第130話2人の苦戦
ゴブリンを倒した私達は、少し落ち着くために休憩していた。
「初めてゴブリン倒した!避けられてたからもっと強くならないと!」
ジェフくんは私に少し馴れたのか、それとも始めて魔物を倒して興奮してるからか、敬語じゃなくなってるわね。
この調子でもっと気軽に接してくれればいいのだけど、私は考え事をしているとジェフくんが。
「ゴブリンの報酬はどうするんです?」
ジェフくんの質問に私は微笑んで。
「二人が倒したのですから、ゴブリンの報酬は二人で貰ってください}
私がそう言うと、二人は少し躊躇いながらゴブリンの死体に近づき、耳を切り落とした。
その後ゴブリンの死体は埋めて、森へと入っていった。
森に入ると、直ぐにウルフが襲い掛かって来た。
「ジェフくん、キャサリンちゃん!1匹だけ相手をしてください!」
私はウルフに囲まれながら2人に叫び、私は二人に近いウルフだけを任せ、他のウルフを相手取った。
私達を囲んだウルフの群れは6匹で、1匹はジェフくんとキャサリンちゃんが相手してくれているけど、少しでも二人の方に行こうとしたウルフは、容赦なく倒すつもりでいよう。
私が全体の様子を観察していると、さっそく二人側にいたウルフが、キャサリンちゃんに向かって襲い掛かろうと飛び掛かった。
でもそれを私が見逃すはずもなく。
「貴方の相手は私ですよ」
私は呟きながら、飛び掛かるウルフの腹をメイスで殴り上げた。
ゴキャという鈍い音と共に、ウルフは1メートルほど飛ばされ、口から血を吐き出すと、動かなくなった。
私がキャサリンちゃんに飛び掛かった、ウルフを倒している間に、私の後ろにいたウルフが私に飛び掛かって来た。
「ガアアアァ!」
私は後ろから吠えながら、飛び掛かって来たウルフの口に、後ろに振り向きながら左手の盾の角をウルフの口にねじ込みながら殴りつけた。
ウルフの飛び掛かる勢いと、私の盾の勢いが合わさり、ウルフの上顎から上が切り飛ばされ盾の上に乗っていた。
顎が切り離されたウルフの身体は、前に進みながら地面に落ちた。
「うわぁ・・・」
私は盾に乗ったウルフの頭と目が合って、吐き気が込み上げてきたので、急いでその頭を盾から振り落とした。
私がウルフの頭を振り落としたタイミングで、今度は残った3匹が同時に牙を剥き飛び掛かって来た。
私は飛び掛かてくるウルフの、一番外側にいる1匹の横に跳び、盾を構えて技名を叫んだ。
『シールドバッシュ!』
私は技の発動で光を放つ盾を目の前に構え、突進をする。
私の突進を横から受けたウルフは、バン!と言う音と共に他のウルフたちを巻き込み、吹き飛ばされていった。
吹き飛ばされた3匹のウルフたちは、固まりになって木にぶつかりそのまま動かなくなった。
私は吹き飛ばした3匹のウルフの下に行くと、ウルフが死んでいるかどうか確認して、ストレージの中に放り込んだ。
自分の方のウルフが片付いた所で、私はジェフくん達の様子を確認した。
ジェフくん達はウルフと一心一帯の攻防を繰り返していた。
2人は怪我をした様子はなかったけど、大分息が上がっていた。
「でりゃあ」
気合を入れたジェフくんの斬撃を、ウルフは軽々とかわし。
「せい!」
キャサリンちゃんの渾身の突きを、ウルフは気付いて居たように躱してしまった。
2人は外で狩りをするのは、初めて見たいだったから、まだウルフ狩りは早かったかしら?
でも何時かは通らないと、いけない事なのよね。
今は私が付いているもの、怪我をしたとしてもすぐ治せるから、失敗しても大丈夫。
私が2人を見守る間に、ジェフくんの動きは少しづつ良くなっていき、キャサリンちゃんの突きも鋭くなっていった。
2人疲れてはいるみたいだったけど、それはウルフも一緒で息が上がっていた。
「ちっくしょう!俺、ウルフ一匹も満足に倒せないなんて、情けなくなってくる!」
今だウルフを倒せないジェフくんが、自分の不甲斐無さから叫んだ。
それを聞いていた私はジェフくんに近づき。
「でも最初よりは動きが、かなり良くなってきているわよ」
私が褒めると、ジェフくんは首を大きく振り。
「こんなもんじゃ、これから冒険者なんてやってけません!」
ジェフくんはそう言うと、ウルフに向かっていった。
私はそんなジェフくんを見送りながら、2人の戦いを見守った。
その内、2人の動きがよくなったからか、ウルフのスタミナが無くなったからか、徐々にウルフを追い詰め、ついにキャサリンちゃんの突きがウルフの喉を捕らえた。
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