第187話お掃除

私は3日間暗くて汚い部屋で過ごすことになった。

 汚いままにしておくのが許せなかった私は、自分の捕まっている牢屋を徹底的に掃除した。

 ついでにベットを出したりして寝やすい様にして、過ごしやすくした。

 そのせいで衛兵さんから不思議がられ、まるで宿屋の一室みたいになってると言われてしまった。

 臭かった匂いもフローラルな香りが漂い、本当に留置所なのかと疑われそうな状態だった。


衛兵所も私が捕まってから何かあったらしい、まず昼の配達が届かなくなった。

 どうも子供達が衛兵に料理を売らなくなったみたい、1日目には皆で面会に来てくれたし、その時留置所を掃除したって言ったら笑われちゃった。

 私が思ったより元気そうにしていたものだから、子供達も安心したみたい。

 

今は家で食堂を開きそこで料理を提供しているらしい、皆頑張って経営している。

 そしてエイミーちゃんが食堂の端を利用して怪我人の治療もしているんだとか、アベルが食堂で治療してくれることを冒険者ギルドに言ったら。その日のうちに大量の冒険者が押し寄せてきたと言っていた。

 

そして3日目の今日よいよ私の簡易裁判が開かれることになった。


「マリア出ろ、これから裁判が行われる教会に向かう」


壮年の衛兵が私に言う、へインさんに聞いたけどこの人衛兵長らしい、確かに他の人より良い鎧を着ているけど強さでいったらボックスと変わらないくらいね、それでも強いんだけど。

 

私は神殿へ向かうために衛兵に囲まれながら教会に向かう。

 この町の教会は西門と中央の噴水の丁度中間にある。

 そこまで私は両手を縛られた状態で連れていかれる。

 私何も悪いことしてないのに、周りの人たちの視線のせいでなんか自分が悪いような錯覚に陥る。

 まったくやだな~冤罪でさらし者になるなんて、教会に付いたら私を告訴した奴に抗議してやる!

 

私がそんなことを考えている間に、私達は教会の前に付いた。

 教会を見た私は余りの広さと豪華さに驚いた。

 敷地は小学校ぐらい有るんじゃないかってくらい広い、しかも建物は白で統一されている中に金細工で飾りがいたる所にされ、明らかに成金の好みそうな装飾がされている。

 衛兵に連れられ中に入ると中も豪華だった、目の前に有るのは純金製だと思われる男性の像が立ち、ステンドガラスが嵌り色取り取りの色彩の光が差し込み、礼拝堂に差し込んでいた。


礼拝堂にはあの孤児院に来た神父たち、それに髪をオールバックにした鋭い目をした壮年の紳士、その横にはキザルトと一緒にした老執事さんがいた。

 他にも冒険者ギルドのギルドマスターのギルバートさん、商業ギルドのギルドマスターローマンさん、子供達も来ていた。

 

私が正面に進み講壇の前で止まると講壇に神父ではない人が上った。

 金髪をおかっぱにした線の細い男性だった。

 男性は青い瞳で私を見つめる。


「私はこの裁判の判決を下す裁判官のジュノです。

 これより教会より告訴が有ったマリアの孤児誘拐に付いて裁判をする。

 それでは告訴人ガルーナ司教前へ」


裁判官が告訴人のガルーナ司教を指名する。

 指名されたガルーナは座っていた長椅子から立ち上がり私を見るとニヤリと笑い話始める。


「私は4日前に孤児院を立て直すために、そこを占拠していたそこのマリアと言う娘に退去を申し渡しました。

 すると翌日にはそこの娘は退去していました。

 ですがことも有ろうに大事な孤児たち迄攫って出て行ったのです!

 しかもその娘は孤児たちを自分の店で働かせていると言うでは無いですか!

 これは看過できんと思いそこの娘を告訴したのです」


ガルーナはたるんだ頬を揺らしながら叫ぶ、私が本当に攫ってあまつさえ無理やり働かしているかのように話した。

 

「ふざけるな!俺達は攫われてなんかいないし、無理やり働かされてなんかいない!今まで何もしてこなかった奴らに言われる筋合いはない!」


ガルーナが話し終わると直ぐにアトムくんが立ち上がり、怒りに顔を赤らめながら叫んだ。

 

「静粛に、裁判中の私語は慎むように」


裁判官がアトムくんを見ながら言う、それを聞いていたガルーナはニヤリと嗤った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る