第196話決着

「グ、おのれ神の下僕め!我をここまで追い詰めるとは」


セリガラは立ち上がってはいたがすでにかなりボロボロの状態で立っているのがやっとに見えた。

 でも今はボロボロだけど時間がたてば必ず再生するはず、そうなったらまたセリガラの体力を削らなきゃいけなくなる。

 そうなると面倒くさいし、逃げられたらもっと厄介だわ、セリガラはここで確実に止めを刺さないと・・・。


私はボロボロのセリガラに女神のメイスを向ける。

 今度こそ止めを刺すために、祈りのメイスから光の槍を作り出す。

 

それを見たセリガラは恐怖で顔を引き連れせながら話しかけてきた。


「ま、待て、分かったもうお前の前には現れない、だから我を見逃してくれ、頼む!」


必死な形相で私に命乞いをしてくるセリガラ、私はその様子に大きなため息をついてしまった。

 

「あなたは今まで命乞いをした物を助けたことが有るのですか?ないですよね、悪魔がそんなことするのだったらそもそも町を攻撃したりしなかったでしょうから。

 もしここであなたを見逃したら、どこかでまた罪のない人を陥れるかもしれないのに、助ける道理は有りません、素直に消滅しなさい」


私はセリガラに対して慈悲を抱くことは無いわよ、いくら命乞いされたからって助けてまたどこかで悪事を働いたら。

 今度は私のせいになってしまうもの、これは人殺しを平気でする人にも言えるけど、私はそう言う人に慈悲を与えない、慈悲は被害者にこそ与えられなきゃいけないって思うもの。

 スネアの時は強請だけだったから命までは奪わなかったけど、結局それが甘かったんだもの二度と同じミスはしない様にしないとね。


私の宣言を聞きセリガラは身体を震わせながら俯く、そのセリガラに向けて私は光の槍を打ち出す。


「く、我が敵の攻撃を防げ影よ『シャドウウォール』」


光の槍が飛んでくるのを見たセリガラは苦しそうに魔法を放つ、セリガラの魔法は私とセリガラの前に半透明の黒い壁を作り出した。

 光の槍は現れた黒い壁に当たり黒い壁を破壊して消える。

 『シャドウウォール』か~影魔法の唯一の防御魔法、あの魔法が有るとなると粘られそう、どうしようかしら。


私は光の槍を防がれたことで次の一手をどうしようか考えていた。

 私が考え込んでいる間、セリガラは荒い息をしながらこちらの様子を睨みながら窺っていた。

 

セリガラは何とか逃げ出せないかと視線を巡らせる。

 でも落ちた場所は平原、辺りには逃げるのに利用できそうな物は無かった。

 

「もう余り長引かせるのも良く無いわよね、あなたの友達と同じ魔法で葬って上げる」


私はセリガラを見つめながら呟く、セリガラは身体を震わせてどうにか逃げ出そうと考える。

 だがセリガラがいい考えが浮かぶ前に、私は魔法を唱えた。


「『天罰』そして『ホーリーサークル』」


私が魔法を唱えると空から眩い光が降り注ぐ。


「ぐぎゃあああああ!」


光に包まれたセリガラは地面に叩きつけられながら光に焼かれ続ける。

 天からの眩い光が徐々に収まっていく、天からの光が収まりかけた所で今度は下から光の柱が立ち上がる。


「な、があああああ!」


セリガラは天からの光が止んだことに安心したのか一瞬安堵していたが、今度は地面から光が立ち上がりセリガラの身体を焼き始める。

 セリガラは叫びながらもなんとか抜け出そうと藻掻くが動かそうとした手足から徐々に塵になって崩れていく。

 セリガラは自身の身体が崩れていく恐怖を感じながら叫び続けた。


「こんな、こんなことが!くそ、こんな所で我が、われ、が・・・」


悔やみ続けるセリガラはすでに頭だけになり、その頭も崩れ始めていた。

 私が見ている間にセリガラは崩れ角だけを残して消えていった。

 

私はその角を拾い辺りを眺める、角が落ちていた周りは光で焼かれ円形に焦げていた。

 

「ふう、終わったわね、悪魔が出てきた時はどうなる事かと思ったけど、私一人でも倒せたわ」


私はセリガラを倒したことを確認すると一息つき装備をいつもの物に変えた。

 

「それにしてもここどこ?」


私は辺りを見回すと東にトラットの町が見えた。

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