第175話横暴です

うどん作って夕食を食べた私達テーブルを囲んで雑談をしていた。

 

「今日の狩りで俺ウルフと戦ったんだぜ!強かったけど今度戦った時は絶対負けねー」


アントニーくんは今日の狩りの様子を皆に自慢げに話す、チェスターくんはその話を笑顔で聞いていた。

 カーラちゃんは考え事をしながら話を聞き、エイミーちゃんはキャトルーとサラちゃんと一緒に遊んでいた。

 他の皆はアントニーくんの話を聞きながら笑っていた。


そんな団欒を過ごしていた家のドアを叩く音が聞こえてきた。

 

「何でしょう?こんな時間に」


ラナちゃんは首を傾げながらドアへと歩いて行く、私もラナちゃんに付いて行くとラナちゃんがドアを開いた。

 ドアの前には腹の出た禿げた男がパッツンパッツンの神官服を着て立っていた。

 他にも後ろに2人神官服を着た男女が立っていて、私達がドアを開けて顔を出すと禿げた神官らしき人が話し始めた。


「ここには孤児院があった筈だが?なんだこの小さな小屋は?孤児院はどこにいったのかね?」


禿げた神官は偉そうに腹を出して聞いて来る。

 

「前の孤児院は老朽化がひどくてあのまま住んでいると危なかったので取り壊しました」


本当はアレが怖くて潰しちゃったんだけど、どっちにしろあのままあの孤児院に住んでいたら子供達が下敷きになっていたわ、それなら潰しちゃても問題ないでしょ?


「壊しただと?神殿の許可を得ずにか?なんと言う、まあここを一度更地にする予定だったのだから無いのならよしとしよう、だがこの小屋は片付けねばならんな。

 お前らは直ぐにここを出て行ってもらう、明日までに出て行かなかった場合衛兵に捕らえさせるからな!」


禿げてデブな神官は一人で言いたいことを言い終わると踵を返して男女の神官を伴い帰っていった。

 私達はその後ろ姿を見送り茫然としてしまった。

 え、いきなり来て立ち退き勧告されたんだけど、どうしたらいいの?

 私が困惑していると手を握られる感覚がしてそちらを見るとエイミーちゃんが不安そうに私を見上げていた。

 エイミーちゃんを見てから後ろを見ると、皆立ち上がり不安そうに私を見つめていた。

 

私はドアを閉じエイミーちゃんの手を引きながら皆に「一度落ち着きましょう?」と声を掛けテーブルに付いた。

 

「なんだよあいつ!今までほっといたくせに今度は出てけだって!ふざけんな!」


アントニーくんが怒鳴りながら机を叩く、他の皆も怒りを噛み殺す様に唇を噛んでいる。


「今までラナがどれだけ必死に俺達のことを考えて動いてくれたかも知らないで!もし目の前に居たら俺は襲い掛かっていたかもしれない・・・」


噛みしめた唇の端から血を流し、手をきつく握りしめすぎたため拳からも血を滴らせて、目を吊り上げその碧の目に怒りでギラつかせながらアトムくんは呟く。

 その余りの怒りにこの孤児院の子でないジェフくんやキャサリンちゃん、サラちゃんやマリーダさんが怯えた顔でアトムくんを見つめる。

 そんな暗くなったコテージの中にパンと言う両手を叩く音が響く。


「ハイ、あんな人のこと気にしちゃダメよ、どうせお金が溜まったら食堂か宿屋を買ってここを出てくつもりなんだから、それが早くなったと思えば気にならないでしょ。

 明日はちょっと早いけど仕方ないわ、私が明日商業ギルドに行っていい物件が無いか探してくるわ、その間皆はいつも道理露店で仕事していて、家がどのぐらいで買えるか分からないからお願いね」


私が明るく言うと皆が顔を見合わせて少し微笑んでくれた。

 皆の顔を見回した私はマリーダさん達を見て一つの提案をすることにした。

 

「マリーダさんどうせなら一緒に住みません?ジェフくんもアベルとマーナも家賃は食堂で働いて貰えればいいからどうですか?」


私が提案するとマリーダさん達は目を丸くして。


「いいの?私達も一緒で、全員一緒だと結構大きな食堂か宿屋になりそうだけど・・・」


マリーダさんは遠慮がちに言うと悩むようにサラちゃんとキャサリンちゃんを見る。


「ヤッター、俺も良いんですか?マリアさんの仕事受けるようになって余裕は有りましたけど宿代は痛い出費だったからすごく助かります」


ジェフくんは素直に喜んでくれたみたい、そんなジェフくんの様子にアントニーくんが嬉しそうにしていた。

 アントニーくんは良くジェフくんと剣の訓練してるから嬉しいのかもしれないわね。

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