第148話アトム視点4
瞬きしながら言った俺の言葉を聞いたキャトルーは項垂れてしまった。
そして顔を上げると地団駄を踏みながら。
「ボクはケットシー、猫妖精にゃ!そこらの猫が立って歩く所見たことあるにゃか?猫の格好してるけど立派な妖精なんだにゃ!」
キャトルーは怒りながら言うと自分の肉球でポフリと胸を叩き自慢げな顔をした。
「ごめん、キャトルーって妖精だったんだな」
俺が誤りながら言うと「やっとわかったにゃか?」と呆れられてしまった。
「ボクなら少しの間だけ姿を消せるにゃ、その間にアントニーを助ければいいにゃ」
改めてキャトルーが提案してきた作戦に、俺は喜んで頷いた。
俺が頷くとキャトルーは手を上げ。
「精神の精霊よボクの願いを聞いてくださいにゃ『インビジビリティ』」
キャトルーが呪文を唱えると俺達の身体が足からだんだん消えていき、最後には全身が見えなくなった。
「これで助けに行けるにゃ、早くしないと効果が切れちゃうにゃ」
キャトルーの声だけ聞こえてきて、何となく近くに居ることは分かるが距離感がうまくつかめない。
俺がキョロキョロと辺りを見回していると。
「じゃあ行くにゃ」
キャトルーの号令と一緒に足音が聞こえるので、俺も3番倉庫に向かった。
見張りをしている男の前を通っても何も言われず、俺は3番倉庫の中に入った。
中は薄暗く木箱が3段に積み重ねられていた。
入り口からはまだアントニーの姿は見えなかった。
光は倉庫の上にある光取り入れようの窓から光が入ってきている。
中に入ると木箱の影から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
そちらに近づくと直ぐに、見えなくなっていた皆の身体が頭から見えるようになってきた。
「やっぱりすぐ効果が切れちゃったにゃ、ボクの力じゃこのぐらいが精々にゃ」
キャトルーはそう言い方を落とすけど、おれはすごいと思う。
カーラも魔法が使えるけど、まだ攻撃魔法の『ウォーターショット』しか使えない。
それを考えるとすごいと思う。
「きゃとるーすごいの、すごかったの!」
エイミーがキャトルー抱きしめながら興奮したように褒める。
キャトルーは髭をピクピクさせ、嬉しそうに「ボクだってやれば出来るにゃ」と胸を張った。
「とりあえず中に入れたけどアントニーは見えないな」
俺が周りを確認しながら言う、皆もキョロキョロと見回し首を横に振った。
「とりあえず慎重に進もう、キャトルーさっきの見えなくなる魔法使えないか?」
俺が聞くとキャトルーは首を振り。
「魔力が足りないにゃ、回復するまで時間が掛かるにゃ」
俺はキャトルーの言葉を聞いて頷き。
「仕方ない、慎重に進もう」
皆に提案すると皆頷き木箱に隠れながら奥に進んだ。
中を警備する人もいるらしく、二人一組で歩いていく。
「なあ、お前聞いてるか?あのガキ何なんだ?俺は金になるからってスネアさんに言われてきたんだが」
「あ~なんでも、回復が使える女を捕まえるための餌なんだと、でその女を捕まえるとすげえ大金が貰えるらしいぜ」
2人の見張りは噂話をしながら通り過ぎていく。
それを聞いていた俺達は互いに顔を見合わせた。
「スネアって言ってたね」
マーナさんが俺の顔を見ながら呟く。
「スネアって俺が絡まれてたあのスネアですかね」
マーナさんの呟きを聞いて俺は嫌な顔を思い出していた。
マリアさんと会うまで冒険者としての稼ぎをある男に盗られていた。
当時金等級冒険者と組んで強請や女性冒険者を嵌めて売り払うなんてことをしてた。
ボックスがパーティーを解散してから、冒険者ギルドにも顔を出さなくなったから、何処か他の町にでも行ったのかと思ってたけどまだいたのか。
あの瘦せこけた顔と蛇の様な目ヒョロリとしたあの男を思い出し、俺は怒りが込み上げてきた。
散々俺から強請っておいてまだ取り上げる気か!俺の大事な家族を!俺の頭に復讐心が膨れ上がていく。
気が付いたら俺は荷物の影から走り出していた。
そしてアントニーを探して倉庫内を走る。
走り周り、倉庫の奥までたどり着いた所で、少し開けた場所にアントニーが縛られて横倒しになっていた。
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