第146話アトム視点2

受付してくれた女性衛兵さんが奥に行ってしまったので、俺は待たされることになった。

 少し待っているとさっきの女性衛兵さんとへインさんが出てきてくれた。

 

「よう待ったか?すまんな徴収するのに時間が掛かって」


へインさんはそう言いながら袋をカウンターの上に置いた。

 へインさんが置いた袋からは金属がぶつかる音が聞こえてきた。


「代金だ、確認してくれ」


へインさんが言うので俺は中を確認してみた。

 袋に入ったままじゃ確認しずらかったから、カウンターを借りて中身を出しながら数を数えた。

 中には確かに24000ローン入っていたから俺は金を袋に戻しながら。


「丁度です、お買い上げありがとうございました」


俺が買ってくれたお礼を言うとへインさんは俺の頭を乱暴に撫でながら。


「いいってことよ、頑張れよ嬢ちゃんによろしくな」と笑顔で声を掛けてくれた。


俺は大人の男性の大きな手の感触に、少し嬉しく感じながら、代金を持って帰るために衛兵所の入り口に向かう最中に忘れていたことを思い出し。


「箱は夕方に取りに来ます」と声を掛けた。


衛兵所を出た俺は露店へ戻って来た。

 露店ではカーラがカツを揚げていてマーナさんがパンに挟んでいた。

 ラナとアントニーの姿が無かったのでキョロキョロと見回しながら聞く。

 

「あれ?ラナは?」


俺の質問にお客さんにカツサンドを渡し終えたエイミーが。


「らなおねえちゃんは、しょうぎょうギルドにはいたつにいったよ?」


その答えを聞いてなるほどと納得している俺が商業ギルドの方を見ると、商業ギルドの入り口から丁度ラナが出て来る所だった。


「どうしたの?」


俺が見ていることに気付いたラナは首を傾げながら聞いて来たので。


「何でもない」と言いながら首を振った。


それから俺は呼び込みを再開したけど、まだアントニーが帰って来ていなかった。

 昼を大分過ぎてもアントニーは帰って来ないので少し心配になって来た。


「アントニーの奴まだ帰って来ないな、どうしたんだ?」


俺が声に出して言うとカーラが。


「中央の噴水の前通るから、遊んでるんじゃない?」


カーラの言葉を聞いて俺も、まあアントニーならあるかと思いそれ以上は言わなかった。

 でも大分日が傾いてきてもアントニーは帰って来なかった。

 

「アントニーの奴遅いな、遊び歩いて居るにしてもそろそろ帰って来てもいいだろう」


俺が呟くとアベルさんが。


「なら探してきてやるよ、もう店じまいに近いだろ?」


アベルさんの言う通りもうカツサンドも無くなってきていて、後3個売れたら店じまいだった。


「じゃあお願いできますか?」


俺はアベルさんにお願いすると、アベルさんはマーナさんに声を掛けた。


「んじゃあちょっと探してくるぜ、マーナ後頼むな」


アベルさんの言葉を聞いてマーサさんは「は~い」と声を上げた。

 アベルさんは直ぐに走って行ってしまい。

 俺達はカツサンドの販売を続けた。

 カツサンドは直ぐに売り切れになり、俺達は店じまいをし始めるけど、アントニーもアベルさんも帰って来ない。

 仕方なく片付けをしていると黒髪が伸び放題で目が隠れ、服のボロボロな男が俺達の方に歩いて来た。

 余りにも怪しい風体に、俺達は身構えている前に男は来ると、何も言わずに折りたたんだ紙を渡してきた。

 俺は片手で武器を握りながらその男から手紙を受け取ると、男はニヤリと不気味に笑い足早に離れて行ってしまった。


「なんだったんだ?」


俺は呟きながら渡された手紙を見つめていると、片付けをしていた皆が近づいてきて。


「何の手紙だろ?いかにも怪しそうな人だったね」


ラナはさっきの人の雰囲気に心細そうに言う。

 

「この手紙を見ればわかるだろ?」


俺はラナの言葉に返事をしながら手紙を開くとそこには。


[ガキは預かった。返してほしければ神官一人で倉庫街の3番倉庫に来い!衛兵に言えはガキは殺す]


手紙には脅迫文が掛かれていた。

 このガキってのはアントニーだろうな、糞!マリアさんを呼び出すためにアントニーを攫ったのか!

 確か倉庫街ってここからも近い、助けに行かないと!

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