第192話天使
怪我人を回復して天井に空いた穴を見上げる。
穴からは青い空とそれに似つかわしくない黒い翼を羽ばたかせる悪魔の姿があった。
他の人たちと子供達は私に釣られて上を見る。
上を見た有る者は真っ青な顔で頭を抱え、ある者は手を組み跪き一心に祈る。
そんな中、空から町中に響くほどの大きさで声が聞こえてくる。
「俺は悪魔セリガラだ、今からこの町を消し飛ばす!俺は優しいからな逃げるチャンスをやろう、10分待ってやる、精々足掻いてみるんだな!グ、ハハハ」
悪魔は空に留まり町の破壊を宣言する。
10分も待ってくれるんだ、案外優しい?いや違うよね単に全滅させちゃったら自分がやったって言う証言してくれる人がいなくなるからだよね。
今頃町はパニックだろうな~でも大丈夫町の防衛?任せて!私そう言うの得意だから。
メビロで果てし無い自分のギルドアヴァロンの城を守るために砦全体を覆う『プロテクション』を何重にも重ねて城下町を覆ったことも有る。
このぐらいの町なら4つは守れる、しかもギルド戦と違って禁止アイテムも無いなら楽勝ですよ。
これでもトッププレイヤーの端くれやって上げます。
私はストレージからラッパの様な形をしたアイテムを取り出し口元に持っていった。
メガホン
プレイヤーのメッセージ欄に自分の好きなメッセージを残せるアイテム、主に町中でパーティー募集などに使われる。
誹謗中傷に使うと重いペナルティーが科せられることが有る。
課金アイテム
「皆さん落ち着いてください、悪魔の攻撃は神の力によって必ずや防がれます、ですので落ち着いて行動してください。
決して急いで逃げて怪我などは追わない様に、悪魔の攻撃は冒険者のマリアが必ず止めて見せますので」
私はメガホンを使って落ち着いた声で宣言する。
取り合えず得体のしれない冒険者より、神の力って言った方が皆落ち着いてくれるかと思い言って見た。
私が話し終わると教会に居た人々は私に向き直る。
皆期待と困惑を混ぜたような顔をしている。
何か期待しているようだから、変身シーンの様な演出をしてみよう。
私は皆に見つめられながら光の神ヴェインスヴァインの金色の輝く像の前で跪き祈りの格好を取りながら装備を変える。
装備は町を守るために戦聖女の聖鎧、神壁の聖盾、女神のメイス、戦聖女の冠それに女神の翼を装備し冠の上にはスキル(天使の輪)を表示させた。
女神の翼
MP4000 AGI3830
飛行、空中行動障害軽減、空中攻撃力増加、
イベント天使と悪魔は踊るの報酬アイテム、天使セラエルの翼の具現化したアイテム、装備者に飛行能力を与えることができる。
(天使の輪)
イベント天使と悪魔は踊るの報酬スキル、発動時頭の上に天使の輪が出現する。
天使の輪が出現中、神聖魔法の威力、範囲、効果を1.5倍する。
私は装備を変えて立ち上がる。
その姿はさながら天使、白銀に輝く鎧の縁取りに金細工がされた美しい鎧を纏い、色取り取りの宝石を散りばめられた黄金に輝く冠を被り、手には祈りをささげる女神をあしらった盾と同じく祈りをささげる女神を象ったメイス。
そして背からは純白の翼と天使の輪、装備効果に光を降り注ぐなんて効果は無いのに私の上から光が降り注いでいた。
私は振り返ると皆の視線にさらされた、口を開き呆気に盗られている者、祈りを捧げ始める者、目を擦っては私を見て目を見開く者様々な人たちに見つめられ、私は少し照れくさかった。
「マリアおねえちゃん!」
私に声を開けながらエイミーちゃんが飛びつく様に抱き着いて来る。
それに乗じてキャトルーが私の身体をよじ登り私の右肩の上で胸を張って踏ん反り返った。
エイミーちゃんに釣られて子供達が私の周りに集まって来る。
「マリアねえちゃん、天使様だったのか?」
アントニーくんが私の周りをぐるぐる回りながら聞いて来る。
他の子達もそのことが聞きたかったらしくてしきりに頷いている。
「残念だけど天使では無いわよ?れっきとした人間よ?」
私がすまなそうに言うとアントニーくんが「でも・・・」と言いかけるがなにかを悟ったように真剣なまなざしでアトムくんがアントニーくんの肩を叩く。
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