第164話町の名物
カーラちゃんの相談事を聞いた私は、知っている水魔法を思い出していた。
でも私自身が使えないのよね~、どうしよう?誰か水魔法を使える人に教えて貰おうかしら?
「水の魔法ってどんなものが有るんですか?」
私が考え込んでいると、カーラちゃんが質問してきたので、私は知ってる限りの水魔法を教えた。
水魔法の発動からどういう形でどのくらい飛んで、どのぐらいのダメージなのかを説明してみた。
カーラちゃんは私の説明を聞いた後、ブツブツと呟いていたかと思うと『ウォーターボール』と唱えた。
するとゆっくりとカーラちゃんの前に水の球が出来ていった。
「カーラちゃん外、外!」
私はカーラちゃんが水の球を作るのを見て慌ててカーラちゃんを外に出した。
カーラちゃんは外に出ると当時に自分の前にできた『ウォーターボール』を庭に打ち出した。
カーラちゃんの打ち出した『ウォーターボール』は打ち出されると庭の土を少し抉り、庭中に水をまき散らした。
「カーラちゃん良かったね、『ウォーターショット』以外も使えたじゃない」
私が言うとカーラちゃんは少し嬉しくも有り、恥ずかしくも有りそうな表情をして。
「はい、ありがとうございます、家の中で使ってごめんなさい」
カーラちゃんのお礼と謝罪を聞きながら、私は微笑んでいた。
次の日からマリーダさんとサラちゃんも一緒になって露店で働いてくれるようになった。
おかげで1日目は300個だったけど、翌日から400個も作ることになった。
ハンバーガーとカツサンドも最初は半々で作っていたけど、ハンバーガーの方が売れ行きが良くて今は250個はハンバーガーで150個はカツサンドにした。
そうしている間に一か月が過ぎ大分評判も広がり、連日大盛況今ではトラットの町で名物にもなり始めている。
やっぱりと言うかパンに具を挟んだ商品を売る露店も増えて串焼き屋だった所は全部パンに挟んで売るようになった。
その分売り上げが下がるかと思ったんだけど、さすがにカツやハンバーグの作り方が分からなかったみたいで、今の所パンに挟むのは出ていても、まったく同じカツサンドやハンバーガーは出てきていない。
カツサンドは衣を付けて揚げることは考えつきそうだけど、問題は油を私達の様に豊富に用意できないのが欠点で作れないみたい。
ハンバーガーはミンサーが無いとあんなに簡単に挽き肉に出来ないから、作るのに時間が掛かり過ぎるのよね。
そして一番の欠点は私達みたいに臭み取りをしていないのが大きな要因だったのかもしれない。
時々「どうやって臭みを取ってるんだ!教えろ!」とか「ウルフの肉がこんなに臭みが無いわけがない!本当は何の肉なんだ!」とか色々突っかかってくるお客さんもいる。
けど今ではアトムくん、ジェフくん、キャサリンちゃんの3人も大分強くなってそこいらのゴロツキには負けなくなってるから安心よ。
それに他の子達も毎日訓練しているだけのことは有って、私やアベル達が出る前に黙らせてしまうことが多く成って来た。
特にカーラちゃんなんか文句を付けて来る人には容赦なく『ウォーターショット』を打ち込む始末、で怪我をした人に有料で『ヒール』を掛けるエイミーちゃん、本当に皆たくましくなっちゃって。
私の出番が無いくらい、だから私は多くなった肉の消費を補うために狩に行くことが増えていった。
狩に行くメンバーも大体決まっていて、アベルとマーナ、アトムくんジェフくんキャサリンちゃんの冒険者登録しているメンバーが主で狩りの方が稼ぎが良いから人気だったりするのよ。
料理の手伝いをしてくれれば500ローン出すって言ってるんだけど、なんでか皆手伝ってくれないのよね。
まあ今はマリーダさんとサラちゃんがいるからそんなに困っていないけど、皆料理出来たほうが良いと思うのにな~、野営の時とか作らないであの石パンとスープ我慢するつもりかしら?
まさか私がずっと一緒にいられるかはわからないから覚えてもらいたいんだけど・・・。
今度保存食でも作って見ようかしら、あの硬い干し肉よりはオーク肉でベーコンでも作ったほうが良いわよね。
後はピクルスでも漬けて見ようかしら?漬物も昔からある保存食よね、おばあちゃんが良く漬物つけてたな~やり方は知ってるけど作ったこと無いのよね・・・。
失敗しないことを祈りましょ。
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