第77話謝罪

私がラナちゃんにどう説明した物か考えていると、孤児院のあった敷地を囲んでいた野次馬を掻き分けて、革鎧を着た衛兵さん達が近づいてきた。

 不味いな~狂乱状態になって派手な魔法連発しちゃったもんな~これは確実に怒られるよな~。

 私はばつが悪そうに目を泳がせながら、衛兵さん達が近づいてくるのを待った。


「ここで光の柱が上がったと聞いたが状況を説明してくれないか」


衛兵さん達は粉々になった孤児院を観察しながら、私達に聞いてきたので、私は勢いよく頭を下げ。


「すいません、私がやりましたー!」


私が頭を下げながら叫ぶと、衛兵さん達は一瞬躊躇してから、私に質問してきた。


「あ~君が先ほどの光柱を発生させたんだね、で確かここには孤児院があったはずだがそれを破壊したと、どうしてそんなことをしたんだい?」


衛兵さんが私に質問してきたので、私は罪悪感から下を向き説明し始めた。


「あのですね、建物の劣化具合を調べていた時に階段を踏み抜いてしまった時に、アレに襲われて、急いで外に出て建物ごと駆逐してしまいました」


私が事情を説明すると衛兵さんは不思議そうな顔をして。


「あ~そのアレってのは何かね?建物ごと駆逐しないといけないほどの物だったと?」


衛兵さんの疑問そうな口調で質問してきた時、私はあの黒い悪魔が這い上がって来る感覚を思い出してしまい両腕を抱きながら、震えてしまい言葉がうまく出せずにいた。

 そんな私の後ろで聞いていたラナちゃんが、衛兵さんの前に出て。


「マリアさんは孤児院に住み着いていた悪魔を滅ぼしてくださったんです!」


両手を広げながらラナちゃんが声高にそう主張した。

 ラナちゃんの言葉を聞いて、衛兵さんや周りに集まっていた野次馬たちが騒然となる。

 

「あ、悪魔だって?それが本当ならえらいことだ!」


「悪魔と戦て家一つの被害で済んだんなら、良いほうだ!」


「悪魔に取りつかれてたのか、そりゃ災難だったな」


周りからは同情的な声が聞こえてきて、私は頭を上げた。

 あれ?また勘違いされてる?でもアレの名前なんて呼びたくないし聞きたくないから、自分から言いたくないのよね。

 でもこのままじゃ、器物破損したことは変わりないからどうにかしないといけないわよね。


「孤児院は必ず立て直します、皆さんお騒がせしました!」


私がそう叫ぶと衛兵さんはラナちゃんの方を向いて「こう言っているが、お前たちはそれでいいか?」と聞いた。


ラナちゃんは大きく頷き、外に出てきていた他の子たちも頷いてくれた。

 ちょっとアントニーくんは仕方ないなって感じだったけど、何とか納得してくれたみたいだった。

 

ラナちゃんたちの反応を見て衛兵さん達は「それではこれで失礼するよ」といって帰っていった。

 

衛兵さんが帰ると、野次馬達はちりじりになって帰っていった。

 私は皆のいる方に向き直り頭を下げた。


「ごめんなさい!取り乱して、大事な孤児院壊しちゃって!」


私は全力で頭を下げて誤った。

 するとラナちゃんは優しく微笑みながら。


「もう建物自体も老朽化してましたから、いつか倒壊して私たちの誰かが下敷きになるよりよっぽどいいです。

 倒壊して怪我をしても治癒をするお金もありませんし・・・」


ラナちゃんがそう言ってくれ、言葉を継ぐようにアトムくんも話してくれた。


「俺らも大して大事な物なんてなかったから大丈夫ですよ」


アトムくんがそう言うと、何かに気付いたようにアントニーくんがエイミーちゃんを見て。


「エイミーの人形が無い・・・」


アントニーくんの呟きを聞き皆孤児院の方を見やるが、孤児院は塵になっていて何かが残っているようには思えなかった。

 私はエイミーちゃんに近づき、エイミーちゃんに目線を合わせて誤る。


「ごめんなさい、お人形壊しちゃったと思うの・・・」


私がそう言いながら頭を下げると、エイミーちゃんは首を横に振り。


「いい、あのにんぎょう、あれしろ、これしろっていってきてうるさかった、それにいまはこのこがいるの」


エイミーちゃんは私に言いながら、キャトルーを胸に抱締めた。

 

抱きしめられたキャトルーは絶望で顔を青くして「そんにゃ・・・」と呟いていた。

 

そんなキャトルーがかわいそうになったので私はとっておきのテディベアを出し。


「人形壊しちゃったお詫びに、これをあげるわ」


私がテディベアを見せると、エイミーちゃん目をキラキラさせてキャトルーの拘束を緩めてくれた。

 私からテディベアを受け取ったエイミーちゃんは、テディベアを抱きしめてたり撫でたりしながらぬいぐるみで遊んでいたので、私はテディベアの説明すると今度はテディベアに声を吹き込んで遊び始めた。

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