第74話お風呂
私はポトフを作っている鍋の火加減を見ながらオークの肉に下味をつけていると、ユニットバスの扉が開く音がした。
音に気付いてそちら振り向くと、濡れてスマートになったキャトルーを両腕で抱いたエイミーちゃんが裸のまま立っていた。
「お主人、助けてください、この子供離してくれないにゃ・・・」
キャトルーは脱力しながら私に助けを求めてきたので、とりあえず拭いてあげなければと思って、ストレージからバスタオルを出しエイミーちゃんを包んだ。
「キャトルーも拭いてあげないとね、エイミーちゃん出来る?」
私がエイミーちゃんの身体を拭きながらそう言うと、エイミーちゃんが頷いたので私は新しくタオルを出してあげて。
「これでキャトルーの事、拭いてあげてね」
エイミーちゃんは渡されたタオルで、一生懸命キャトルーを拭き始めた。
その様子を微笑みながら、エイミーちゃんの身体を拭き終わると、次にブラシで髪を梳かし始めた。
髪を梳かされたエイミーちゃんは気持ちよさそうに目を細めていた、けどキャトルーを拭くては止まらなかった。
タオルで拭くというよりもみくちゃにされるキャトルーを見ながら、私はブラシをもう一本取り出しエイミーちゃんに渡しながら。
「エイミーちゃん、キャトルーにもブラシしてあげて」
私に言われたエイミーちゃんは「うん!」と嬉しそうに答えて、タオルまみれにされたキャトルーをタオルから出し、ブラッシングを始めた。
私はブラシをしながら、絡まってしまった髪を丁寧に梳かし、引っ張ってしまわないように解きながら、少しづつブラッシングしてあげているとカーラちゃんとラナちゃんもお風呂から出てきた。
「私が、やります!」
私がエイミーちゃんの髪を梳かしているのを見て、ラナちゃんが慌てたようにそう言ってきたので、私は名残惜しかったけどブラシをラナちゃんに渡し、もう一本ブラシを出しカーラちゃんに渡した。
二人は着替えてきたみたいね、あ、エイミーちゃんの服着せてくれるように言っとかないと。
「ラナちゃん梳かし終わったら、エイミーちゃんに服着せてあげて」
私が一生懸命キャトルーを梳かしているエイミーちゃんを見ながら言うと、ラナちゃんは。
「分かりました」と答えてくれたので、あとは焼くだけにしたオークステーキとポトフの火を一旦落とし、男の子達を呼びに行った。
孤児院の裏口から中に入ると、奥から声が聞こえてきた。
「なあ、アトムにいちゃん、あのひと、しんようできるのか・・・」
幼いアントニーくんの警戒したような声が聞こえてきた。
「俺も最初は信用なんてできなかったけど、あの人は他の人が助けてくれない状況で、俺が絡まれてることを知りながら助けてくれたんだ。
それにこうして孤児院にまで来てくれている。
そんな人他に居なかったんだ、だから信じてもいいと俺は思ってる」
アトムくんの話を聞いていた、チェスターくんが話し始めた。
「アトム兄さんの話を聞くと悪い人では無いんだろうと僕も思う、けど頼りっきりにならないようにだけはしないと、僕らだって独立して生きなきゃいけないんだから・・・」
私は3人の話が途切れたのを見計らって、あえて大きな声で裏口から男の子たちを呼んだ。
「アトムくん、ラナちゃんたちお風呂あがったからお風呂入って」
私が声を掛けると、孤児院の中からランタンを掲げて3人が出てきた。
アントニーくんはちょっと拗ねたような顔をしていたけど、3人を連れてコテージへ向かった。
コテージに入った3人がお風呂へ向かう前に、3人の寸法を測るために止めた。
「お風呂に入る前に、3人の寸法を測らせてね」
私はそう言うと3人は顔を見合わせ、アントニーくんが不思議そうに。
「そんなことしてどうすんだ?」
アントニーくんの質問に私は頷きながら。
「みんなの服を作る為よ」
私がそう言うとアントニーくんは首を傾げ質問してきた。
「服を作るのか?今着てるのも着れるぞ?」
アントニーくんが自分の服を引っ張りながら言うので、私は巻き尺を広げなから。
「サイズがあった服の方が動きやすいわよ」
私の話を聞いてそんな物なのかという顔をしながらアントニーくんは頷いて。
「まあどうでもいいや、その寸法?測って風呂に入れば飯食わせてくれるんだろ?ならちゃっちゃと測ってよ」
アントニーくんが言いながら上着を脱いだので、私は素早くサイズを測って寒くないように測り終わったら3人に風呂に入るように言った。
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