第64話猫?
私がオークの皮脂で油を取ろうと思っていると、考え事していたせいかオークの皮を剥ぎ終わっていた。
私は自分の剥いだ穴だらけの皮を掲げて、感動して見ていると、マーナが笑いながら。
「マリア、肉と骨の取り分けもするよ」と声をかけてきたので。
私はオークの肉に向き直り解体を続けた。
頭と内臓が無いと大分食材として見れるわね、沖縄だと豚の顔も料理として出て来るけど、ミミガーとか作り方分からない。
オークの手とか足って、豚足みたいにコラーゲン多いのかしら?
私は手や足を観察してみたが、手は人に近いから食べるのは拒絶感が半端ないわ、足なら蹄だしおっきい豚足として食べれるかも。
私がオークをどう料理しようか考えていると、アベルが遠くで倒したオークを引きずりながら担いできた。
「6体は多いな、ここで全部解体しないで、持って帰ってギルドに任せるか?」
アベルが悩みながらそう言うので、マーナも頷きながら。
「全部解体してたら、閉門に間に合わないかも・・・」
マーナの呟きを聞いて私は。
「じゃあ、とりあえず持って帰りましょ」
私の答えにアベルが頷いたので、アベルに討伐証としてオークの耳を切り落としてもらい、私はストレージにオークを入れて、使ったナイフを洗うために川に向かった。
川の流れを眺めながら、丁度良さそうな岸に近づくと(探査)に反応があった。
何かしら?川に住む水性の魔物かしら?私は慎重に近づくと、岸に茶色の体毛の縞模様の猫が打ち上げられていた。
大きさも猫と変わらない大きさだった、ずぶ濡れで身体を震わせながら、気を失っている猫を見つけて、私は条件反射の様に走り寄り、ストレージからタオルを出し、濡れた猫を拭いてあげた。
猫は茶色のチョッキを着ていて、チョッキも濡れていたので脱がせてからタオルに包んだ。
「何でこんな所に猫が?」
私は疑問に思いながらナイフを洗ってストレージに戻し、タオルに包んだ猫を抱きかかえ、アベル達の居る場所に戻った。
アベル達は川に入り、何か取っているようだった。
私が返ってきたことに気付くとアベル達は川から上がって来た。
川から上がって来たアベル達の手には、苔のような水草が握られていた。
私がタオルに何かを包んでいることに気付き、近づいてきた。
「マリア?ソレはなんだ?」
アベルが質問してきたので、私は猫の顔を包んでいたタオルをどけ、アベル達に見せた。
猫の顔を見たとき、アベルは不思議そうな顔をして。
「猫?」と不思議そうな顔をしていた。
マーナは私が抱えた猫を見て、目を輝かせながら。
「わぁ、猫だ!こんな森の中で珍しいね」
マーナの呟きももっともで、町などでは見かけることは有っても、森の中で見かけることは余りないらしい。
自然の中でと野生の動物が魔物かすることが多い為、猫自体が変異してしまって、森に入る前に倒したワーラントのような、魔物になってしまうと言う事なのよね。
震えは無くなったがまだ目を覚まさない猫を抱えて、私がどうしようか考えていると、アベルが。
「オークも倒したから、トラットの町に帰ろうぜ」
アベルの提案にマーナも同意して、私も頷いた。
私は猫を抱いたままアベル達と一緒に、トラットに向かって森を歩き始めた。
私達は川沿いに下っていき、時々アベル達が苔のような水草を採取していた。
アベル達が取っている水草が気になって、アベルに質問してみた。
「さっきから時々とってるその水草は何?」
「うん?これか?これは解熱剤になる、スート草だよ、まあ小遣い稼ぎぐらいにしかならないけど売れはするからな」
へー解熱剤、あると便利な薬草なのね、私が感心したように見つめていると、アベルは照れたように頬を掻き。
「まあ、こうやってコツコツ稼がないとな・・・」
アベルがそう呟くと、マーナが頷きながら。
「そうよね、装備全部、マリアに貸してもらってる状態だもん」
マーナがそう言うが、二人に貸してる装備ってこっちで売ったら一帯幾らになるんだろう?前にシャドウアサシンの弓で国宝級とか言って無かったかしら?
別に在庫は有るから上げても良いんだけど、アベル達と話してみて、信用もできるみたいだから。
私が考え事をしている間も、私達は川沿いに下り続けた。
「あ、魚が泳いでる!」
私はそう言うなり、ストレージを漁り魚を取るための、いい道具は無いか探し始めた。
釣りはメビロの時してなかったから、釣り竿は持っていてもやり方が分からないのよね。
う~ん、この玉網ってので取れないかしら、ストレージから取り出した棒に網が付いた物で一生懸命、魚を追いかける。
私がいきなり網を取り出し、川を攫いだしたので、アベル達は呆気にとらわれていたが、すぐに自分たちは水草が無いか探しだした。
私は何とか川の端に魚を追い詰め、網で魚を掬い上げた。
満足そうに掬った魚を見ていた私に、アベル達が。
「何で魚なんか捕まえてるんだ?食べるのか?」
アベルの質問に私は、満面の笑顔で頷いた。
そんな私を不思議そうに見つめ、アベルが哀れんだ視線で私に。
「腹壊さないようにな・・・」
アベルの呟きに私は、小首を傾げ、まさか寄生虫?と警戒したが、しっかり洗ってから内臓取って、しっかり焼けば大丈夫よねと、考えて一旦ストレージに入れた。
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