第162話サラちゃんのスキル

マリーダさんと面談をした私達はそのまま店に出す料理を教えることになった。

 カツの二度上げのポイントやハンガーグのこね方、カツに使う肉の筋切りなんかを教えて実際やって貰ていた。

 

「肉の筋切りはこのぐらいで良いですか?」


マリーダさんの質問に私が答え、間違ってる所を治していく。

 カツに使う肉の筋切りはすぐ慣れたけど、カツの二度上げのタイミングは少し手間取っているみたいだった。

 私がマリーダさんに料理を教えている間に、ラナちゃんはソースを作っていた。

 私達のやり取りを見ながら大鍋でソースを作り、時々こちらを確認していた。


そんな様子を私達の後で女の子が真剣な目で見ていた。

 マリーダさんの娘のサラちゃんは暇なのか母親が心配なのか、私とマリーダさんのやり取りを見つめている。

 そんなサラちゃんにエイミーちゃんがキャトルーを抱いて近づき話しかけた。


「ひまでしょ?いっしょにあそぼ?」


エイミーちゃんが声を掛けるけど、サラちゃんは首を振って。


「いい、今お母さんの仕事を見て覚えてるの、お母さんが来れない時はあたしが来て仕事しなきゃ」


サラちゃんの言葉を聞いて、エイミーちゃんは首を捻り悩む仕草をしてから。


「なら、いっしょにおてつだいしよ」


エイミーちゃんはサラちゃんに声を掛け、マリーダさんと話している私に近づき。


「サラちゃんも、おしごとてつだうって」


エイミーちゃんの言葉に私はそちらを見てから、台所でしていた作業を良く見える様にテーブルですることにした。

 テーブルに移動して筋切りした肉に衣をつける作業をしていく。

 サラちゃんは椅子の上に立ち私の作業を真剣に見つめていた。

 サラちゃんってエイミーちゃんと同じぐらいの年かと思ってたけど、もう少し上なのかしら?


「サラちゃんってしっかりしてますね、いくつ何ですか?」


サラちゃんの年が気になった私は、マリーダさんに聞いてみた。


「サラですか?今年で7歳になりますね」


マリーダさんの笑顔で答えてくれたけど、その割にはしっかりしてるな~。

 

私はまずサラちゃんに手を洗って来て貰って、カツの衣つけを手伝ってもらった。

 サラちゃんは思ったよりしっかりとした手つきで衣を付けて良く、まるでラナちゃんの様に手際が良い。

 あれ?ラナちゃんの様に手際が良い?おかしくない?7歳の子供がこんなに飲み込み早いなんて。

 

それからも二度揚げのポイントもハンバーグの焼き加減も、ハンバーグの捏ね方も一度で覚えていく。

 まあここまでスムーズに覚えていくから、直ぐに気付くわよね。

 サラちゃん絶対!料理スキル持ってるわ。

 私がそんなことを考えている間に、マリーダさんより早く料理を覚えてく。

 料理を教え終わった私達はこのまま、明日の仕込みをし始めあっと言う間にお昼になっていた。

 

キャサリンちゃんの姿が無いなと思っていたら、冒険者志願の子達と一緒に訓練をしてたみたい。

 私がご飯の為に呼びに庭に行くと、チェスターくんと槍で試合をしていた。

 キャサリンちゃんも大分強くなってきているため、チェスターくんはかなり押されてる。

 槍裁きはチェスターくんの方が上なんだけど、やっぱり実践経験が違うわよね。


「皆~お昼よ!」


私が声を掛けると子供達は元気に声を上げコテージに戻っていった。

 私は皆の後に付いてコテージに戻ると、カーラちゃんとキャサリンちゃんが言い争いをしていた。


「キャサリンさん!運動したんだからお風呂に入りなさい!」


カーラちゃんに一括されてしどろもどろになりながら、コテージのドアを見つめ。


「お風呂?でも男の子たちも直ぐに来るんでしょ?」


キャサリンちゃんは躊躇しながら言うので、私は微笑みながら。


「出て来るまで鍵かけて置くから大丈夫よ、それに運動した後に綺麗にしない子にはご飯は上げませんからね」


私が言うと、キャサリンちゃんは勘弁したようにカーラちゃんに手を引かれ、お風呂場へ連行されていった。

 キャサリンちゃんのあれはお風呂に入りたくないんじゃなくて、男の子たちがいつ来るか分からないから躊躇していたんだと思う。

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