第126話リナちゃん

パン屋の奥さんと話し合いをして、どんなパンが良いか議論した。

 そのおかげでパンの方は何とかなりそうだった。

 パン屋での話し合いの終わった私達は、次の店に行くために扉に向くと、扉から入って来る子供と目が合った。


「あ!アイナちゃん!どうしたの?あたしんちにくるなんて、パンかいにきたの?」


何処かであったことのある女の子が、アイナちゃんに走り寄りその手を取って話し始めた。

 

「あのね、きょうはおきゃくさんをつれてきたんだよ」


アイナちゃんがそう言うと、女の子は私達の方に視線を向け、私を見た瞬間、目を見開き。


「あー!おいしいののおねえちゃん!」


女の子は私を指さして叫び声をあげた。

 うんん?どっかであったことがあると思ったら、噴水の前でお昼食べた時にサンドイッチご馳走した女の子だ!

 私が女の子の事を思い出していると、アイナちゃんが紹介してくれた。


「このこはリナちゃん、このパンやさんのむすめだよ」


アイナちゃんの紹介を聞きながら、リナちゃんはペコリとお辞儀をして。


「リナです、よろしくおねがいします」


リナちゃんは丁寧にあいさつすると、顔を上げ私を見つめてきた。


「おねえちゃん、おいしいのちょうだい!」


リナちゃんはニコニコしながらそう言うと、両手を差し出した。

 リナちゃんのその様子を見た奥さんが、赤い顔をして。


「こらリナ何だい!会ったそばから物強請るなんて!恥ずかしい事するんじゃないよ!!」


奥さんはリナちゃんを怒鳴りつけて「すまないね」と誤って来た。

 

そんな奥さんに手を振りながら「大丈夫ですよ」と声を掛けて、リナちゃんの手の上にチロノレチョコを置いてあげた。

 もちろんリナちゃんだけじゃ不公平なので、アイナちゃんやエイミーちゃんはもちろん、ここにいる人全員に渡してあげた。

 私からチョコを受け取ったリナちゃんは、迷わず口に抛り込み、アイナちゃんとエイミーちゃんも口に入れた。


「あ~おいしい!おねえちゃんのこれずっとわすれられなかったんだ~」


口をもごもごさせて両手を頬っぺたに当てながら、リナちゃんは嬉しそうにそう言い、ラナちゃん達も口に入れてその甘さとほろ苦さに笑顔を零していた。

 その様子を見ていた奥さんが、意を決してチョコを口に入れて、一瞬止まってしまってから、目を見開き声を上げた。


「なんだいこりゃ!こんな甘味お貴族様でも食べた事無いんじゃ無いかい?」


奥さんの叫びにリサちゃんは「うえ?」っと驚いた様に声を出し、他の子たちも驚いた様に目を見開いた。

 う~ん確かに今の状況じゃ手に入れる方法がないけど、まだいっぱいあるからな~。

 私がそんなことを考えていると、奥さんはリナちゃんを怒鳴りつけた。


「こんな高そうな物強請って!この子わ!」


叱りつけられたリナちゃんは、泣きそうになってしまったので、私は仲裁に入った。


「お気に為さらずに、まだいっぱいありますので、それに私の軽率な行動で奥さんにはご迷惑おかけしました」


私は深々と頭を下げ、誤ると奥さんはあたふたしながら。


「あんたが誤る必要無いんだよ、強請ったのはうちの娘なんだから」


奥さんはそう言ってくれたけど、渡したのは私だからな~。

 私が反省していると、アイナちゃんが。


「まだいくところがあるんですよね、だったらいきましょ」


アイナちゃんが話を切り替えてくれたおかげで、私は次に行くことになった。


「ではパンの方よろしくお願いします」


私がお願いすると、奥さんは胸を叩き。


「分かったよ、いいパン作って置くからね」と答えてくれた。


そして、私達が次の場所に向かい始めると、リナちゃんが。


「わたしもあんないしてあげる!」


元気よく言うとエイミーちゃんの隣に行き手を繋いで歩き始めた。

 そんな娘を見ながら奥さんは、眉を下げながら一度ため息を突き。


「迷惑かけるんじゃないよ!」と声を掛けて送り出してくれた。


私達はアイナちゃん、エイミーちゃん、リナちゃんの3人が仲良く手を繋ぎながら、歩いて行くのを見ながら八百屋へ向かっていた。

 そのまま3人に付いて行くと、一度来たことのある市場へ到着した。

 

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