第195話セリガラ戦3

セリガラの出した10本の『シャドウアロー』が私に向けて飛んでくる。

 私はその『シャドウアロー』を盾でガードしながら、自分の作り出した光の槍を投擲する。

 光の槍は容易くセリガラの両手両足を根元から吹き飛ばし、セリガラは四肢が吹き飛んだ状態で叫び声を上げた。


「ギィやぁーーーーーー!我が腕、我が足が!くそ、くそくそくそくそ!だが、まだだーーーー!」


四肢を失ったセリガラは叫び声を上げながらそれでもあきらめてはいない様だった。

 それにしてもしぶといわね、普通なら『裁きの雷光』食らった後に(戦乙女の投擲槍)を4本も食らえば簡単に死ぬはずなのに(食いしばり)でも持ってたのかしら?

 (食いしばり)は私も持っている有用スキルなのよね、即死の攻撃を受けても一度は絶対に体力1で耐えれる、これが有ったおかげで何度も窮地を脱したことが有るから分かるのよ。

 でも(食いしばり)が有るってことは有れも持ってるはずよね。


私はセリガラが私の攻撃を耐えれた仕掛けを考えているとセリガラの身体に変化が見え始めた。

 千切れた足からは前より太い足が、腕が無くなった方からは2本づつ、系4本の腕が生えて来る。


「クハハハ、この体型になるのは久しぶりだぞ!こうなったからにはキサマは殴り殺される運命だ!覚悟しろ!」


悲壮感漂う顔色だったセリガラが一転好戦的に私を睨む。

 セリガラのあの状態ボスモンスターの怒り状態と同じかしら?

 もしそうなら厄介ね、力も速さも格段に上がってるはず、それに腕や足が生えてきたってことは体力回復系のスキルも持ってるはずよね。

 それにしても人間はスキル一つしか持ってないのにセリガラは(影魔法)に(食いしばり)、(回復系スキル)とすでに3つ飛行とかもスキルなら4つ姿を変えていたのはスキルかしら?それとも魔法?

 取り合えず少なくとも3、4個スキルを持ってることになる、これじゃあ人間が勝てるわけ無いわよ、本当にムリゲーじゃない!

 せめてスキルブックが作れるようになれば話は変わって来るかもしれないけど、スキルブックなんて(筆写師)のスキルが無いと作れないのよね。


私が考え事をしているとセリガラが一気に突っ込んできた。


「クハハハ、我の乱打で挽き肉に変えてやる、覚悟しろ!」


セリガラは自信満々に宣言すると私へ殴打蹴撃を繰り出してくる。


「そうなら私も少しギアを上げて対処するわね、『ブレッシング』」


私は突っ込んでくるセリガラを見つめ自分に『ブレッシング』を掛ける。

 私は自身の魔法を掛け淡い光に包まれる、それと同時にセリガラの拳が私に迫って来た。

 私は即座に拳を盾で受ける、すると盾に伝わる衝撃は4度ほぼ同時にやって来た。


私が盾でセリガラの猛攻を受け続ける。

 そのたびに盾にもの凄い衝撃音がマシンガンの様に響いていた。

 

「オラオラ、どうしたさっきまでの威勢は!防御一辺倒じゃねーか」


私が盾で防御しかしていないことに気を良くしたのか、セリガラが防御をする私に声を掛けてきた。

 今はセリガラの形態変化して動きの癖や隙を見ている所なんだけど。


「そんなに攻撃してほしいなら、攻撃するけど簡単に死なないでね」


私は声を掛けるとセリガラは一旦連撃を止め、私の様子を窺い始めた。

 そんなセリガラを見つめ私は背中にある翼に力を籠める。

 

私はセリガラとの間合いを詰め女神のメイスで横薙ぎに殴りつけた。

 だがセリガラには私がいつ自分の前に来たのか解らなかったようだ。

 セリガラが私に気付いた時には目の前に私が右から左にメイスを振り抜くのをやっと左の2本の腕を上げて防御するしかできなかった。

 

私の女神のメイスを食らったセリガラは、大きく西の平原へと吹き飛ばされていく。

 私は吹き飛ばしたセリガラを追いかけて西の平原へと向かう。

 

私がセリガラの後を追うとセリガラが墜落した痕が平原に一直線に刻まれていた。

 抉られた平原の先で岩に当たり倒れ込むセリガラの姿が見えた。

 

私はセリガラの元迄飛ぶとセリガラの前に降り立つ、セリガラは私が目の前に降り立ったことに気付き身体をゆっくりと起こし立ち上がる。

 セリガラの身体は防御した左の2本の腕が皮一枚の状態でぶら下がり、地面に激突したせいか背中に有った羽が取れかかっていた。

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