第178話思ったより広いです
私と女性係員は商業ギルドを出るため受付席を立った。
女性係員は見取り図や物件迄の地図を持って席を立ち、受付をぐるりと回り一番端の空いている所から出てきた。
「お待たせいたしました、では参りましょう」
女性係員が私の隣に並ぶと歩き始める、私は女性係員と一緒に商業ギルドを出る。
商業ギルドを出て一度露店の様子を窺った。
露店は繁盛していていつもと変わらない様子だったけど、料理を受け取って露店から離れるお客さんが何となく寂しそうな顔をしていた。
露店の横を通り過ぎる時に皆が私に気付いたので私がてを振る、皆は頷いたり手を振ったりと反応を返してくれた。
そんな露店を離れ女性係員と一緒に物件に向かう、物件は町の東にある市場の通りに有るらしい。
私達はそこへ向かって歩いて行く、中央噴水迄来た所で市場のある東通りに入っていく。
「今日の野菜は届いたばかりの新鮮だよ!特にアサワラが新鮮なのが入ってるよ!」
「今日はラッシュホーンが入ってるよ!臭みの無いラッシュホーンは直ぐ売切れちまうよ!」
「ラッツリードから塩が届いてるよ!うちは混じりっけなしの塩だよ!」
市場に入ると両脇に有る店舗から呼び込みの声が掛けられる。
元気のいい恰幅の良いおばさんや解体もしているのか血の付いたエプロンで呼び込みをするおじさん、丸眼鏡をした男性など色々な人が客引きをしていた。
威勢のいい声を聞きながら東通りに入ると直ぐに。
「あ、ここですね」
女性係員の呟きを聞き立ち止まって建物を見るとかなり大きかった。
建物の幅がかなり有りそうな大きさだった。
えっ大きくない?これ幾らするの?高くなりすぎるようなら買えないんだけど?
「あの、この物件って幾らなんですか?」
私は恐る恐る女性係員に聞くと女性係員はニコリと笑い。
「本来は3千万ローンですがギルドマスターの配慮により2千万ローンになっております」
女性係員はにこやかに金額を答えた。
確かに私なら払えるわよ、でも高いわね、さすがに14人が暮らせる家なんて高くなって当然なのかしら?
ギルドマスターも私が払えること知ってて、このレベルの物件用意したんだろうな~。
それにしても凄い出費よね、これ料理で稼いで何年かかるのかしら?
でも現状お家の無い私達には必要だし、買わないって訳にもいかないのよ。
取り合えず中を確認しましょう、それから決めようそうしよう。
「あの、如何為さいました?」
私が黙ってしまったため女性係員は心配そうに声を掛けて来る。
「中を確認しても良いですか?」
女性係員の声に考えこんでいた私は何とか声を出し聞いてみた。
「ええ、どうぞご検分ください」
女性係員はそう言うと家の扉を開き中に招き入れた。
建物の中は入ってすぐにカウンターが有り、右に階段、左に食堂の扉が有った。
食堂の扉を潜るとかなり広い食堂になっていた。
所々柱のある空間の奥に厨房がある、こちらも広く、ゆったりとした空間になっていた。
厨房にはパン焼き窯が1つ、竈が3つ後は皿を洗う流し台が有った。
厨房の端には階段が有り地下の保存庫につながっていた。
保存庫は簡単な棚があるだけで他に何もなく広々としていた。
「かなり広いですね、これなら4人掛けで6テーブルぐらいは作れそうですね」
私が呟くと女性係員は辺りを見回し頷いて。
「そうですねそのくらいは置けそうですね」
女性係員の返事を聞いて私は次の部屋を見るため2階に上がった。
2階は大部屋で扉を開けるとベットを4つは置けそうな広さの部屋があった。
それが2部屋それだけで8人は暮らせる広さがある。
この広さなら二段ベットを置いたら一部屋で8人は暮らせるわね、でも8人だと狭いかしら?部屋割りは皆と話し合いましょ。
次に3階と4階を見て回る、小部屋ってことだったけど、ベット2つぐらいは置いても余裕な広さは有った。
これなら二段ベットを置けばもっと広く使えそう、この分なら14人も余裕が有りそうね。
後は庭だけどここもかなり広い、コテージ何かは4つは立てられる広さがある。
元宿屋だったためか納屋も立っている、納屋が無ければ追加で2つコテージが立ちそうね。
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