第174話うどんにしよう

子供達と森で狩りをして私達はトラットの町に帰って来た。

 孤児院に帰る途中で冒険者ギルドによってゴブリン討伐の報酬を受け取って置く。

 今日討伐してきたゴブリンは全部で10匹、あれからさらに5匹倒してから暗くなる前に帰って来たのよ。

 討伐報酬は1匹に付き500貰えた、前のスタンピードの時は危険手当で1000ローンだったけど、ウルフより弱いんだからこんなもんよね。


「皆、今日の報酬貰ってきたわ、お小遣いとして自由に使て良いわよ」


私は受け取ったゴブリン討伐の報酬の大銅貨を皆に配る。


「やったー!本当に自由に使っていいのか?どうしようかな~」


1000ローンを受け取ったアントニーくんは嬉しそうに握りしめ、何に使おうか考えている見たい。

 チェスターくんは左手に大銅貨を乗せ、右手で顎を触りながら考え込んでいた。

 カーラちゃんは大銅貨をポケットに入れると考え事をし始めた。


「マリアさん、他の魔法ってどうやって手に入れるんですか?」


カーラちゃんは私を見上げながら質問してきたので、私は悩んでしまった。

 ゲーム内ではスキルブックを読むか、初期スキルはそれに準じた行動をしていれば手に入ったけど、こっちの世界だとどうしたら手に入るんだろう?


「ごめんなさい、今度冒険者ギルドに来た時にでも聞いてみるわ」


私は首を捻りながらそう言うとカーラちゃんは「そうですか・・・」と言い前を向いてまた歩き始めた。

 

出来れば四属性魔法ぐらいは上げたいけど、カーラちゃん一人を贔屓するのもいけないわよね。

 できれば魔法に関する本か何か見つけて、カーラちゃんに上げたいけど売ってるのかしら?

 私が考え事をしている間に孤児院へ近づく、孤児院に近づくと庭の方から声が聞こえてきていた。

 そちらに行くと丁度屋台を庭の片隅に置き、鍋やパンなどが入っていた箱を洗っている姿が見えた。


「お疲れさまです、子供達がいませんでしたけどどうでした?」


私はマリーダさんに近づき今日の様子を聞く、マリーダさんは私が帰って来たことに気付くと笑顔で迎えてくれた。

 そして私の質問に頬に手を当て悩む仕草をしてから答えた。


「カツサンドもハンバーガーも全部売れたわよ?特にトラブルも無かったけど・・・ああ、マリアちゃん!今日もあの貴族様が来ていたわ、貴方がいないって伝えたらガッカリして帰っちゃったわよ?」


私はマリーダさんの今日の様子を聞いて、子供達がいなくても残った人数でも露店は回せるって分かってホッとした。

 キザルト様だったかしら?あの方は、まあほっといても害はないでしょ、売り上げに貢献してくれるのなら良いんじゃないかしら?


マリーダさんの報告を聞いた後、私達は片付けや今日狩って来たウルフの解体をして夕食までの時間を過ごした。

 さて今日の夕ご飯は何にしようかしら?私は夕ご飯を考えながらコテージに移動すると、露店の片付けを終えたラナちゃんとサラちゃんそれとマリーダさんが付いて来た。


「マリアさん今日は何を作るんですか?」


隣に並んだラナちゃんが質問してきたので、私は少し悩んでから。


「この頃脂っこい物ばかり食べていたから今日はあっさりした物にしたいわね」


私が考えながら呟くとラナちゃんとは反対側に来ていたサラちゃんが。


「あっさりしたもの?気になる・・・」


私の呟きを聞いてサラちゃんは期待しているのが分かるくらい目をキラキラさせて私を見上げる。

 そんなサラちゃんの頭に手を置き優しく撫でながらコテージに入ると大鍋を用意し始めた。

 

「今日はうどんにしましょ、うどんの作り方はシンプルだからすぐに覚えられると思うわ。

 先ずは麺を作るために小麦粉をこねて・・・」


私はうどんの麺を作り方を説明しながら小麦粉をこねてから寝かす、綺麗な布に包んでコシが付く様に踏んでいく。

 そして寝かしている間につゆを作る、大鍋に昆布だしとカツオだしを作って合わせる。

 その後は醤油、酒、みりんで味を調えたらつゆの完成!

 後は麺を皆で伸ばして切っていく、麺棒が2本しかなかったので仕方なく交代で伸ばして切っていく。

 

ラナちゃんとサラちゃんはさすがスキル持ち、麺を切るのも等間隔にしっかり太さを揃えて切っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る