第145話アトム視点1
sideアトム
へインさん達に明日の衛兵所のお昼を頼まれた翌日、俺は皆と一緒に屋台を引いていた。
今日はアベルさんとマーナさんが俺達に付いていてくれる。
狩りはマリアさんとジェフとキャサリンだ、あの二人は孤児院のメンバーじゃないけど、俺達が調査に行ってる間、ちゃんと孤児院に顔を出していてくれたみたいだから、悪い奴らじゃないと思う。
マリアさんから武器も貸して貰ってるし、アベルさん達とも狩りに行ってるから、その内強くなってくのかもしれないな、俺ももっと強くならないと目標はオークぐらいはマーナさんのサポートが無くても倒せるようにならないと。
俺は考え事をしながら屋台を引いて、商業ギルドの前まで来た。
商業ギルドの前まで来たら開店準備だ、マリアさんのコンロのお陰で簡単に油が温められて助かる。
あれが無かったら簡易の窯を付けなきゃいけなくなって、もっと屋台が重くなってたと思う。
マリアさんの出すアイテムは本当に助かる。
俺の武器もスキルが付いてる、武器屋じゃ売ってないようなすごいものだし、マリアさんには本当に驚かされる。
「いらっしゃいませー!カツサンドいかがですか?幸せの味のカツサンドですよ!」
俺は呼び込みの為に声を上げる。
今は呼び込みだから鎧は来てないけど、手放すのが怖くと武器だけは腰に差してる。
アベルさんもマーナさんも今日は鎧は来てない、でも護衛の為か剣は指してる。
俺は呼び込みをしながらラナの様子を窺う。
今日は昨日の食べた人の話を聞いたのか、商人の格好をした人が買いに来てくれる。
昨日よりお客さんの来てくれて幸先が良い。
だけどラナは露店を始めてから、ほとんどずっと鍋の前で待機している。
できれば少し休んでもらいたい。
「ラナ調理しどうしじゃないか、少しカーラに変わって貰ったらどうだ?昼には注文分揚げなきゃいけないんだろ?」
俺が心配してラナに声を掛ける、ラナは遠慮しているとカーラが。
「そうよラナおねえちゃん、昼になったら忙しくなるもの少し休んでて」
カーラも心配して声を掛けてきたので、ラナは「それじゃあ・・・」と言って空いている箱に腰を掛けた。
ラナが休んでる間はカーラがカツを揚げて、マーナさんがカツをパンに挟んでいた。
そうやって適度に交代して俺達はカツサンドを売る。
俺は呼び込みをしながら露店の様子を確認することに注力していた。
昨日と違う所は商人だけじゃなく、カップルらしい男女やどこかのメイドよ侍従服を着た人も買いに来ていたのには驚いた。
俺が呼び込みしている間、もめごとを起こしそうな客は来ず、物凄い並ぶことも無かったけど絶えずお客さんがいる状態だった。
昼になって注文分のカツサンドを誰がどこに届けるか決めることにした。
「どうする?商業ギルドはすぐそこだから誰が言っても問題無いけど冒険者ギルドはちょっと遠いな」
俺が声に出して皆に聞くと、アントニーが手を上げて。
「アトムにい、冒険者ギルド俺が持ってくよ」
アントニーが手を上げたけどコイツだけで大丈夫か?冒険者ギルドは結構荒くれものが多いからな絡まれたりしないと良いんだけど。
おれが考え事をしている間にアントニーは。
「そんじゃあ俺がいってくるぜ」と皆に声を掛けカツサンドが入った箱を持ってとっとと冒険者ギルドに向かってしまった。
その後ろ姿を見送った俺は。
「じゃあ衛兵所には俺が行ってきます、後よろしくお願いします」
アベルさん達に声を掛けると、北門近くにある衛兵所に向かってカツサンドの入った箱を持って向かう。
商業ギルドが北門に近いからすぐ着いた。
衛兵所に入ると直ぐの所にカウンターが有って女性衛兵さんが受付をしていた。
右の壁には犯罪者だと思う似顔絵と賞金が掛かれた紙が貼られていた。
俺が箱を持ってカウンターに近づくと。
「こんにちは、どうしたのきみ」と声を掛けられた。
俺はカウンターに箱を置きながら。
「幸せの味です、へインさんにカツサンドを注文されましてお届けに来ました」
俺が女性衛兵さんに言うと女性衛兵さんは。
「ちょっと待てね」と声を掛け奥へ行ってしまった。
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