第193話セリガラ戦1

なにか勘違いされてそうだけど今は悪魔セリガラだったかしら、セリガラを倒さないといつ町に攻撃が来るか分からないわ。

 私は抱き着いて来たエイミーちゃんを下ろすと上空にいるセリガラを見る。

 セリガラにも私の声が聞こえていたみたいで、周囲を確認している。


「なんだ今の声は?まあいい守れるもんなら守って見せな!影よ我が意志に答え、我が敵を滅せよ『シャドウフォースボール』」


セリガラは私がいる場所が分からなかったみたいだけど、私の言葉を挑発と受け取ったみたい、叫びながら魔法を唱え始めた。

 魔法を唱えると同時にセリガラのいる上空に影が螺旋を描きながら集まっていく。

 集まった影はセリガラの上げる両手の上に集まり、円になっていき旋回している様に見えた。


セリガラの両手に集まった影が5メートルを切るほど大きくなった所でセリガラが咆哮をあげた。


「御大層な事を言ってたが守れそうもねーなぁーーーー!」


セリガラが集めていた魔力のこもった『シャドウフォースボール』をゆっくりと降下させる。

 

「じっくり死の恐怖を味わいながら死んでいきなぁ、ク、ハハハーーーー!」


セリガラの嘲笑が響く、町のあちこちからは悲痛な叫び声が響いて来る。

 そんな中教会に来ていた人々は期待のこもった眼差しで私を見つめる。

 

私は皆が見つめる中両手で女神を象ったメイスを上げ神聖魔法を唱えた。


『プロテクション』


私が唱えた『プロテクション』は町の空に薄い膜を張った。

 私の『プロテクション』が空を覆うと同時にセリガラが『シャドウフォースボール』を投下する。

 『シャドウフォースボール』がゆっくりと町に迫って来る、だが私の張った『プロテクション』に触れた瞬間、ガラスを引っ掻くような凄まじい音が町中に響いた。

 

私達は直ぐに耳を塞ぎその音を耐える。

 空の上では『プロテクション』と『シャドウフォースボール』が鬩ぎ合う、それを市民は耳を塞ぎながら不安そうに見上げていた。


次第に『シャドウフォースボール』の勢いがなくなり徐々に小さくなっていく。

 その光景を見て市民は安堵の吐息を漏らし、逆にセリガラがイラつく様に歯ぎしりをしていた。


「なんだあの魔法の強度は!たかが『プロテクション』に何故我が魔法を受け止めることができるのだ!」


セリガラ困惑しながら私の張った『プロテクション』を見つめる。


私はそんなセリガラをしたから眺め子供達に向き直る。


「行ってくるね」


私はそう言い終えると背中の翼に意識を向ける。

 私が翼に意識を向けると、翼は大きく羽ばたき私の身体を持ち上げてくれる。

 本当ならいきなり飛んだら周りの人が風で煽られて大変な事になりそうだけど、この翼での飛行は実際に空気を煽って身体を浮かせてるわけじゃ無いから。

 飛び立つときにもの凄い風圧が来ることはほとんどない、だから私はセリガラが開けた天井の穴を通り上空へと上がっていく。

 

私が上がってくることに気付いたセリガラは最初訝し気な顔をしてから、驚きで呆けていた。


「なんでこんな所に天使が、何処から湧いて出た・・・その顔あの孤児を助けていた神官か!

 これは傑作だ!天使が目の前にいたのに気付かずに居たとは、知っていれば真っ先に殺してやったものを」


セリガラは私を睨みつけながら喚き散らす、そんなセリガラを私は見つめながら話しかける。


「それはこちらの言葉だと思うけど?あなたが助祭だって気付いて居たら私も遠慮なく倒せたのに、そうすればあんな仕組まれた裁判なんて受ける必要無かったのに、本当に遠回りしてしまいました。

 これ以上面倒は掛けないでくださると助かります、私の『プロテクション』を突破できない時点でたかが知れてますけど、さっさと倒されてください」


私は盾とメイスを構えるとセリガラも戦闘準備をし始めた。

 

セリガラの手には影から作られた先が9本に分かれた鞭が握られていた。

 それを両手で引き延ばしパシンと空気を叩く音を響かせる。


「ハ!何がさっさと倒されろだ、それは我がセリフだ、神の下僕ごときが!」


セリガラは叫ぶと同時に鞭を振るってきた。

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