78話 正座

 正座、それは精神を統一したい時、心を落ち着けたい時、色々な場面でする姿勢である。

 

 でもやっぱり一番多いのは、ごめんなさいの最中だよね!ということで、ごめんなさいの正座中です。

 

 何故こんなことになっているのかと言うと、似非エステが駄目だったみたい。王都で1人上手として、生活道具本を書いてる最中に、天使さんズのホウさんが降臨して来てご注意タイム発動です。

 

 「ウェル君?聞いてますかー?」

 

 「はっはい、聞いてます」

 

 「普通の回復魔法なら問題ないのよー、過去に使えた人も居たみたいだしねー。でもね、ウェル君は人体の構造を結構詳しく知っているじゃない?」

 

 「そうですね、エステしている時に傷ついたりダメになってる箇所は、近くの正常な部位からの複製では無く、人体構造を思い描きながら再生しました」

 

 「あれは強力よー、若返りと同じ事になっているわよ。テロメアの複製回数が0になってるわー」

 

 テロメア?なんだっけDNAだかDNEだかDMMだっけか。でもさ、クローンした羊はクローン元と同じくらい年を取った記憶があるから新規がいいかなぁって思ったんだよ。

 

 「詳しい事はわかりませんけど、まずいのはわかりました。ちなみに元に戻さなきゃ駄目ですか?」


 「すでにやっちゃったのはいいわよー、めんどうでしょ?」

 

 ちょっと、助かった。いまさら元に戻すなんて言ったら暴動が起きそうだ。

 

 「はい、助かります」

 

 「こっちの世界は魔法で回復するだけだからー、人体構造を詳しく知ってる人は少ないのよー」

 

 そっか、この世界は医学では無く魔法による回復措置が主流だもんね。女性特有の疾病部位とかイメージして再生したもんな。ありがとう断面図。どういたしまして断面図。

 

 「医療と回復魔法がミックスされた状態みたいなもんだったのですね」

 

 「そうよー、あれは強力だから気を付けてねー」

 

 「はーい、分かりました」

 

 「依り代が小さいから、要件だけになっちゃったけどー。また来るわね、お供えいつもありがとうねー」

 

 「はい、また何か美味しい物つくっておきますね」

 

 さて、部屋付きのメイドさんがブライアンを抱えたまま硬直してるけど、ちょいとお願いしてマイヤさんの所に行きますか。似非エステの受付を中止してもらわないとね。

 

 「ウェル君?ちょっといいかしら?」

 

 あっ丁度、来てくれてた。

 

 「はーい、どうぞ」

 

 マイヤさんがティアンヌさんを連れて部屋にやって来た。ちょっとだけ慌てているみたいだ。

 

 「先ほどメイドが走って来て、天使様が降臨されたと聞いたのですが本当ですか?」

 

 「あっはい、先ほどまでホウさんが居ましたよ」

 

 「そっそうですか、何かあったのですか?」

 

 まあ、そりゃビックリするよね。僕の周りだと結構頻繁に降臨してるけど、世界的には天使降臨は大事件だって話。

 

 僕の家の宿に来てくれている護衛メイドさん達や、領地の屋敷に居るメイドさん達とは違って王都のメイドさんは、まだ慣れて無いもんな。ウェル慣れしよ。

 

 「えっと、最近していたエステの禁止を出されました」

 

 こういう時は、端的に結論から言うべきだよね。偉い人は結果だけを知ればいいのです。知りたいことは聞いてくるだろうしね。

 

 「なっ何かしら禁忌に触れてしまったのでしょうか?」

 

 「いえいえ、なんでもエステは若返りと同じで強力だから気をつけなさいとの事でした」

 

 「そうだったのね・・・」

 

 使い方気を付けてねー程度で来てくれる優しい天使さんなのですよ。気楽に来てるという現状に慣れて欲しいもんですなぁふぉふぉふぉ。

 

 「ですです。今後ってまだエステの予定ってあります?」

 

 「とりあえず、今は落ち着いてるわね。それにしても若返りですか・・・」

 

 んー、まあそうよね。経産婦がほぼ処女になってしまうとか無茶な話しですわ。ですわ。つか若返っているなら年齢どんくらいだろう、ステータスに出て無いかな?

 

 「えっと、マイヤさんやティアンヌさんって自身のステータスとかエステ以降にご覧になっていますか?」

 

 「そうね、見て無いわね」

 「私も見ていません」

 

-----------------

[氏名]マイヤ=フォン=プレイアデス

[年齢] 33(18才相当)

[職業] 領主

[レベル]7

[STR]6

[VIT]20

[AGI] 12

[DEX]18

[LUK]30

[CAR] 20:中立

[スキル]

礼儀作法Lv3_経営Lv3_速記Lv2_算術Lv3

------------------

-----------------

[氏名]ティアンヌ

[年齢] 19才(18才相当)

[職業] 騎士

[レベル]14

[STR]15

[VIT]30

[AGI] 20

[DEX]22

[LUK]15

[CAR] 30:善

[スキル]

剣道Lv1_剣術Lv2_槍術Lv2_礼儀作法Lv2_算術Lv2

------------------

 

 2人がステータスを表示した、人前で出していいんですかい。まあいいのか、ここなら。

 

 「これは、どういうことなんでしょうか?」

 

 あちゃー、何?(18才相当)って・・・33才だけど体は18才ってこと?やばくね?こりゃ確かにホウさんも忠告に来るわな。 17才教ならぬ18才教が出来るわコレ。

 

 ってかこんなに若返ったら体調に変化とかすごいだろうに、なかったのかな?

 

 「実際の年齢と体の年齢が合っていないということでしょうか?」

 

 おっティアンヌさん、たぶんそれ正解。麿もそう思うでおじゃる。

 

 「えっとそうだと思います、体の内部を再生したので、すべて若返ってると思います。ちなみに体調とかに大きな変化があったのですか?」

 

 「はい、ありましたね。その女性特有の所で」

 

 なるほど、多分生理だよね。生理って年取ると軽くなっていくって聞くもんな。

 

 前世の身近な人が言ってた気がする。誰かはもう覚えて無いけどね・・・。

 

 「そうですか、たぶん妊娠出産の能力が18才と同じなんでしょうね」

 

 「本当ですか?!」

 

 うーん8歳児が子宮の構造とかを詳しく知ってるってのも変な話だね。でもまあ記憶あるの知ってるしいいよね。

 

 「はい、体の中で卵を作って育てる為に体内で子供を育てる場所の膜が厚くなって、妊娠の準備をするのですが、その動きが活発になっていると思います。多分、出血とかが多くなっているのかなって思います」

 

 「そうね、たしかに若い頃みたいだわ」

 「私は大きく変わりませんでした」

 

 そりゃティアンヌさんは若いからね。つかこの話題いいんかな、医者と話してるようなもんか。でも据わりが悪いから切り上げようかな。

 

 「まっそんな感じで警告されちゃいました。年齢が高いけど体が若いってもう不老に出来るって事ですもんね」

 

 「不老ですか、確かに大変な事ですね。分かりました今後は受け付けないようにしますね」

 

 「あっ今までした分は、そのままで良いそうですよ」

 

 マイヤさんがハッとした顔をした後に安堵した。そりゃそうよね、これから子供産めるようになったのに元に戻すなんて飴と鞭どころかムチと無知ですわ。ムチムチボディ問題だわ。

 

 ってことで、マイヤさんは婚活女子にありがちな、実年齢高いけど若く見えるのよを実際に言ってもいいと思います。

 

 ちなみに、それをいう奴は顔に肖像権じゃなくて著作権が発生するタイプの化粧師か、苦笑いのお世辞を言わざる得ない状況に周りを追いやってる迷惑な人という認識です。

 

 見た目より若く見えるんです!じゃねーよ!どこまで言っても実年齢は実年齢なの!!

 

 ふぅ熱い何かが迸ってしまったぜ。

 

 その間にマイヤさんは色々考えたり、体の若さを噛みしめていたようだ。

 

 「天使様は、他に何かおっしゃっていましたか?」

 

 「いいえー、他は何も無いですよ。依り代が小さいので、すぐ帰りました」

 

 メイドさんに目線を配りながら話すと、小さくうなずいてくれた。マイヤさんは、それを確認して納得したようだ。もうちょっと言う事を信じてくれてもいいのよー。

 

 「それじゃあ、私の方からいいかしら?」

 

 「はい、どうぞー」

 

 ん?マイヤさん別件で用事もあったのかな?

 

 「ちょっと言いにくいのだけどね、伝言だけ伝えておくわね。王妹殿下が申し訳ない事をした謝罪したいとおっしゃっているわ」

 

 えー、気持ちだけでいいよ。まあマイヤさんを板挟みにしてもしょうがないしなぁ。

 

 「はい、謝罪の意は受け取りますが、なんらかの会合がありますか?」

 

 「うーん、こちら次第で考えたいとおっしゃっていたわ」

 

 じゃあ、無しで。きっと王様と王妃様に怒られたんでしょ。怒りが沈静化したタイミングでの謝罪したいとか。慎重に機を計ってるっぽいし。

 

 「じゃあ、気持ちはわかりました遺恨はお互いに無しでお願いします、と伝言お願いします。そして会う事は無いでいいですか?」

 

 「そうね、わかったわ。そう伝えておくわね」

 

 よし、これ会ったらさ。ズルズル学園に引きこまれそうな気もするしね。もういいのだ学園は。

 

 「私からはそれくらいね、後は王都での滞在期間なんだけど」

 

 「はい」

 

 たぶん後2週間くらいだよね?それまでにオーダー品が届くといいな。

 

 「思ったよりお仕事が順調だから、あと5日位で帰れるわよ。お土産で頼んでた物は、数日で出来るそうよ」

 

 おーいいじゃんいいじゃん、もう王都飽きてたんだよね。外にも行けない状況だしね。これなら地元で遊んでた方が楽しいのです。

 

 「わかりましたー、それじゃお仕事終わるまで引き続き本でも描いてますね」

 

 「そうしてくれると嬉しいわ、それじゃいい時間だし夕餉にしましょうか」

 

 その後は、いつものようにご飯を食べて、いつものように一緒にお風呂に入って寝た。最近お布団で一緒に寝ましょうまで言われるんだけど、これいいのかな貴族的に問題なんじゃないの?

 

 気にしたら負けなのかな?・・・負けなんだよね。

 

 後、数日前からブライアンは僕のベットで寝て無いです。あやつメイド部屋に行ってチヤホヤされつつ寝ているっぽい。なにそれズルい。

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