31話 ふじやま、すし、テンプレ

 なにかと騒々しかった5才から約3年後、僕は8才になった。日々の鍛錬の結果、イカっぱらともお別れし筋肉質である。昔ネットでみた6才のヘラクレスとかいう少年程ではないけどね。


現状というか強さは、回復はLv5となり、どんな怪我が来ても心配はなくなった。まあ怪我らしい怪我をしたことはないけど。スキルは剣道と歌というのが発生して剣道Lv3で歌Lv5となっている。


 称号には器用と腕力と天運なるものが生えていた。努力が必ず実るという楽な世界で、更に神様と天使さんズに目をかけてもらっているというSuperExtraEasyモードなのだ。


 スキルまわりは騒動の元なので、基本的には慎重に利用している。元々あった錬金とか魔法、魔法操作等に一切ふれてないことからもお察しである。スキルは自己責任がとれるようになってから!


 そして、昨日は8才の誕生会をしてもらった。メンバーはヴァルカンさん夫妻(ちなみに狐の店員さんはやっぱり奥さんでした)あと領主と従者と家族。昨日の誕生会で、みんなに今日からギルドへ登録して街の外に出たい旨を伝えると、ギルドの登録審査をうけて銅ランク以上を取ることが条件となったので今はギルドで登録をする為にギルドに向っている。


 振り返って考えると6才から冒険者ギルドへの登録が可能だったのを踏まえ、登録を目指して体を鍛える方針に替えて、単純なトレーニングから骨格と筋肉を意識した形に変えたり、木刀に替えて打撃練習を開始していたのだが、残念ながら思うように体が育たずにギルド登録は断念して今まで待った形になる。


 打撃の練習自体は複雑な事をせずに、正面素振りと左右面で、木製の人形と4つ足のイノシシみたいな的の中で、急所になりそうな場所に当て布をして、打撃を繰り返してるだけである。


 打撃点と体の中心線と斬撃の線と打撃後の反動による軸ズレをひたすら意識して、速度が落ちないようにと繰り返し繰り返し打ち込んだ。的の関節や首をひたすらである。殺意の高い僕だ。めざせ1確。なにとも戦ったことないけどね。


 そしてブライアンはというと、もう十分に成猫になっていて。このあたりのボス猫として君臨している。たまに、地域猫の要望を取り纏めて、僕に相談という名の強制執行に来るので、世間に迷惑がかからない範囲で対応している。


 あと鑑定でみたらパーソナルスキルに魅惑の毛並み(敵対心が減る、撫でたくなる、かわいがりたくなる)というやつが生えてた。どうりで撫でたくなるわけだ。元からあったのかな?見てないからわかんないや、そして、今は大きくなった体で器用に肩乗り寝ている。自由である。人間にしたらもう30位だとおもうんだけどなぁ・・・。


 「ブライアン、もうすぐギルドに着くよ起きて」


 「にゃー」(わかったにゃ)


 会話をしながら街を歩く僕とブライアンのは、会話成立の有無は別として、少年が返事をする猫をかわいがるという姿で認知されている。


 そして扉の無いギルドの入り口を抜けて、ギルドに入っていく。


 「にんにちはー」

 「にゃ」(にゃ)


 「おっウェル坊じゃんか依頼か?」「銀の天才児だ」「こんにちはー」


 色々な声が飛び交う中、ぺこりと頭を下げつつ周りを見渡すと各種申請用紙と書かれたテーブルを見つけたので、そこへ向かうと、冒険者ギルド登録用紙というのを見つけた。


 名前、年齢、特技、所持スキル、希望ランク、使い魔or獣魔、パーティ名とあったので記入出来るものだけを記載して受付へ持っていくことにした。


 「こんにちは、冒険者ギルドに登録したいのですが、こちらでいいですか?」


 「はい、大丈夫ですよ。登録用紙は記入されましたか?」


 「はい、こちらでいいですか?」


 「はい、確かに。ウェルギリウスさん、8才、剣と歌、希望ランクは銅以上、猫っと。あとスキルとパーティ名が空欄ですが間違いないですか?」


 「はい、間違いないです」


 「スキルがある場合は記載いただくとPTの紹介がしやくなりますよ?」


 「しばらくは1人で頑張ろうと思いますで大丈夫です」


 「あと使い魔の項目に猫と書いてありますが、その子ですか?」


 「はい、ブライアン挨拶だけして」


 「にゃー」(おねえちゃんこんにちは)手をフリフリしながら。


 「うっかわいいですね、わかりました言葉がわかる特別な猫なんですね・・・ちょっと聞いたことありませんけど・・・」


 「はい、まあ特別な子です。詳しくはお話しできないという事で」


 「はい、わかりました。それで銅ランク以上ということで簡単な実技試験と常識問題の試験をさせてもらいますね、まずは常識問題からですね、あちらのお部屋でお待ちください。担当試験管が伺います」


 「はい、先に常識問題ですね。それと実技試験ですが、自己式ですが修練を積んでいるので、それなりの方をお願いしますね」


 指示された小部屋に移動して、しばし待つとキャリアウーマンみたいな女性が入室してきたので立ち上がって挨拶を待つ。


 「こんにちは、銅ランク以上の登録試験希望者でよかったかしら?」


 「はい、こんにちは、ウェルギリウスと言います。宜しくお願いします」


 「あら私が名乗り忘れたわね、ベルナウアーよ。宜しくね」


 それから、質問形式をとって何問か応答した後に、質疑として街の平和の為になにをすべきか、安全とは何かを問われた。正解だろうと思われる答えを探さずに、即答で思うままに答えておいた。


 「はい、お疲れさまでした。もう文句ないわね。良い回答が多くて考えさせられたわ、次は実技ね。手配をしておくから受付前のロビーで待っててくれる?」


 「ベルナウアーさん、ありがとうございました」


 「・・・ふふふ、私よりしっかり受け答えするんじゃないかしら・・・」


 退室間際にベルナウアーさんのつぶやきを聞いてしまい、少し照れながらロビーに向かうこととした。ロビーにつくと、数人の先輩冒険者が、事の次第を見ていたらしく冒険者登録を歓迎するような会話をもらったりして実技試験を待った。


 「ウェルギリウスさんはいらっしゃいますか?」


 「はい、ここに」


 「試験の用意が出来ましたので、修練場までお願いします。見学の方は騒いだり、野次を飛ばすことの無いようにお願いしますー」


 おや試験を見学されるのか?・・・ああ、PT勧誘とかの都合で試験は公開なのか、まあ僕は子供だしソロ予定だけどね。ブライアンと一緒なのはソロなのか不明だけど。そんなことを考えながら修練場→と書かれた案内板を目印に進んだ。


 修練場につくと、結構広いスペースがとってあり土の地面と芝の地面で大体半々くらいにわけてあった。まあ最低限の地形を再現してるのね。岩とか泥とかはメンテしきれないだろうしなあ。とりあえずブライアンはちょっと離れた位置で待機してもらうことにした。


 「試験担当かよめんどくせぇ・・・」

 「スキル無しの8才の子供だそうです」

 「ガキの遊びかよ、ちゃっちゃと終わらせるぞ」

 「・・・・はい」


 修練場の足場や広さなどを確認していると、金髪のエルフとガタイのいい大男がやってきた。会話の内容がもうアウトである。受付さんに伝えたんだけどなあ。


 「本日の試験を担当するマークだ」

 「担当のレジーナです」


 「今日の試験は銅以上ということで、自己防衛力と攻撃力の2点をみる、防衛は遠距離攻撃への対応と近距離への対応だ、攻撃力は測定器があるのでそこに攻撃を当てることになる。なにか質問はあるか?」


 「武器防具は自前ですか?それとも備品ですか?」


 「好きにしろ」


 「自前を使います」


 しばらくすると常識問題の試験官をしてくれたベルナウアーさんが来た。


 「事前説明はしましたか?」


 「おぅ」

 「・・・はい」


 「それでは、試験を開始します」


 ベルナウアーさんの声と共にエルフが離れた位置から弓を構えて射ってきた。

 

 ただの矢か?切り払いか回避だな。初手なので左に回避を選んで動いた。


 二射目が右側の誰も居ない位置へ飛んでいる。


 外れた矢が後ろのフェンスに当たったので、エルフから視線を切らさないように移動しつつ、落ちた矢を視界にいれると、返しが見えず爆散もしてないので練習用だろう。


 次の弓を構えてるエルフの矢をみると同じ物のようなので、切り払いをすると決め、前進して間合いを詰める為にダッシュをした。ダッシュは時間を稼ぐために左右に体を動かしている。


 走り出した姿に驚きつつ、ダッシュに釣られて左右に弓を振りながらも正面に撃ってきたので、立ち止まり正眼に構え、矢じりに竹刀の斬撃を斜めに合わせて切り払う、こんなものは矢の速度を利用すればいいのですよ。


 切り払いに驚いて立ち尽くしたところへ飛び込み、加減した力で弓を持つ手を叩き終わりにした。


 「えっ遠距離は終わりとする」


 ん?なんでおっさんが終了宣言? 途中で攻めに転じて終わっちゃったから?ベルナウアーさんを見ると呆けている、事態を把握できてない。


 「さて、遠距離戦だが解説を頼めるか」


 「はい、まずは1射目は様子見だと思い、2射目に備えて回避を選びました。回避先を狙った攻撃があると思い、右側への回避はやめて左への回避を選び、ゆとりを確保しました」


 「続きは?」


 「はい、これは2射目がこちらの挙動をみないで打つ、と思った前提の上に、大半の人の利き手側である右を狙う予測をしました。無意識の回避は右に寄ることが多いので・・・ここは賭けです、左に飛んで来たら別の対応となりました」


 「それで?」


 「落ちた矢をみて細工がないこと返しがないことを目視で確認したので、動作ロスが少ない切り払いに切り替えました」


 「わかった、それで・・・」


 不意打ちかぁ。後ろから、矢が飛んできたので屈んで避ける。おっちゃんに当たれよ。


 ドンッ!!


 「うぐっ。。。いてぇ」


 ぷっ、ざまぁ。適当に試験した上に、汚い真似する奴にはちゃんと報復するでゲス。弓落とされたもんだからイラッとしてたんやろ?ちょっと威力あったで。


 「・・・なんで、狙われたとわかった?」


 「試験の開始はベルナウアーさんで、終了はあなたですか?違和感ありました。あとは不自然に解説求められたりしまし、それに弓って結構音しますよ?もしかしたら、落としたから少し歪んで音出てるのかもしれませんけど、あと目線がイヤラシイ感じで後ろに合図してましたので」


 ぶっちゃけダメダメである。不意もクソもない。


 「しゃがんだのは、貴方に当てる為です。底意地が悪いのは嫌いです、その音はガキの遊びに付き合って飛ばす矢の音じゃないです」


 「近接もやっちゃいましょう?ガキの遊びだからちゃっちゃと終わらせるんでしょ?」


 ちょっと本気出そうっと、竹刀を置いて、木刀に持ち替えて思いっきり叩くことにする。テストだからっていきなり1射と会話中の不意打ちは、ちょっとね。これ規定じゃなくてコイツ等の独断だろう。簡単な実技って言ってたはずだ。


 「構えてください、試験中ですよね。なんなら二人同時にどうぞ?・・・来ないみたいなので行きます」


 痛みに耐えながらノロノロ構えてる足元に飛び込んで右膝に木刀を叩きこんで、後ろに飛ぶ。

 膝の痛みで屈み倒れ込んだ所に、左肩と首の間の鎖骨をめがけて砕くように叩き下ろす。


 「ひとり、終わりです」


 呆然として、なにもしない弓手まで歩いて、弓の弦に向けて斬りこむ。

 張力で飛ばされた弓を見てへたり込んだところで、手に強打を叩きこむ。


 「街の外にいたら敵は待ちませんよね、実践さながらの試験ありがとうございました」

 「ベルナウアーさん!試験はこれで終わりですかー?」


 「お待ちください、マークさんレジーナさん。貴方達は何をしているんですか?」

 「それとウェルギリウスさんが先ほど言ったガキの遊びだからってなんですか?」

 「これはなんですか?」

 「どなたか説明できる人はいますか?」


 野次馬から数人出て来て、先ほどの経緯を説明する、試験官がめんどくさがって、事前説明を適当にしたこと、初撃から不意打ちとなったこと、初めから直ぐに終わらせようとしていたこと。反撃をくらって逆上していたこと。僕が短気を起こした事などが、ベルナウアーさん含めた複数人の視点で語られた。


 ベルナウアーさんがこめかみを押さえて天を仰いだ後にこちらに向き直る。


 「銅以上の試験の時は試験担当の裁量にて内容を決めますが、今回は申し訳ありません。担当が適切ではありませんでした」


 ・・・場が静寂に包まれた。うーん僕は結構短気だよね。とりあえず野次馬はドン引きである。いわゆる子供が大人をフルボッコである。おれつえええ以外のなんだというのか。


 「だれか受付にいって簡単な経緯説明と回復の手配をするように伝えてもらえますかー?」

 「マークさん、先ほどの話は真実ですか?」


 「ああ、ガキが粋がって銅以上とか言ってると思って適当にやった」


 「レジーナさん、不意打ちの意図を教えてください」


 「最初は面倒だからすぐに終わらせようとした。2回目は手を打たれて頭に血が上った」


 もう、大騒動ですねぇ。どこで収集つくんでしょうねぇ。しばらくして、回復担当の人と頭をガリガリ掻きながらメンドクサそうにしている男性がやってくる。


 どちら様でしょうかねぇ、想像はつくけど。ベルナウアーさんが側にいて状況を報告している。


 「・・・はっ、ガキが粋がってると思って試験を満足にやらずに、不意打ちで終わらせようとして返り討ちにあった、、、か」


 「はい、受付から試験担当への引継ぎが不十分だったと思います」


 「ふぅ、ウェルギリウス君。すまなかったな、今回の試験はこれで完了とする。ランクについては結果が出ている以上、申請通りの物となるだろう」


 「分かりました、では受付に戻ればいいですか?」


 「そうだな、そうしてくれ」


 「あと、逆恨みとかで襲われないように試験官を処理してもらってもいいですか?」


 「処理って、まあわかった言い聞かせる」


 ブライアンを呼んで、ガヤガヤしている修練場を後にする。実技試験と聞いた時点でテンプレ展開を想像できたから、受付さんに言っておいたつもりだったんだけどなぁ。


 でも僕は少し過激というか短気だ、領主のときもギルドの時もそうだ。すこし気を付けるようにしよう。


 受付ロビーに戻って、先ほどの事を考えながら少し反省していると、野次馬していた人らも戻って来て少し会話をした。


 「どうした?冴えねえ顔してんな」


 「うーん、僕は少し短気だなぁって思って」


 「そうかぁ?あんな適当な試験したんだ怒って当然じゃねえか?」

 「私なら試験のやり直しを求める」

 「気にすんなよ、坊主は悪くなかったぞ、ちょっとエグイがな」


 「でも8才の子供が銅以上なんて言ったら世間知らずって思うのが普通だとも思うので」


 「あーまあなぁ」

 「試験官には、そういうやつの鼻っ柱を叩くって役目もあるからなぁ」


 「まあ、そんなこんなで少し反省してました」


 回復を担当した人が帰ってきた、折れたりはするけど、粉砕しない程度には手加減したつもりだけど大丈夫だったかな?


 「大丈夫でした?」


 「大丈夫だったわよ、彼らにはちょっと高くついた勉強代ね」

 

 治りはしたんだね、とりあえず良かった。

 

 「まあ坊主の言いたいことも分かるが、強さが分かった時点で、普通の試験を開始するほどアイツ等に技量がなかっただけだ」


 「わかった。ありがとうお兄さん」

 

 「おう!気にすんなよっ」

 「俺達からも、あいつらに言っておいてやる」

 「しっかし大物ルーキーだな」

 「銀盾と青い鳥の子供だぞ?普通なわけがないだろ」 

 「ぶっマジかよ、そりゃ強えぇよ」

 「大丈夫、闇討ちは得意 」


 ガヤガヤと話をしていると試験官2人とベルナウアーさんとメンドクサイおじさんが戻ってきた。


 「よし居るな。マーク、レジーナ」


 メンドクサイおじさんが試験官の背中を押す。


 「ウェルギリウス君、今回の試験は申し訳なかった。技量を見ることなく前情報で君を落選させようとしていた、すまなかった」


 「私も同様だ、すまなかった。だが結果的に試験として充分過ぎる程に技量を見た。銀級に相当するものと見た。若くしてそこまで鍛錬した君に敬意を持つ、今は自分が恥ずかしい。申し訳なかった」


 少し時間して落ち着いたのかな、こってり絞られたのかな。なんにせよ遺恨はなさそうだ。返礼しよう。


 「はい、謝罪を受け取りました。こちらこそ短気をおこして怪我をさせてしまって、すみません」


 僕の謝罪後に、2人が同時に手を差し出し来たので、戸惑いながら両手で片方づつと握手した。


 「では、ウェルギリウス君を銀級冒険者として認める。ベルナウアー、ギルドカードの発行を頼む」


 メンドクサイおじさんがベルナウアーさんへ指示を出す。


 「それでは、すぐに発行しますね、こちらへどうぞ」


 出た、ギルド名物。訳の分からないカード発行装置!これ全部出るやつやろ。聞いておかなきゃ行けない。


 「もしかして、その機械はステータスとスキルと称号でます?」


 「はい、全ステータスとスキル称号そして討伐したモンスターとかでますよ」


 「そちらからも見えるんですよね、決して大声出さないでくださいね」


 「はい、見えますが。はぁ・・・分かりました」


 変な天体儀のような装置に手をかざすと、一瞬光って収まるギーって黒板系の音を出しながらカードが出てくる。もうちょっといい音なかったんでしょうか。ギーはダメです。


 「なぁっん!!」

 

 ベルナウアーさんの目の前に、手のひらを出して制止する。知ってる人だけ知ってればいいのです。


 「声、お願いしますね。」


 「はっはい、発行出来ました」


 その後、冒険者ランクの説明や依頼処理の概要などを聞いて登録は完了となった。今日は当然依頼を受ける事も無く帰宅することにしたのだが、ギルドから定宿にしてる3人娘がついて来た。


 「ウェルギリウス君、おめでとう」

 「ちょっとっ大変でしたけど登録出来ましたねー」

 「ウェル君なら当たり前」


 「あはは、ありがとうございます。皆さんは今から帰りですか?」


 「今日はウェル君記念日」

 「はいっ今日はお仕事おわりですよー」

 「うむ、たまには休まないとな」


 そんなことを話しながら宿へと戻った。ブライアンは宿の前で飛び降りて庭へと歩いて行った。入口のドアを空けると受付にいる母さんから声がかかる。


 「どうだったの?」


 「銀級で登録できたよー、ちょっとやらかしちゃったけど」


 「おめでとー」

 「おめでとうございます」

 「よしよし、これで坊主を誘えるな」

 「・・・これ勇者の物語出来たら残る場面だろ、俺居たな居るぞ」

 「ほらっみんな待ってるよ」


 フリースペース側で領主と従者とメイドと定宿の皆さんと家族が待っていた。ちょっと前に誕生会したじゃないですかー、もうしょうがないなもう。。。

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