことを言ってるのよ」

 

 「これで僕が関わる前の状態になったと思います」

 

 「ふんっとんだ嘘つきね、口では何とでも言えるものね」

 

 「治療費に関しては、もう請求しませんのでお帰りいただけますか?」

 

 「本当にいいのね?もう請求されても払わないわよ!!!聞いたわねレジーナ!!」

 

 「えっええ、でも・・・」

 

 「でもじゃないの!こんなガキに騙されてどうすんのよ!!」

 

 なんか喚いてるけど、これで治療が無かった事になるだろう。

 

 コスト的には、治療して元に戻してと二度手間が掛かってるから請求したい所なんだけどね、得る者が無いのに払うってのは無理っぽいよね。このクソ婚約者様だと。

 

 現実的にも払えないだろうから、こんな早朝に突撃してるんだろうし。

 

 そのまま鼻で笑うような、したり顔をした自称婚約者様と、怯えた顔をしたエルフ女は帰っていった。

 

 ごめんね、家に着くころにはマークとやらは死んでるかもしれない。もうこれは知った事じゃないけどね。

 

 まあ、あの人たちはギルド登録の時といい決定的に僕と相性が悪いってことでいいかな。

 

 「ウェル君、お話しあれで良かったの?」

 

 事の経緯を黙って見ていた母さんがやってきた。まあそりゃあんなヒステリックに叫んでればね、気になるよね。

 

 「うーん、冒険者なんだし自己責任なんじゃないかな?エルフの女性も治ったのを側で見ていた筈だけど黙ってたしね」

 

 「そうよね、でもね。今回は相手が悪かっただけで、人助けを辞める事だけはしないでね」

 

 「まあ今回の相手は確かに悪かったけど、母さんごめんね。それは今すぐに約束できないや、もう少しじっくり考えて決めて行こうと思うよ」

 

 

 今の所、僕が力を使うと面倒しか起きてないからね。

 

 関わらない方向ってのは安全ではあると思うのが、否定しきれないんだよね。

 

 今は仲良くしてる、マイヤさん達だって王宮の人達だって一揉めしてるしね。何事も無くお付き合い出来てるのって鍛冶屋のヴァルカンさん位じゃないかなぁ。

 

 「そうね、すぐに答えを出す事じゃないものね。でもね、後悔をする選択だけはしないでね」

 

 あはは、難しい事をおっしゃる。

 

  都度かわる判断で後悔をしないで生きていけるなんて、よっぽど傲慢か自罰的になって心が死んだ人だけだと思うけどね。

 

 まあ、これはまだ8歳児ですよー、に逃げれる問題でもないか。じわじわと考えておこう。

 

 「ん、わかったよ考えておく」

 

 「ふふふ。口癖といい、返事の仕方といい、バックス君にそっくりね。それなら大丈夫でしょう」

 

 言われてみると、たしかに似ていた。よく見てるなぁ。

 

 まあ、とりあえずこれでギルドでの救命活動の話は終わりかな、後は知らないや。

 

 っていうか、ギルドで起きた事件でベルナウアーさんに議事まとめてもらって整理出来たと思ったけど、まだまだ甘かったなぁ。

 

 ギルドを関与させると、手数料だのと発生するからって相手に気を使ったつもりが、そこが穴になるとはねぇ。

 

 やっぱ保険としてギルド側を混ぜておけばこんな結末じゃなかったんだろうな。

 

 組織や権威ってのも、うまく使えるようにならないとね。

 

 とりあえずフラグをバッドエンドで回収しましたとさ・・・・あー心が疲れたし悲しい。

 

 絶対に再度治療しろと言われてもしません(フラグ)。

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