幕間3

ガルーナは朝になり孤児院を立ち退かせるために、日の光にその禿頭を光らせてたっぷりと蓄えた脂肪を振らし孤児院へ向かっていた。

 この頃冒険者を中心に怪我の治療に来なくなって来ているため、治療費を踏んだくれなくなってきている。

 なんでも神官の癖に冒険者ギルドで治療をしているマヌケが居るらしい、そいつはたいした額の治療費を取らず治療しているせいで客がこちらに来なくなってる。

 

そいつが孤児院を援助しているらしいと知り、儂は孤児院に向かった。

 だが孤児院は無くなっており、小さな小屋が二つだけある土地しかなかった。

 最初見たときは場所を間違えたかと思ったもんだが、その土地は間違いなく教会の物だと書類には書いてあった。

 儂は小屋のドアを叩くと中から美しい金髪を揺らし、豊満な胸を持つ美しい娘が出て来た。

 

儂はその美貌を目の当たりにして手に入れる算段をする。

 先ずは土地を退去するように勧告して、出て行かなかったことを理由にして教会で儂に奉仕させるつもりだ。

 今からあの娘を手に入れるのが楽しみだわい。


「早くあの娘を手に入れて、じっくりとあの胸を堪能させて貰おうかのう」


儂はこれから手に入れる娘を味わうことを考え、だらしなく垂れた頬肉を揺らし笑う。

 早く娘を手に入れたい欲求で儂は足を速める。

 

そして汚いスラム街を通り孤児院のあった場所へ付いた。

 だがその場所にはあの二つの小屋が無くなった何もない土地だけが残っていた。

 

「な!なにも無いでは無いか!孤児やあの娘はどこにいったのだ!?」


儂が何も無くなった土地を見ながら叫ぶ、その声はなにも無い土地に響いた。

 儂が何も無い土地を見ながら愕然としていると後ろにいた助祭が声を掛けてきた。


「ガルーナ司教様、子供達も居なくなってます、これは誘拐として指名手配することができるのでは無いでしょうか?」


顔色一つ変えない助祭の言葉に、儂は振り向きニタリと口元を歪ませながら笑う。


「そうじゃな!孤児たちを攫った極悪人、直ぐに捕らえるように衛兵に命令せんといかんな」


儂はもっともらしく頷き、何も無くなった土地から離れる。

 その樽のような図体を後ろから見ていた助祭は口の端を吊り上げニヤリよ嗤った。


トラット衛兵所

へインは衛兵隊長に今日、教会から出された理不尽な告訴について声を上げていた。


「どういうこった隊長!マリアが人攫いなんてするはずねーだろ!?それに孤児院の子供達ってマリアといつも一緒にいるアイツらだろ?

 アイツらなら普通に考えりゃマリアに自分からついてったんだろ?それに前に娘に聞いたがマリアが来る前、教会の奴ら孤児院に支援してなかったって聞いてるぞ!

 そんな教会の奴らの言う事なんか却下しりゃ良いじゃねーか、何を考えてんだ隊長!」


俺は衛兵長の執務机叩きながら抗議する。

 衛兵長は目を閉じ眉間に深い皺を刻みながら、俺の抗議を聞いて腕組みをしていた。

 俺が言いたいことを言い終わると衛兵長は目を開き。


「お前の言いたいことは分かる、だが衛兵としては何かあった時の回復役として教会を蔑ろには出来ない。

 告訴も全くの出鱈目だと解るが、告訴されたのなら少なくても本人に事情聴取をしなければならない、以下の理由だ。

 何時も美味い昼を作ってくれているマリアには悪いのだが、こればかりは仕方ないんだ」


衛兵長の言葉に俺は舌打ちをして自分の机に戻る。

 それにしても何が誘拐だ!アイツら全然世話何てしてなかったくせに、なんで今更しゃしゃり出てきたんだ?

 クソ、このままじゃマリアが犯罪者にされちまう、衛兵長は頭硬てーしもしこれで冤罪で処罰されることが有ったらアイナに口聞いてもらえなくなっちまう。

 そんなことになたら俺はどうしたら、衛兵がマリアを捕まえたなんて知られただけで、攻められるのは確実なのに!


頭の固い衛兵長のせいで確実に娘に攻められる未来にあることを俺は頭を抱えて悩むのだった。

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