第103話保存食料理

露店で料理は何を出すか相談したけど、ラナちゃんはまだ決めかねてるようだった。

 ラナちゃんが悩んでしまったので。


「私達が明日の依頼から帰ってくるまでに考えて置いて」


私がそう言うと、ラナちゃんは「はい」と答えて食事に戻った。

 それから雑談をしながら食事を続け、食事が終わるとアントニーくんとチェスターくんは訓練に戻り、ラナちゃんは洗い物をしてくれた。

 カーラちゃんは魔法の訓練のため庭に行き、エイミーちゃんはキャトルーと遊んでいた。

 アベルとマーナ、アトムくんは私と明日からの依頼のために、話し合いをすることになった。


「それで、買い物は済んだのですか?」


私が聞くとアベルが答えてくれた。


「ああ、俺達が持ってく物は買って置いた、食料も取り合えず5日分買って来た」


アベルはそう言うと、袋に入った食料を掲げて見せる。

 アベルからその袋を受け取り、中を確認すると、中にはあの硬いパンと干し肉が入っていた。

 うわぁ、あの噛み切れないパンだ!それに干し肉ね、干し肉は食べたこと無かったけど、ジャーキーみたいなものかしら?

 私が袋の中身を見て眉を顰めていると、アベルが不思議そうに聞いてきた。


「どうかしたのか?旅の食糧は大体こんなものだと思うけど・・・」


アベルが不安そうに聞いてきたので、私は苦笑いして理由を話した。


「私がいるので保存食じゃなくてもいいんですけど・・・」


私が遠慮がちに言うとアベルは頭を抱えて「そうだった!」と声を上げた。


そんなアベルの脇をマーナが肘で突きながら。


「どうすんのよこの食糧!今更返品なんて出来ないわよ!」


マーナは少し怒りながら言うと、アベルは後ろ頭を掻きながら。


「そうだよな・・・仕方ない夕食にでもするか」


アベルがそんなことを言い出したので、マーナがさらに「いやよ!」と声を上げた。

 

そんな2人ながめながら、この保存食どうしようか考えていた。

 パンの方は、下ろし金で下ろせばパン粉になるかしら、干し肉はどうしたら美味しく食べれるかしら?

 保存食の食べ方を考えながら喧嘩をする二人に声を掛けた。


「処分に困るようでしたら、私が買い取りますよ、美味しく料理出来るか試してみます」


私が提案すると、アベル達は顔を見合わせ、声をそろえて。


「「お願いします!」」


2人が勢いよく迫ってくるので、私は笑いながら頷いていた。

 私が頷くと、アベル達は喜んでくれた。

 アベル達を見ていると、アトムくんも袋を差し出して。


「すいません、お願いできますか?」


アトムくんは遠慮がちに言ってきたので、私は頭を撫でながら微笑み、頷いてあげた。

 私の顔を見たアトムくんは、安堵したように胸を撫で下ろしていたので、アトムくんの袋を受け取って中身を確認してから、アベル達の袋と一緒に置いて、3人に話しかけた。


「保存食は使わないのですから、私の分の一緒にパンを5日分買って来てくれますか?」


私がお願いするとアベル達は立ち上がり、外へ出て行ってしまった。

 残された私はボールと下ろし金を用意して、石パンをゴリゴリと下ろし始めた。

 それを見たラナちゃんが、手伝いを引き受けてくれて、パンを下ろすのも大分早かった。

 パンを下ろし終わったら、今度は干し肉に取り掛かってみた。


干し肉を1枚取り出して齧って見たけど、硬くて噛み千切れなかった。

 それに凄いしょっぱい!これじゃそのままは食べれそうにない。

 仕方ないので、水につけて塩抜きしてみる。

 

少し水に浸して置いた、塩抜きした干し肉を、少し切って口に入れてみた。

 塩加減は丁度良くなったけど、まるで硬いガムを噛んでいるような食感で、肉の臭みと生臭さが口いっぱいに広がって、軽く吐き気が込み上げてきた。

 うう~まずいよ~こんなの好きな人いるのかしら。

 

私は吐き気と戦いながら水で口に入っていた肉片を流し込んで、ストレージから飴玉を取り出して口直しし始めた。

 私の様子を見ていたラナちゃんは、心配そうに声を掛けてきた。


「大丈夫ですか?無理に食べないでもいいと思いますよ?」


ラナちゃんの優しい言葉に私は頭を撫で「大丈夫よ」と答えると、この干し肉をどうするか考えた。

 

塩は効いてるから、定番は細かくしてスープ入れるのが一番かしら、後は細かく切ってサラダに掛けるとか。

 後ポテトサラダに混ぜるのも良さそうね、確か前にポテトに似た野菜買ってあったと思うから、ポテトサラダ作って見ましょ。


私は考えつく限りの、干し肉でできそうな料理を作り始めた。

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