第180話キャサリンちゃんのお引越し
私はキャサリンちゃんと一緒に商業ギルドに入った。
今回は女性係員が一緒だったためか男性係員が近づいてくることは無かった。
「こちらにお願いします」
女性係員が開いている受付へと案内してくれたので、私は女性係員に付いて行きそこに座った。
受付で少し待つと女性係員が書類を持って受付に来た。
「お待たせいたしました、こちらに署名をそれとお金の支払いをお願いいたします」
私はいわれるままにストレージから大金貨を2枚出して受付に置き、書類に署名をし始めた。
女性係員は一度お辞儀をして「確認させていただきます」と声を掛け受付に置かれた大金貨を手に取り、天秤に置いて測り始めた。
私が署名をし終わる間に女性係員は大金貨を測り終わり、私が書類を返すと笑顔でお辞儀をした。
「これであの物件はマリア様の物になりました。こちらが書類の写しと鍵になります、またご入用がございましたら何時でもご来店お待ちしております」
「ありがとうございます」
女性係員から鍵と書類を受け取った私はお礼を言ってキャサリンちゃんを連れて受付を離れた。
私達は受付を離れ商業ギルドを出ると露店に手を振りながら新しい家に向かった。
「新しい家ってどんな所ですか?」
キャサリンちゃんは嬉しそうに私に新しく買った家のことを聞いて来る。
キャサリンちゃんの嬉しそうな顔を見て私は微笑み。
「かなり広いから皆で暮らしても余裕が有りそうな所よ」
私が簡単に説明すると、キャサリンちゃんは不思議そうに首を傾げ。
「広いんですか?私達家族で暮らしても余裕あります?」
キャサリンちゃんの言葉に私は悩んでしまった。
見た感じ大部屋なら4つベットが置けるけど、小部屋でも2段ベットを入れれば家族4人でも暮らすには困らないと思う。
そんなことを考えながら歩いて居ると直ぐに市場通りに付いた。
相変わらず賑やかな呼び込みの声を聞きながら、市場を通り家に到着した。
「着いたわよ、ここが新しい私達の家よ」
私は指を指しながらキャサリンちゃんに新しい家を紹介する。
キャサリンちゃんは私が指さした建物を見上げ、口を開け呆けてしまった。
私はその顔を見て微笑みキャサリンちゃんが復活するまで待った。
「え、本当にここですか?広すぎません?」
キャサリンちゃんが混乱したように呟くのを聞いて。
「14人で暮らすってなるとこのぐらいの所になっちゃうみたいなのよ、もしかしてダメだった?」
私がキャサリンちゃんに聞くとキャサリンちゃんは首を大きく横に振り。
「そんなこと全然ないですよ!むしろ嬉しいです!」
キャサリンちゃんが本当にうれしそうに声を上げたので、私もほっとした。
もしダメだったらどうしようと思っちゃった。
でもこの嬉しがり方なら大丈夫みたい、この分なら子供達の喜ぶ顔も見れそうね。
「キャサリンちゃん家の家具とか持ってこないといけないでしょ?私のストレージに入れて持ってくれば直ぐだから取りに行きましょ」
私の提案を聞いたキャサリンちゃんが嬉しそうに頷き「こっちです!」と言いながら私を導いてくれた。
私はキャサリンちゃんに付いて行く、キャサリンちゃんはどんどん進んで行き前に住んでいたスラム街の近くまで来る。
この辺りは前の孤児院のあった所の近くね、案外近くに住んでいたのね。
私は考え事をしながら付いて行く、キャサリンちゃんはそのまま一つの建物の前に来て階段を上っていった。
キャサリンちゃんの入っていった建物は3階建ての建物で大きさは新しい家の半分ぐらいの幅しかなかった。
私もキャサリンちゃんの後を付いて行く、急な階段を上って3階まで来るとドアの前でキャサリンちゃんが待っていた。
「マリアさんどうしたんですか?もしかして階段急でした?ここの階段急ですもんね」
キャサリンちゃんは私に声を掛けながらドアを開けて入る。
私も釣られて部屋の中に入ると狭い部屋に大きな物は竈と流し台、後はテーブルが有るだけだった。
他の食器などは流し台の上にある棚に置いてあり、それ以外は流し台に水を入れる
「マリアさんとりあえず竈と流し台以外は持って行って貰って良いですか?」
キャサリンちゃんの要望を聞き、私は頷いて全部ストレージに入れる。
と言っても食器と甕とテーブルと椅子だけだからすぐ終わってしまった。
「後はベットと洋服入れの箱だけです・・・」
キャサリンちゃんはそう言うと奥のドアを開け中に入る。
私は付いて行くとシングルベットが2つくっつけて置いてある以外は大きい箱が一つ置いてあるだけだった。
本当に何にもないな~それだけ節約していたんだろうけど、キャサリンちゃんの家二部屋合わせても新しい家の小部屋の方が広く見えるわ、これなら大丈夫そうね。
私はキャサリンちゃんの家のベットと大きな箱をストレージに入れながらそんなことを考えていた。
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