第168話子供達と狩りへ

翌日

私は子供たちの押しに耐えきれず狩りにつれていくことになった。

孤児院の前で心配そうな顔をするラナちゃんとアトムくんがいた。


「皆マリアさんの言う事をしっかり聞くのよ、無理はしちゃだめだからね」


心配そうに手を組み祈るようにしながらラナちゃんが言う。


「そうだぞ!森の中じゃいつ襲われるか分からない、それに森の中は歩きずらいから注意して歩くようにな。

 それと逃げる魔物は追う必要無いからな、孤立すると一番危ない、マリアさんから離れない様にすること」


アトムくんも皆に注意して言い聞かせていた。

 そんな様子をアベル達が見つめていた。

 私はいない間の露店のことを頼むためにマリーダさんに話しかけた。


「マリーダさんすいません露店の方はよろしくお願いします」


私がお願いすると、マリーダさんは頷き。


「任せて!今日分はきっちり売って来るわ」


マリーダさんの言葉に私は頷き。


「行ってきます!」


私達は露店組に声を掛け門へ向かった。

 今日行くのは南門に行く、南門の方がゴブリンが多いからね。

 出かける前に冒険者ギルドで依頼を受けていくわ、私が今更ゴブリンの依頼を受けていったことに、レインさんは不思議そうに首を傾げていたけど気にしない。

 アントニーくん達には冒険者ギルドの前で待て貰って、私が依頼を受けて来た。


「なあ、今日狩る魔物は何にするんだ?やっぱりウルフにするのか?」


アントニーくんが頭の後で手を組みながら話しかけて来る。

 皆今日は完全装備だ、アントニーくんは剣を腰じゃなく背中に背負っているけど重さには慣れたのかな?重そうには見えない。

 アントニーくんもチェスターくんもこの頃出かけるときは毎日着ている盗賊団長の革鎧を着て武器も防具も問題ない。

 

「最初はゴブリンよホーンラビットも狙えれば良いんだけど、ホーンラビットは逃げるからゴブリンで練習しましょう」


私が今日の方針を決定する、アントニーくんは「は~い」と声を上げ歩く。

 

そんなアントニーくんの様子を見て、チェスターくんやカーラちゃんを確認した。

 チェスターくんは少し緊張しているのか真剣な顔になっていた。

 カーラちゃんは少し俯きながら何かブツブツと呟いていて、私は人にぶつからない様にさり気無く手を繋ぐと、カーラちゃんは顔を上げ。


「あ、ありがとう」


カーラちゃんは呟くとまた考え事をするように俯いてしまった。

 

門に付くと丁度開門した所で商人の馬車や徒歩の行商人、依頼で町の外に出かける冒険者達が目についた。

 私達はその人の流れに乗って外に出る。

 門を潜り歩いて行くと広い道と左右に森が広がっていた。

 商人たちは道なりに進んで行き、その護衛の冒険者も付いて行く、それ以外の狩りをする為の冒険者は左右の森へ進んで行った。


「早く行こうぜ、早くいかないと他の冒険者に獲物取られちまうよ」


アントニーくんが急かす様に私の手を取り引っ張っていく。

 

「ちょっとアントニー!遊びに来たんじゃないんだから真剣にしなさい、余り勝手なことすると次連れて来て貰えなくなるかもしれないわよ?」


カーラちゃんが目を吊り上げてアントニーくんを叱るとアントニーくんはしゅんとなり静かになった。

 私はカーラちゃんの頭を撫でてから、皆を見回し。


「ここからは何時戦闘になってもおかしくないわよ、神経の張り詰めすぎも良く無いけど油断はしない様に」


私が言うと皆頷きアントニーくんは剣を抜き、チェスターくんも槍の穂鞘を外し直ぐ戦闘になっても良い様に整えた。

 それを確認してから私達は森の中に入っていく、でも入ろうとした所でもう一度皆を見回した。

 アントニーくんは剣を抜いて前に構え、チェスターくんも直ぐ突けるように構えている。

 カーラちゃんは杖を前に突き出しながら歩き、エイミーちゃんとキャトルーが手を繋いで私の横にいた。

 

うん?何かおかしいような?

 私はもう一度皆を見回す、皆は先ほどと同じ様に辺りを警戒している。

 その中に今日連れて来るハズじゃ無かった子が混じってた。

 

「え?なんでエイミーちゃんとキャトルーがいるの?」


私は横にいるエイミーちゃんとその腕の中にいるキャトルーを驚きながら見下ろしていた。

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