第67話パーティー勧誘
これは一度、神殿に行って神の鉄槌を食らわせてあげないといけないかしら?その前に孤児院の状態を確認しておかないと、言い逃れできないようにしておかないといけないわね。
私は頷きアトムくんに微笑み。
「分かりました、では私とパーティーを組みましょう!」
私の宣言に、その場にいた人が一斉に疑問符を頭の上に浮かべて、呆けた顔になった。
そんな周りを取り残し、私はアトムくんに右手を差し出し、目の前の少年に宣言する。
「搾取されるなら搾取されない強さを身に付けなさい、お金が稼げないなら稼げる知恵を付けなさい、彼方がそれを手に入れるまで、私が鍛えて見せます」
私が宣言してアトムくんの手を取る。
アトムくんは相変わらず呆けた様な顔をしていたが、覚悟を決めたのか顔を引き締めた。
「よろしくお願いします」
アトムくんは私の手を両手で握りしめ、頭を私の手を包み込んだ両手に付けて答えた。
我ながらちょっとキザだったかしら?でもあそこまで聞いてほっとくなんて出来ないわよ!孤児院の惨状も気になるけど、アトムくんが自立できるようになれば、孤児院も助かるわよね。
「じゃあとりあえず、私達の狩ってきたオークの報酬貰ってくるから、一緒に付いて来て」
私がアベルの方を向くとアベルは頷いて先を歩き始めた。
私はレインさんのいるカウンターに行く前に、猫をアベルから預かった。
アベルはまずレインさんの前に行き依頼書を出した。
依頼書と一緒にあらかじめ切り取っていたオークの耳を一緒に提出する。
レインさんはアベルが提出したオークの耳を数え。
「オークの討伐が1体5000ローンですので、6体討伐で30000ローンですね、お間違え有りませんか?」
レインさんが確認すると、アベルは頷いた。
それを見たレインさんも頷き、小銀貨を3枚カウンターに置いた。
「依頼お疲れさまでした。報酬になります、お納めください」
レインさんはそう言いながら深くお辞儀をした。
私達が離れようとするとレインさんはすまなそうに。
「先ほどの恐喝を止めていただいて、ありがとうございました。
目に余る行為でしたので止めたかったのですが、ボックスさんはトラットのギルドでもトップの実力があって、除名処分にしてしまうと高難易度の依頼が処理できなくなってしまうのであまり強く言えないんです」
それを聞いて私は、ギルドとしてもどうしようか悩んでるのかな?と考えて、どうしたらいいか悩んでしまった。
力で抑え込むのは簡単だけど、それで本人が改心してくれるのかが、解らないのよね。
私達はレインさんのお辞儀に見送られながら、今度は素材買い取りカウンターに向かった。
一番食堂に近いカウンターには、筋骨隆々のたくましい40代位のおじさんが待っていた。
私達がカウンターに近づくと野太い声で声をかけてきた。
「いらっしゃい、何も持ってないみたいだけど、なんか用か?」
おじさんがそういうので彼の目の前に、5体のオークの死体を置いた。
虚空から取り出されるオークの死体を見つめて、唖然としていたおじさんが正気に戻り大声で笑った後納得したような顔になり。
「そっちの嬢ちゃんは時空魔法が使えるのか、こいつは羨ましい!」
大声で叫ぶおじさんに私は身を縮こまらせて、困った顔で笑っていると、おじさんは私の顔を見てから頭を掻き。
「いやーすまん!珍しかったからついな!」
おじさんはまた大声で謝って来た。
そのおじさんの様子に私は、ああ、この人声のボリューム絞れない人なのね、と半分諦めた。
体育会系の人にたまにいるよねこういう人、近くに言うのに全力で声張り上げる、まあ慣れてしまえばこういう人なんだなと思えるようになるからいいけどね。
私がおじさんの印象を考えていると、おじさんはオークの死体を鑑定し始めた。
「オーク5体かそれにしてもいい腕だ!ほぼ一撃で倒してる、切り傷は坊主だよな?一撃で首を半分断ち切ってるな、戦闘中にこれだけできるなんてなかなかの腕だな!」
おじさんはオークの死体の傷を見ながら感想を漏らすが、褒められたアベルは微妙な顔で頬を掻きながら微笑んでいた。
それを聞いていたマーナは、両手で口を押えるようにしながら、笑いをこらえていた。
私は微笑みながらアベル達の様子を眺めていると、おじさんが査定を済ませたらしく紙に査定額を書きアベルに寄こした。
「そうだな、1体20000ローンで10万ローンで買い取らせてもらうぞ」
アベル達は今までオークを狩っていなかったため、その買い取り額に驚き、後ろについて来ていたアトムもその金額に驚いた。
おじさんの査定額に驚きながらアベルは頷き、それを確認したおじさんはカウンターの裏から小銀貨10枚が入った袋を取り出した。
報酬を手にした私達は、一度ギルドに併設している食堂に移動した。
食堂のテーブルに付いた私達はまず飲み物を注文した。
ウェイトレスさんに注文を取ってもらうために、アベルが手を上げたのを見ていたアトムくんが遠慮がちに声を掛けてきた。
「俺、お金無いですよ・・・」
アトムくんのその声に私は笑顔で。
「今日はアトムくんのパーティー加入の歓迎だから、お金は気にしなくていいわ」
私の言葉を聞いてもアトムくんはためらて言うようだったが。
アベルが「さっき買取金額聞いてただろ?遠慮すんな!」と声を掛けアトムくんの背中を手の平で叩いた。
背中を叩かれたアトムくんは、嬉しそうに微笑んでいた。
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