第73話コテージ

コテージの中は突き当りの左右に二段ベットが並び、その間にガラスの嵌った小窓が見えた。

 ベットの手前にはソファーとテーブル、左の壁にガラス張りの窓があり右に小さなキッチンがあった。

 入り口の横に扉があり、中はユニットバスになっていてお風呂とトイレが付いていた。


私はいつもの調子で電気を付けたけど、何処から電気引いてるのかしら?私が入り口の近くにある電気のスイッチの前で首を捻っていると、中を見て回っていたアントニーくんがソファーで跳ねながら。


「すげー!ふかふかだ跳ねるぞこれ!」


アントニーくんがソファーで跳ねているとラナちゃんが。


「こら!アントニーそんな所で跳ねちゃダメでしょ!大人しくしなさい!」


ラナちゃんに怒られたアントニーくんは渋々ソファーから降りて今度は二段ベットへ走っていった。

 ラナちゃんがアントニーくんを怒っている間に、キッチンの近くを調べていたカーラが小さな悲鳴を出した。

 私がそちらを見るとシンクの蛇口から水が出ていて、その前でカーラちゃんがおろおろしながら、蛇口の周りを手探りで調べていた。

 私はその様子を見て混乱してしまった。

 え?水も出るの?水道なんて引いてないのにどうして水が出るの?

 

私が疑問に思っていると、カーラちゃん泣きそうな目で、必死に蛇口を押さえながら私を見つめてきた。

 私は笑い出しそうになるのをこらえながら、カーラちゃんに近づき水を止めにいった。


私はカーラちゃんの顔を覗き込み「大丈夫?」と質問しながら水を止めてあげると、カーラちゃんは「ありがとうございます」と答え頭を下げた。


その間にも今度は二段ベットの上の段に上りはしゃぎだしたアントニーくんをラナちゃんが叱りつけていた。

 エイミーちゃんはソファーによじ登り、ふかふかのソファーが気に入ったのかそこでうたた寝をし始めてしまい、なぜか腕にはキャトルーが抱きしめられていた。

 チェスターくんはユニットバスを喉き込み、アトムくんは窓ガラスが気になったのか触って確かめていた。


私は蛇口を止めた後、ユニットバスにお湯が出るか確かめに行き、しっかりお湯が出ることを確認した後お湯をため初め、トイレも流れることを確認してからリビングに戻って手を叩いた。

 手を叩く音に気付いた全員がこちらを見たことを確認してから、私は話し始めた。


「じゃあ、今からお風呂に入ってもらうは、着替えがあれば取りに行って、その間に私がご飯作っとくから」


私がそう言うとラナちゃんが遠慮したようにためらいながら。


「そんな、お客様にそんなことさせられません」


ラナちゃんの言葉を聞いて私は首を振り。


「私はアトムくんにできる限り助けるって誓ったの!だからこれは私がしなきゃいけないこと、あなた達を助けるって私が決めたの!だから迷惑かもしれないけど助けさせてくれないかな?」


私がそう優しく話しかけると、ラナちゃんは笑顔になりながら涙を流していた。

 そんなラナちゃんの肩を抱き、背中をさすりながら「よく頑張ったね」と声を掛けると、ラナちゃんは関を切ってように泣き出してしまった。

 この子たちは生きるために必死で頑張って来たんだ、悪事に手を染めずひたすらに頑張って来たのね。

 私に何ができるかわからないけど、できることはしてあげたいな。


私がラナちゃんを抱きしめて居る間、他の子たちも涙を流していた。

 ラナちゃんの涙が引くまでそうしていたが、少しすると私の胸の中にいたラナちゃんが恥ずかしそうに話しかけてきた。


「すいません、もう大丈夫です」


ラナちゃんの言葉を聞いて私は腕を離すとラナちゃんは顔を上げ笑って見せてくれた。

 私は泣き止んだ皆にお風呂に入るように言って、オーク肉に塩コショウをして下味をつけてから、玉ねぎに似たルットとキャベツに似たアサワラを切って置く、後、長細いミニトマトのようなクシナも切って、ニンニク似のクラントの薄切りにして炒めた。

 クラントの香りが出てきたらオーク肉を焼いて、焼き目が付いたら他の野菜も入れて炒めた。

 大体火が通った所で、料理酒を入れてオーク肉が半分つかるぐらい入れたら、水を入れてローリエを入れて煮込みましょう、私が料理を作っている間にまずは女性陣から入るようで、一度孤児院に戻ってから着替えをもってコテージに来た。


「アトムくんすいませんけど、孤児院に男の子全員で待っててもらますか?」


私が言うとアトムくんは納得したように頷いて、コテージを出て行った。

 そのすぐ後にラナちゃん達が着替えを持ってコテージに入ってきたので、私はスープをコンロで煮ながらラナちゃんたちに向き直り。


「お風呂に入る前に採寸してもいい?」


私が聞くとラナちゃん達はキョトンとしてから私に質問してきた。


「採寸してどうするんですか?」


「服を作るのよ、私こう見えても服作るの上手なのよ」


私が胸を張りそう言うと、ラナちゃんは頷き。


「分かりました、じゃあよろしくお願いします」


ラナちゃんの答えを聞き、私は1人づつ正確なサイズを測ってから、測り終えた順にユニットバスに入っていった。

 しばらくすると、エイミーちゃんのはしゃぐ声やカーラちゃんの嬉しそうな声が聞こえてきた。

 私はその声を聞きながら、料理を作っていった。

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