20話 運動会でパラメータがあがるって本当ですか

 ふう、疲れた。あれからあーでもないこーでもないと雑談をし、父さんが少し遅くなった昼食を僕に出したタイミングで場は解散となった。


 食事をしながら、場に残っていた領主と会話をしていると、午後の予定を全部空けていたらしく、午後から遊びませんかと誘われた。僕が午後からは像を作る予定だったことを告げると、ご一緒させてくださいと申し出て来たので受け入れることにした。


 きっと彼女には、先ほどの会話は刺激的すぎたんだと思う、少しでも一緒にいて安心したいんだろう。彼女にとって、領に捧げた人生に対する見返りの一つが僕。厳しい事を言った罰として、しばらくは甘んじて受けていようと思う。


 領主と従者は、汚れても良い服に着替えて帰ってくるとの話で、一度屋敷に戻るそうだ。ついでに像作りで欲しいものがあれば持ってきますと言ってくれたので、少し考えて紙と書くものをお願いしておいた。ヴァルカンさんとの意識合わせをしやすいように下絵をいるかもなぁと、漠然と思っていたので正直助かった。


 像作りで作業机が必要になるので、倉庫のカギも父さんから借りて置く、領主対応があるので返すのは後になることも合わせて言っておく、いちいちカギを返す為に中座したくないのだ。めんどくさがりボーイなのだ。


 ややこしい話も食事と準備も終って、庭に到着したのだが。庭がにぎやかだ。


 「にゃおーーー」(なんだこれ!なんだにゃーー)


 「わーーーーーー」


 「にゃぁーーー」(気になるつかまえるにゃあ)


 「きゃーにげろー」


 猫と少女の大運動会が作り立てのトラックで絶賛開催中である。ブライアン専用キャッシングロッド(猫釣り竿)を後ろ手に持って駆け回るセレネ姉さんと、それを追いかけるブライアン。コーナーでショートカットをしないブライアンが偉いのかちょっと抜けてるのかは知らないけど、綺麗な追いかけっこになっている。


 しばらく、それを眺めてセレネ姉さんが疲れて来たタイミングで声をかけた。


 「姉さーん、お話しおわったよ。お仕事はじめるってさー」


 「はーい、ブライアンそれーっ」


 セレネ姉さんがキャッシングロッド(猫釣り竿)をブライアンの届く位置に合わせて、ファンシーでファニーな追いかけっこ略してFFが終わった。どこにも略す必要はないけど。


 「にゃうにゃうにゃう」(噛め噛みつけー)


 「お話し大丈夫だった?ウェル君が怒ったからビックリしちゃった」


 「姉さんごめんね。心配かけたね大丈夫だよ、ちゃんと仲直りしたよ。この後も少ししたら、ここに遊びに来るんだ」


 「そっかー良かった。でも領主さんって偉いんでしょ」


 「にゃーうにう」(もう動かないにゃ、しとめたにゃ)


 「うん、でもただの僕の友達ってことになったよ。詳しい話は母さんに聞いてね」


 興奮しているブライアンを脇目にセレネ姉さんが聞いてくるけど、ここらへんは教育したい部分もあるだろうから母さんに投げっぱなしジャーマンだ。色々おねがいします。


 セレネ姉さんが仕事に向かった所でトラックの様子を見てみる、掘り起こした土はぺんぺんしたけど、大丈夫だったかなぁ、自分で踏み固める前だったからちょっと不安とか思いつつ、踏み固めるように歩き出す。


 「うん、大きな問題は無いみたいだ」


 「にゃう」(なにしてるにゃ)


 「この土を頑丈にしてるんだよ、走ったりしても大丈夫なようにね」


 「にゃー」(さっきは平気だったにゃ少し草があったけど気にならないにゃ)


 「そっか、じゃあいいか。で、それ口から離しなさい」


 話すときだけ離して、あとは疑似餌巾着を咥えてご満悦な顔のブライアンだ、竿部分が悪くなるから放してほしいのだが、放しそうもないのであきらめることにする。


 で、今日から像作成なのでステータスのDEXを弄ろう、変なものが出来たら嫌だ。封印するのはスキルだけなのさ。ステータスは誰にもおしえてない。ぐふふ。どれどれ一般の成人が大体14くらいなんだっけか、今の自分はっと。

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[STR]22(表記内に補正+20あり)

[VIT]31(表記内に補正+30あり)

[AGI]21(表記内に補正+20あり)

[DEX]22(表記内に補正+20あり)

[LUK]99(表記内に補正+20あり)

[CAR] 0:中立

ステータスポイント:0281

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 ふーん、すでに一般人より器用なのね。そういえばブライアン専用キャッシングロッド(猫釣り竿)もサクサク作れたな。にしても名前長い。キャッシングロッド(猫釣り竿)と呼ぼう。金貸し棒やで。


 また思考がすべった。脱線王やで。これステータスポイントがアミさんボーナスで沢山あるんだよなあ、2桁限界までいっちまうか、5才で人間国宝じゃよ。よっこらせっと。

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[STR]22(表記内に補正+20あり)

[VIT]31(表記内に補正+30あり)

[AGI]21(表記内に補正+20あり)

[DEX]99(表記内に補正+20あり)

[LUK]99(表記内に補正+20あり)

[CAR] 0:中立

ステータスポイント:204

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 ぐほっっ!ステータスポイントの残数値の表記がおつぱいの語呂数字じゃなくなったら、3桁になった。システム自由過ぎ。そしてサックリ振り終わりました、昔はやったMMOの武器作成職みたいなステになったなカンカンクホホ。


 さて、とりあえず体的な用意は終わったから、ベンチに座って像作成の手順をふわっと考える。


1.下絵を先に書く。

2.骨組み作る。

3.粘土で荒い肉付けをして人型を作る。

4.人型を削って各像に近づける。

5.追加パーツの羽とランスを作る。


 こんな感じかなぁ、今日から下絵をはじめる手順でいきましょう。正面と横と上と下かな?上と下はいるのかな、いらない気がするな・・・なんて考えていると領主と従者が庭に顔を出した。


 「こんにちはー」

 「失礼しますっ」


 ベンチから立って、歩いて出迎えることにする。おっとっと作業机を出し忘れた。いいか、そこからはじめるか、ここは彫像作成の教室でもなんでもなかった。用意万端である必要はないや。


 予定の人が揃ったところで、はじめよう。

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