第186話逮捕されたよ
ドンドンドン
朝早くに家のドアが叩かれる。
その音に朝食を取っていた私達は気付き、私が入り口に向かって移動する。
「こんな朝早くになんの用かしら?」
私は疑問に思いながらドアに向かう、私に付いてアトムくんとラナちゃんが訝しそうに付いて来る。
私が入り口のドアを開くと壮年の衛兵ともう一人顔の知らない衛兵がドアの前に立っていた。
「お前がマリアだな、教会から誘拐犯として訴えられている。
直ちに衛兵所まで出頭してもらう、いいな」
壮年の衛兵が鋭い目つきで私を睨みながら告げる。
でも私には身に覚えがない、大体誘拐しらきゃいけない人なんて何処にいるのよ。
「すいません、私が誰を誘拐したんですか?いわれのない罪状に従うつもりは有りませんが?」
私は見に覚えのない罪に問われ少しムッとした顔で衛兵に反論する。
すると壮年の衛兵は鋭い目つきのまま眉根に深い皺を作り。
「教会からは孤児を誘拐したと告訴されている・・・」
壮年の衛兵が言うと後ろで衛兵を睨みつけていたアトムくんが声を上げた。
「俺達は誘拐なんてされてない!自分の意志でマリアさんと一緒にいるんだ!
それに教会なんて何もしてこなかったじゃ無いか!今更何様のつもりだ!」
怒りの余り自分の腰に有る双剣に手が行きそうになるアトムくんを見て、一瞬でマズイと感じた私は取り合えず衛兵に付いて行くことにした。
「アトムくん落ち着いいて、ちょっと衛兵所に行ってくるわ、皆は何時も通り過ごしていて、店を開いても良いわもし必要な物が有ればこれで買って」
私はアトムくんに向き直り安心させるように言うと、お店の運転資金として袋に詰まったお金を渡した。
アトムくんは怒りと私を心配している感情が入り混じった不安そうな顔をしていた。
ラナちゃんも両手を祈るように組み不安そうに私を見つめていた。
「では来て貰おう」
壮年の衛兵が私に向かって声を掛ける、私は頷き衛兵と一緒に家を出た。
私は衛兵に連れられて家があった市場から、北門の近くの衛兵所まで連れてこられた。
私は衛兵所の尋問室の机の前にある椅子に腰かけ目の前にはへインさんが座っていた。
「すまんなマリア嬢ちゃん、衛兵長の頭の固さにはホントに困ったもんだぜ。
俺は嬢ちゃんが子供達の支援をしてきたことも知ってるし、孤児院の子供達が今幸せそうにしているのも嬢ちゃんの御蔭だって知ってる。
だが教会のクソどもが嬢ちゃんを訴えやがってな、まあ3日後にでも簡易的な裁判が教会で行われる。
そん時にちゃんと身の潔白を証明すれば、問題ないはずだ」
私の前に座ったへインさんが申し訳なさそうに言う。
そんなへインさんを見つめながら私は笑うと明日のことを聞いてみた。
「その簡易裁判の判事は誰がなさるんですか?」
私が質問するとへインさんは顎に手を当て、少し上を見ながら。
「確か領主の部下で司法を担当している奴がやるはずだ、大体裁判は役場でやるはずなんだが・・・今回は教会でやるらしい。
なんかやな予感がするが孤児たちの証言が有れば大丈夫だろう」
へインさんの言葉を聞き私も安息する。
でも教会か・・・ラナちゃんが言うにはラナちゃんのお父さんが死ぬ3年前までは少なかったけど補助金は出ていたらしい、でもラナちゃんのお父さんが死んでから補助金は一切届いていない。
それどころか教会関係者は誰も孤児院の惨状を見に来ることもしなかった。
それがやっと見に来たと思ったら出てけって言われて、素直に出てったら今度は犯罪者。
余りにも横暴じゃないかしら?幾ら楽観的な私でも怒るわよ!
それから一応私がアトムくんに会って孤児院の子供達を世話するようになった経緯や最近教会の人が来て土地を追い出されたことまで説明した。
私の話を聞いていたへインさんは悲しそうな顔をしたり、土地を追いだされたことを話すと顔を真っ赤にして怒ってくれた。
話が終わった私は衛兵所に有る留置所に移された。
「すまんな、3日後の裁判まで拘留させてもらう、なにも無い汚い所だが我慢してくれ」
へインさんはそう言うと私を鉄格子の嵌った部屋に入れた。
中は日の光が当たらないため湿った空気が漂い、湿気の為かび臭く、腐臭もした。
さすがにこの匂いは耐えれないわ、匂い消しのために除菌スプレーとアロマポットをたいと来ましょ。
私は除菌スプレーを部屋中にシュッシュと掛けながら、アロマポットに火をつけて水とアロマオイルを垂らして焚く。
これで少しはましになるでしょ。
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