第177話店舗探し
私が商業ギルドに入ると直ぐに男性係員が私に近づいて来た。
「おはようございますマリア様、今日はどういったご用件でしょうか?」
男性係員は深くお辞儀をして朝の挨拶と私が来た要件を聞いて来た。
相変わらず商業ギルドの係員は丁寧な接客ね、私は感心しながら今日の要件を説明した。
「実は大きな食堂のある家を探していまして」
私が今日の要件を言うと男性係員は笑顔で頷き。
「食堂を開くのですね、おめでとうございます。ギルド長からもマリア様が店舗を必要になった場合、直ぐに用立てれますように準備されておりました。
物件を何件かご紹介いたしますのでこちらでお待ちいただけますか?」
男性係員は私を空いている受付席へ連れて行くと受付の奥へ向かった。
しばらくすると私のいる受付に女性係員が来た。
「おはようございます、マリア様の担当させていただきます。
先ずは立地なのですがどのあたりが理想でしょうか?後建物の外観などご要望がございましたら行っていただければこちらでご希望に合った物件をお探し致します」
女性係員はこちらの要望を聞いて来たので一応必要なことを言ってみる。
「そうですね、先ずは大きな食堂と厨房後食糧庫が必要ですね、それと従業員が暮らせる部屋と広めの庭が有れば嬉しいです」
私が簡単に必要なことを説明する、女性係員は頷き物件の間取りの書いている紙をめくっていく、そこから私の言った要望に有った物件の紙を何枚か取り出している。
全部めくり終わり全部で10枚の物件の間取りが書かれた紙を私に見せてきた。
「こちらなどいかがでしょう?元食堂で1階が食堂と厨房そして厨房の下には貯蔵庫がございます。
居住施設は2階と3階で全部で10部屋ございます、また庭も広くなっておりますがいかがですか?」
女性係員の進めてきた物件の見取り図を見る。
確かにかなり広い作りになっているけど、部屋が10部屋だと一部屋に2人以上で住んでもらわなきゃいけなくなっちゃう、それだとちょっと窮屈よね。
「最低14人は暮らせる居住施設が無いと少しきついですね、他は有りませんか?」
私が住む人数を言うと女性係員が考え込むようにしながら見取り図をペラペラとめくっていく。
そして最初に出した10枚の中から3枚取り出して私に見せてきた。
「人数も多いですからかなり大きな店になってしまいますがよろしいですか?」
女性係員は前置きをしてから私に見取り図を見せて来る。
「先ずはこちらになります、こちら店舗と居住施設が分かれていまして、土地の前方に店舗後方に居住施設になっています。
そして庭を挟むような形になっております、元は大店の店舗でしたが手放された物になります。
食堂として使える1階と地下に倉庫として使われていた部屋、後は2部屋ございます。
2階は5部屋ございまして、執務室や会議室、応接室などに使われていたようです。
居住施設は従業員などが住んでいた建物で3階建てで、1階は食堂や風呂トイレなど居住に必要な設備、部屋は2階から4階までで15部屋ございます」
女性係員は一通り説明してもらい、私は悩んでしまった。
広さは問題ないけど居住施設と店舗との距離が遠いのよね、これだと移動が大変かもしれないわ。
「この店舗はちょっと居住施設と店舗が離れているので移動が大変そうですね」
私が気になった点を言うと女性係員も頷き。
「そうですね、この店舗はそこが欠点でしてなかなか買い手が見つかって無いんです・・・」
女性係員はぽつりと呟いた。
少し気まずそうな雰囲気が流れ、気を取り直したように女性係員は笑顔になり。
「でしたらこちらは如何ですか?元宿屋だった場所です、1階に食堂と厨房後宿屋の主人が住んでいた部屋が有ります。
地下にはもちろん貯蔵庫と2階は大部屋が2部屋、3階に部屋が6部屋、4階に部屋が6部屋ございます。
庭に納屋が有りかなり広いです、こちらでしたら14人なら楽に暮らせると思いますがいかがでしょうか?」
紹介された宿屋の見取り図を見てみる。
確かに宿屋らしく2階の大部屋は一つに4人分のベットを入れられるスペースがあった。
それが2部屋も有るんだからそれだけで8人が暮らせそうな広さがある。
アベル達が一人部屋が欲しければ3階と4階の部屋を使って貰えば良さそうだし、ジェフくんも一人部屋が良いって言えばそっちに部屋を用意できそうね。
キャサリンちゃん達家族は大部屋の方が良いかしら?それでも余裕が有りそうね。
「この物件は見学できそうですか?」
私は考えをまとめて女性係員に声を掛けた。
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