第129話臨時パーティー

森の入り口に付いた私達は早速魔物の洗礼を受けていた。

 森に入って直ぐに、ゴブリンが私達を見つけ、棍棒を振り回しながら、走り寄って来た。


「では始めに、魔物と対処できるか、見せてもらいますね」


私は二人に声を掛けると、少し後ろに下がった。

 2人は私の顔を見てから、2人で顔を見合わせて、走って来るゴブリンに向き合いながら、ジェフくんが走り寄って切りかかった。

 でもその剣戟は頼りなく腰も引けていた。

 

そうよね、今まで生き物を殺したことも無いと思うから・・・。

 今から2人には、魔物を倒せるようになって貰わないと、そのぐらいできなきゃ冒険者なんて出来ないと思うから。

 私だって出来る限り生き物なんて殺したくない、でも生きるためにはそれが出来なきゃ、冒険者なんてやっていけない。

 私はこの世界に来て、アベルが死にそうになってるのを見て、すでにそう言う物って割り切ってる。

 じゃなきゃ本当に助けたい人なんて、助けられないもの。


「や、やーー!」


ジェフくんは少し躊躇しながら剣を振るう、でも躊躇が剣筋をブレさせ、結果力の入らない攻撃になってしまっている。

 そのせいで攻撃事態に速さが無く、容易にゴブリンに交わされてしまっている。

 2人は青い顔をしながら、必死でゴブリンの攻撃を躱し、腰の引けた攻撃を繰り出している。

 

普通の子はこうなるわよね、アトムくんは・・・あの子は特殊かしら?

 自分がカツアゲに会っていたから、強くないと生きていけない事を知ってるし、自分がやらなければ、孤児院の皆を食べさせていけないって思ってるから。

 アトムくんは守る者がいることが、力になってるんだと思う。

 要は心持ちが違うのよね。


私が2人の戦闘を見ながら、考え事をしていると(探査)に横から何かが近寄って来る気配がした。

 その気配は、キャサリンちゃんに向かって、右横から飛びかかろうと近づいて来ていた。

 ガサガサと派手に、藪を掻き分けて来る音が聞こえてきていて、スキルが無くても気付くぐらい音を立てていた。

 私は直ぐに防御できるように、少しキャサリンちゃんに近づきながら、キャサリンちゃんの様子を確認してみた。

 

キャサリンちゃんは、ジェフくんが戦っているゴブリンに、気を取られていて、横から何かが近づいてきていることに、気付いていなかった。


「キャサリンちゃん右に気を付けて!」


そろそろ飛び出すという時に、私はキャサリンちゃんに叫んだ。

 私の叫びを聞いたキャサリンちゃんは驚き右に向いた時、丁度藪から飛び出して、今にも襲い掛かろうとしていた魔物は、丁度右を向いたキャサリンちゃんが、構えていた槍に貫かれた。


「ギィ、ギャァ!」


隙を突いて飛び掛かったはずのゴブリンは、カウンター気味に、キャサリンちゃんの槍で心臓を貫かれ、叫びを上げて動かなくなった。

 

「な、え?うっ!」


キャサリンちゃんは、ゴブリンを刺した槍から手を離し、手で口を押えると崩れるように座り込んでしまった。

 その様子を見た私は、キャサリンちゃんのそばに近づき、しゃがみ込み、キャサリンちゃんの背中を摩りながら。


「大丈夫ですか?気分が良い物じゃないけど慣れないと、この先やっていけないわよ?」


私はキャサリンちゃんに真剣に話掛けると、キャサリンちゃんは何度も頷き、顔色がマシになった所で槍を手に取り、ゴブリンから引き抜いた。

 その時にはすでに気持ちの整理が付いたのか、キャサリンちゃんの顔色は元に戻っていた。

 キャサリンちゃんがゴブリンを倒し、気が動転している間、ジェフくんはまだゴブリンと攻防を繰り返していた。

 

とは言っても、ジェフくんも先ほどまでの腰の引けや、肩に入った力も少しづつ抜けてきていて、大分剣を振るのも様になってきていた。


「この、当たれ!」


何度かの振り回しに、ゴブリンは避けようとしたとき、石に躓いてしまいよろけてしまった。

 その隙にジェフくんは大振りの切り下ろしを、ゴブリンの頭に当てることができた。

 

この一撃で、ゴブリンは頭部が割れ大量の血を噴き出しながら「ゲギャッ」と声を上げ倒れるのだった。

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