「嘘つきの義妹に婚約者を寝取られ、婚約破棄されましたが、何故か隣国の王子に求婚されています。私の作った薬が必要と言われても、もう遅いです! ホワイトな宮廷で薬師として雇われたので」
【義妹SIDE】王女リノア、帝王に戦争をおねだりする
【義妹SIDE】王女リノア、帝王に戦争をおねだりする
王女リノアと使者。それから専属のメイドになったディアンナは帝国に帰ってきた。
「おお! リノア、どうだった? 王国の方は」
帝王は娘、リノアが無事戻ってきた事を喜んでいるようだった。
「お父様!」
リノアは泣きながら父、帝王の胸に抱き着くのである。
「しくしく……しくしくしく」
「おおっ……どうしたリノアよ。よーし、よーし。何があったかゆっくりとパパに説明してみなさい」
「はい……お父様。王国の連中がひどいのです。リノアの物になれと命じたのに、王子達が物にはならないと抵抗してきたのです」
(当たり前でしょうが……普通の対応だと思いますわ。この女、頭のネジがぶっとんでいますわよ)
付き人であるディアンナは毒づいた。無論、声には出さない。出したら冗談抜きで殺される。
性格がおかしいディアンナがおかしいと思うのだ。リノア王女のズレっぷりは常軌を逸していた。
「おー、よしよしリノア。そいつはひどい! なんて連中だ! リノアの命令に従わないなんて!」
しかしそれにもまして父親の頭もおかしかったのだ。異常すぎる程の子煩悩。度を過ぎていた。やはりこの父にしてこの娘ありといったところか。
「はい。お父様、ひどいでありましょう?」
「なんてひどい連中なんだ! どうして欲しい、リノア。パパがなんでもしてやろう
!」
「強引にでもリノアの物にして欲しいのです。王国を攻め落とし、そして王子達をリノアの物にして欲しいのです。あいつ等を玩具にして、可愛がってやりたいのです」
(無茶苦茶ですわ、この親子)
ディアンナは毒づいた。勿論声には出さないが。
「おおっ……わかったぞ。リノア。元々、ルンデブルグは我が帝国の傘下に加える予定だったのだ。命令に従わないというのなら無理矢理攻め落として、いう事を聞かせてやろう」
帝王はそう言った。
(これはとんでもないことになりますわよ)
ディアンナは慄いた。戦争が起きるのだ。これはとんでもない事になる。間違いなく。
「パパに任せろ。ルンデブルグは我が帝国ビスマルクが攻め落とす。そしてお前の欲しいものは絶対に手に入れてやる」
「ありがとうございます。パパ……」
リノアは笑みを浮かべる。
「わかったら泣くのはよせ。リノア。お前に涙は似合わない」
「はい。パパ」
リノアは涙をぬぐう。
「使いの者を出せ! ルンデブルグに宣戦布告を始める! 降伏に従わなければ武力衝突は免れないぞと!」
「はっ!」
使いの者に命令をする。
こうして帝国ビスマルクはルンデブルグに降伏勧告をまず出した。つまりはこちらの命令に従えという事である。
ビスマルクの命令はルンデブルグが属国となる事。もし従わない場合は戦争を仕掛けるという事。つまりは返答次第ではビスマルクとルンデブルグが戦争を起こすという事であった。
ディアンナは嵐の予感を感じていた。しかし当然ながら自分にはどうする事もできない。
こうしてディアンナは時代の奔流に流され続けるだけだったのだ。
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