第131話露店許可

2人がウルフを倒し、一旦落ち着くと、時間が許す限り、ウルフ狩りをした。

 ウルフ以外にも、ゴブリンやホーンラビットを、数匹狩ることができた。

 

夕日が沈む頃になり、私達はトラットに帰った。

 

それからは、毎日屋台が出来るまで、アベル達にジェフくんとキャサリンちゃんと組んでもらって、ウルフを狩って来て貰っている。

 その間、私は狩に付いて行ったり、ソースを作って見たり、ポーションの入れ替えもしていた。

 

そして今日は露店許可を取るために、ラナちゃんと一緒に商業ギルドに来た。

 商業ギルドは、相変わらず品の良い調度品が使われた、豪邸のような所だ。

 私達が入り口から入ると、入り口の横で待機していた、男性係員が近づいてきて。


「いらっしゃいませ、マリア様、今日はどういったご用件で?」


男性係員は、微笑みながら訪ねてきた。

 うん?今、私の名前言わなかった?

 不思議そうに首を傾げながら、男性係員顔を見ると、男性係員は笑顔を深め。


「マリア様が来た場合、マスターから会議室へ通すように、言われております」


男性係員はそう言うと、、頭を下げ他の係員に声を掛け、私達を上の階に案内してくれた。

 案内してもらっている時、ラナちゃんがオドオドしながら。


「マリアおねえちゃん、もしかしてお貴族様なの?」と聞いてきた。


私はラナちゃんの質問に首を振り。


「私は貴族じゃないわよ、ただギルドに取って、価値のある物を売り込んでいるから、名前を憶えて貰っているだけだと思うわ」


私が説明すると、ラナちゃんは頷いて納得してくれたようだった。

 私達が雑談をしている間に、男性係員に先導されて付いた、会議室と名前が書かれた扉が開かれ、その中に誘導された。


「それではこちらでお待ちください、ギルドマスターが直ぐ来られますので」


男性係員は深々と一礼すると、部屋を出て行ってしまった。


「それじゃあ、遠慮無く待たせてもらいましょ」


私はラナちゃんに声を掛けると、テーブルの前に並べられた椅子に腰を掛けた。

 ラナちゃんも私の横の椅子に腰かけると、扉が開き、給仕服を着た女性が、カートを引いて会議室に入って来た。

 給仕服の女性がお茶を入れ、私達の前にカップを置き、お茶菓子を置いてカートを置いた壁際に下がる。

 私がお茶に口を付けると、ラナちゃんも私の真似をしてお茶に口を付け。


「マリアお姉ちゃんこのお茶美味しいです」


ラナちゃんは口に左手を当て、右手に持ったティーカップを見つめながら、驚いたように呟いた。

 うん、ラナちゃんが驚くのも頷ける香りね、大分儲かっているみたいね。

 私が考え事をしていると、扉が開いて禿頭のご老人と細目の男性と眼鏡の男性が入って来た。


「お久しぶりです、ギルドマスター、コラさん、ジャクソンさん」


私は立ち上がり、お辞儀をしながら3人の名前を呼ぶと、私の横でラナちゃんが私に習ってお辞儀をしていた。

 

「そんな、畏まらなくても構やしないよ、取り合えず座りなされ」


ローマンさんの言葉を聞き、3人が席に付くのを見てから、私達が席に付くと、ローマンさんは話を切り出した。


「それで今日はどういった用件で来たのかね?お嬢ちゃんの活躍は色々と聞いているよ、孤児院の子供たちの面倒を見ているとか、冒険者ギルドで安い治療費で治療をしているとか。

 他にも希少な魔物を持ち込んだって聞いてるよ、お陰で儲けさせて貰っているがね」


ローマンさんはそう言うと、フォッフォッフォと声を上げて笑った。

 なるほどね~だから、私への対応が上がっていたのね、ただ売れるものを持って来てくれるだけじゃなくて、希少な魔物の素材も手に入れられる人材は、なかなかいないと思うから。

 私が関わったことで、儲けているからこその対応だったのね。


私はローマンさんの反応で、何となく予想を付けてから、今日来た要件を切り出した。

 

「今日来た要件なのですが、露店を出すための許可を取りに参りました」


私が要件を切り出すと、ローマンさんは「なるほどのう」と呟いてベルを鳴らした。

 ローマンさんがベルを鳴らすと、直ぐに扉が開き、男性係員が入って来た。

 その係員にローマンさんは、店舗開設許可書を持ってくるように言いつけると、男性係員は外へ出て行ってしまった。

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