考え無しの優しさ
夏日が記録されるほどの猛暑。そろそろお昼時の日曜日。
旦那はざるうどん。高校生の長男は冷麺。中学生の次男はざるそば。
暑いものね。リビングの室温計は三十度と表示されている。
まだ六月だからエアコンはつけないと意地を張る旦那。そうね、冷たいものを食べたくなるわよね。
あら、なんて気遣いなのかしら。「冷たいものだとママも楽でしょ?」だって。
······はぁ?
馬鹿なのかしら。揃いも揃って、お馬鹿なの?
ざるうどんも冷麺もざるそばも、熱湯で麺を茹でるのよ。それを冷やすの。それに、それぞれ違うものをリクエストされると、別々で作らなくてはいけないの。それがどれほどの手間のかかる事か、どれほどの労力か······。
私だって休みの日くらい休みたいわ。毎日旦那と同じ時間働いて、帰ると家事と子供たちの世話と旦那の世話と······やらなくちゃいけない事は尽きない。
旦那って、どうして家に帰ってくるとニートみたいになれるのかしら。不思議だわ。
なるほど、仕事が終わった瞬間にオフになっちゃうのね。私は仕事が終わった瞬間に、母親モードに切り替わるのよ。
そうか、そうなのね。大人になっても切り替えが上手に出来ないのね。切り替え方を間違えているって教えてあげなくちゃ!
子供たちは親の庇護の下、何でもしてもらえると勘違いしているのね。保護責任と監督責任はあるけれど、甘えて堕落するのとは違うのよね。まぁ、父親の
そもそも「楽でしょ」って、彼らの思う楽って何かしら。頭を開いて思考回路というものを見てみたいわ。
そうね、教育も兼ねて私の思う楽をさせてもらいましょうか。
「そう、なら各々用意しなさいな。ご注文の品なら作るの楽なんでしょ? ここは食堂じゃないんだからね。私は私のサラダだけ準備するわ。火も使わずに済むし、本当に楽ち〜ん」
ちなみに、火を使うとキッチンは四十度度近くなる。せいぜい頑張りなさいと、母は心で笑った。
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